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百瀬

みんなには前ざっくり話したけど、まず俺は、最初じいちゃん家に行ったんすよ。

百瀬

そしたら、そこに住んでるいとこの姉が、魔法の存在を知ってて……

え、ってことはその人も?

百瀬

いや、あの人は存在知ってるだけで、魔法自体は使えないっす

あ、まぁそうか……だったら空間来とってもおかしくないしな……

魔法使いになった現世の人は、 最初に魔法空間へと転移させられる

その瞬間に名簿にも名前が載るけど、 本に鳴海の名前はなるせ君の名前以外 なかったから、“魔法の存在を知って いる使いではない人”なのは納得だ

百瀬

じいちゃんも同じで、存在を知ってはいたんすけど……ただそれだけで、あの家に情報はほとんどなかった。

百瀬

けどそしたら、“鳴海家本部”に行けばいいって言われて……

彼方

鳴海家本部……?

百瀬

小さい島にある、鳴海の集落……で、うちの家の総代様がいるところっす

真冬

前話してた……壱岐島だっけ

改めて聞いても凄そうなとこやな……

百瀬

そこで“瀬様”って人に会って、俺はうちのこともBoEのことも、全部聞かせてもらった。

百瀬

とりあえず、鳴海の話は一旦後にして……BoEの情報から出します

 

 

 

約1ヶ月前

〜百瀬 side〜

月讀神社から帰ってきて、 再び広間で瀬様と向かい合って座る

まずBoEとは、“Bringer of Eclipse”の略称です。その意味は、“闇をもたらす者”。

魔法界の光、太陽であるオルコットを月で隠し、世界を闇に染める……そんな意味が込められているそうです

Bringer of Eclipse…… 闇をもたらす者……

百瀬

(相っ変わらず不穏な空気漂ってんな、“BoE”……)

そして肝心なのが、このBoEの正式名称です。

“闇属性至上主義者連盟”。これが百瀬さん達が追っている、BoEの正体。

……ここまでの情報で、彼らの目的は何となく分かったのではないでしょうか?

世界を闇に染める…… さらに、闇属性至上主義……

百瀬

……魔法界への……復讐?

それもありますね

百瀬

“も”……ってことは、他にも?

はい。

彼らの目的は、“オルコットへの復讐”。そして、“魔法界の奪還と征服”です

百瀬

なっ……

復讐と、征服……もしかしてBoEは、 遥か昔の追放のことを根に持ってる?

罪を犯したのはうちの家だけだから、 自分達まで追放されるのはおかしいって 怒って、それで集まったとか……

百瀬

(けど、何で千年も経った今更……?)

……確かに、この時代にわざわざ掘り返すことでもないと思うでしょう。

しかしこれは、今更ではない。寧ろ千年以上前から今世まで、長きに渡り企てられていたものです

百瀬

え……

考えてもみてください。BoEの敵は魔法界。小さくとも個々が確実に力を持った、一つの“世界そのもの”ですよ。

そんなところに無策で乗り込んでも、一蹴されてしまうだけです

そうか……奴らの敵は“世界”だから、 長い時間をかけて計画して……

……ただそれにしても、やっぱり 千年は時間かかりすぎじゃないか?

それだけでなく、さらに闇属性には、“結界”という大きな壁もあります

百瀬

あ、結界……

確かにあれは、簡単に 解決できる問題じゃない

百瀬

(復讐とか征服以前に、ここを突破できなきゃ元も子もないから……)

でも、これも千年あれば頑張って 解決できそうな気もするけど……

百瀬さんは、現在普通に魔法空間や魔法界に居られるとのことですが……以前はどうでしたか?

百瀬

前は……結界に弾かれてばっかで、慣れるまでまぁまぁかかった……。

百瀬

……あ

前までの結界に苦戦していた自分を 思い出して、とあることに気づく

百瀬

BoEって、千年間ずっとあの結界に苦戦してたんすか……?

恐らくそうです。対闇属性の作用が弱まり、今は力技ですり抜けられるとのことですが……それでも千年で進歩したのは、ここまで。

そもそも結界が弱まったのが、百数十年前……たった最近の話です。そして、それまでに結界の突破法は一切見つからなかった。

その為、恐らく彼らの計画が進み始めたのは、実質100年と少し前になります。

それ程までに完璧な結界が、何故今になって突然大きな綻びを生じ始めたのかは、私にも分かりかねますが……

百瀬

あ〜……

百数十年前って言ったら、天月君が…… というかベルが暴れてた時代だ

百瀬

(壊して直してを何回も繰り返してたら、そりゃそうもなるよなぁ……)

……百瀬さん……今、結界を壊すと聞こえたのは、私の気のせいですよね?

百瀬

え?

珍しく戸惑った声になる瀬様

心なしか、目を見開いてるように 見える……のは、流石に気のせいか

百瀬

あ〜……っはは……ちょーっと、史上最強の友人が……

苦笑いをしつつ、やんわりと伝えた

確かに、そんな最強の結界が 力尽くで破壊されたって聞けば、 こんな反応にもなるよな……

百瀬

(恐るべし、史上最強……)

……あぁ、なるほど……“鈴音様”なら、辛うじて納得はいきますね……

でもそうか、あの結界を初めて 突破したのはベルで、それも彼にしか できない、相当な力技だったから……

百瀬

(そうでもしないと破れないものだったから、BoEは長い期間苦戦してたんだな……)

えぇと……話を戻しましょうか。

結界の突破法が発見されたのは、つい最近。しかし現在も百瀬さんのようになるには、まだまだ時間を要しますよね。

結界の壁は辛うじて越えられるものの、まだまだ高いことには変わりない。さらに綿密な作戦や強力な戦力も必要となります。

その為BoEは、千年もの時間をかけ、しかしその意志は決して消えることなく、存在し続けました

なるほど、結界の突破と作戦と、 諸々全部に時間を費やして、それで こんなにかかって、ようやく今……

BoEについて、詳しい内部情報もお伝えしておきますね。

BoEという組織を立ち上げ、千年前から現在に至るまでその頂点に立つのは、現“影山家”。元の名を、“サーペンツ家”と言います

百瀬

サーペンツ……?

あれ、なんかうちの元の名前の サージェンツと似てるような……

お察しの通りです。サージェンツとサーペンツが似ているのは、しっかりとした理由があります

百瀬

あ、そうなんすか?

はい。元々この2つの家は、闇属性一族の二大家門として、共に一族繁栄の責務を担っていた過去があります。

サージェンツ家はオルコットに仕え、サーペンツ家は一族を支える。

その為サーペンツの使いは、一族への想いがより一層強かったと言えるでしょう。

お互いの思想の差異により、サージェンツとサーペンツは、度々衝突することもあったそうです。

“オルコットに仕えるのではなく、自分達の一族の為に仕えろ”という風に。

このような過去があれば、彼らが“闇属性至上主義”なんてものを立ち上げることにも、納得がいきますよね。

確かに過ちを犯したのはこちらの責任。サーペンツ含め他の家門は、完全に巻き添えという形で追放されました。

このことにサーペンツ側が文句を唱えるのは当然です。……しかし私達は、過去にこのような誓約を交わしています。

“一族の誰か1人でも赦されない過ちを犯したのならば、我々は一族全員で連帯責任を負う”と

百瀬

一族で……?

本来は、一族の団結を深める為に交わされたものだったのでしょう。

ですが当時は、全ての闇属性の家門がこの誓約を守りました。

……しかし、サーペンツだけは違った。こうして今も、諦めずに魔法界へ戻ろうとしています。

きっとそれも、闇属性の為なのでしょう。現にこの鳴海家本部も、一度BoEの勧誘を受けたことがあります

百瀬

えっ、うちを?

鳴海は禁忌を犯したサージェンツの 末裔、オルコットと同じく恨まれて いてもおかしくないのに、何で……?

あちらの考えによれば、“今”を現世で生きる私達は、彼らと同じ“被害者”なのだそうです。

そして彼らは、鳴海家の予知能力目当てでもありました。予言書の存在も知っており、幼い貴方を狙ったこともあったそうです

百瀬

俺……?

百瀬

……っ! え、まさか……!

お察しの通りです

俺が昔BoEって単語を聞いたことが あったのは、きっと長崎支部の方にも 勧誘に来たことがあったからだ

しかもその頃は、丁度俺がこの鍵を 受け継いだ時期と重なる

多分その時期には既に結界慣れしてる 人もいただろうから、予言書がある 建物の鍵のことも知ってたんだろう

百瀬

(それで、うちでは代々鍵を継いでたから……。)

百瀬

(しかも、俺がまだ何も理解できない子供の内に……!)

魔法使いは何を唱う? -紫苑の叛逆者-

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コメント

2

ユーザー

やっぱりBoEは闇の組織で魔法界と オルコットのことをずっと恨んでて 復讐と征服をしようとしてたんだ! 何年も何年も前からずっと…… ”闇をもたらす者”か…日食をもたらす者と 真逆だ…やっぱりテオくんとノアさんに 黒百合と枝珊瑚のを送ったのには意味が あったんだね。で、なるせちゃんがそれを 知ってたのは鳴海家にも勧誘が来てたからか… これからどうなるんだ…また戦いが? 続き楽しみにしています!

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