テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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恋を奏でる。

第1話 - 恋を奏でる。

2021年03月20日

#恋愛

#ドキドキ

#中学生

#吹奏楽部

#部活

しおり☆

私は琴里。中学三年生。吹奏楽部に入っているんだけど、今日新入部員が入部してくるの

音楽室にて

美並舞

1年の美並舞です！皆さんに迷惑をかけず、頑張って演奏したいと思っています！！

小野琴里

(凄い優しそうな子だなぁ…)

岩槻弦

……岩槻弦です。楽器希望はコントラバスです。皆さんに追い付けるよう、努力します

小野琴里

(おぉ、真面目君だ…。男子が入ってくるのはちょっと珍しい)

響匠海

えー、今年度吹奏楽部に入部した1年は15名。小野

小野琴里

は、はいっ！

響匠海

コントラバスを希望してる者が1名いるが余っていたか？

小野琴里

え？ええっと……多分あと1つ残っていたかと……

響匠海

そうか。なら、持ってきてくれ

小野琴里

はい！

響匠海

あと、岩槻の指導はお前に任せる

小野琴里

ええっ……私はフルートですよ？コントラバスなんて教え方が分からな──

響匠海

鈴実、お前はそこにいる美並の担当。頼む

鈴実詩菜

了解でーす

小野琴里

き、聞いて…ない

鈴実詩菜

まぁまぁ琴里。イケメン新人君のお世話頑張ってねー

小野琴里

お、お世話……？

美並舞

……

鈴実詩菜

舞ちゃーん！よろしくね、鈴実詩菜でーす

鈴実詩菜

早速だけどクラリネットとかどう？

美並舞

あっ…うーん……木管楽器はちょっと苦手です……

鈴実詩菜

そっか～

美並舞

あの、鈴実先輩

鈴実詩菜

ん？どうした？

美並舞

あそこで岩槻君に教えてる人……お名前は？

鈴実詩菜

あーっ私の親友なんだけどね小野琴里さん

美並舞

(小野…琴里ね)

鈴実詩菜

……それがどうかしたの？

美並舞

いえ何もありません。

美並舞

私、金管楽器のホルンを前から吹いてみたいと思っていたんです。ありますか？

鈴実詩菜

うん、あるよ！これで決まり？

美並舞

はいっ！ありがとうございます！

小野琴里

ええっと……これがコントラバスなんだけど…岩槻さん分かる？

岩槻弦

はい。

小野琴里

(なんて言うか…無愛想というかちょっと怖いなー)

岩槻弦

俺に指導は必要ありません。

小野琴里

(は、早くどっかに行ってくれみたいな顔してる……)

小野琴里

で、でも先生に頼まれたし…あはは……

岩槻弦

はぁ……

小野琴里

(た、ため息！？)

そして彼がいきなり演奏し始めた

とても素敵な音色だった

小野琴里

(凄い……格好いい！)

演奏が終わると

小野琴里

すごい！凄いよ！岩槻君！

岩槻弦

これくらい当たり前です。集中したいので早く───────

小野琴里

コントラバス習ってたの？

岩槻弦

え、あ、まぁ。

岩槻弦

…父に教えてもらっていました

小野琴里

へぇ……そうなんだ！お父さんが音楽家とか？

岩槻弦

はい

小野琴里

そかそか！かっこよかったよー

岩槻弦

……

小野琴里

ん？私の顔に何か付いてる？？

岩槻弦

い、いえ……

小野琴里

あーっ！やっと終わった

鈴実詩菜

さて、もう帰ろっか！

映沢翔琉

よっ

小野琴里

あっ翔琉。

映沢翔琉

部長と呼べ

鈴実詩菜

いいじゃん。部活も終わったし。

小野琴里

途中まで一緒に帰らない？

映沢翔琉

……ああ

鈴実詩菜

あれ？あれれ？顔赤いよー(笑)

映沢翔琉

赤くねぇよ！

小野琴里

？

鈴実詩菜

じゃ、私はここまで！

鈴実詩菜

また明日ね～

小野琴里

うん、バイバーイ

すると詩菜が翔琉に何か言った。小さい声だったから私には聞こえなかったけど

小野琴里

何？2人でこそこそ話してたの？

映沢翔琉

いや……別に何も

小野琴里

？？

小野琴里

……

映沢翔琉

……

小野琴里

(翔琉らしくない。さっきからずっと黙ってる……私も話すことが無いから沈黙が続いてる……)

小野琴里

あっそういえば──

映沢翔琉

実はお前に──

2人同時に言葉が重なった

小野琴里

ごめん、何？

映沢翔琉

いや、何もないよ。

小野琴里

何もないことないでしょ？言って

映沢翔琉

あぁー、言おうとしてたこと忘れた

小野琴里

ホントかなー？

映沢翔琉

てかお前は何言おうとしてたんだよ？

小野琴里

私は、

小野琴里

今日入ってきた新人さんで期待してる人や心配な人はいたか……って。部長としてこれからも引っ張っていかなきゃだし

映沢翔琉

ああ……そういうことか。だったら岩槻は期待してる。経験者だしな。

映沢翔琉

まぁ、心配なのは美並だ。詩菜も随分苦戦してたろ？教えたことをすぐに覚えてくれないって俺に愚痴ってきたし

小野琴里

あはは……でもあの子、本当に音楽が好きみたいだし私は成長すると思うよ

映沢翔琉

……まぁそうだな

小野琴里

あっ私右だ

映沢翔琉

俺は左の道

小野琴里

じゃあここで。

映沢翔琉

おう、また明日

小野琴里

うん！

映沢翔琉

はぁ……

帰ってきた翔琉はベッドに寝転んだ

映沢翔琉

結局、言えなかったな……

映沢翔琉

ん？詩菜からメールだ

詩菜

どう？ちゃんと伝えた？

翔琉

いや、無理だった

詩菜

えー、言えなかったの？

詩菜

1年からずっと好きなんでしょ？

詩菜

どうして告白できなかったの？

翔琉

チャンスを逃した、みたいな？

詩菜

はあ？

詩菜

せっかく、2人きりにさせてあげたのに

詩菜

早く告白しなきゃ誰かに取られちゃうよ～弦くんとか

翔琉

は？なんで岩槻が

詩菜

今日べた褒めしてた。「岩槻君、凄いカッコイイ！」って

詩菜

あんな可愛い顔で褒められて誰が好きにならないって言うの

詩菜

もうすぐ告白されるのも時間の問題だよ

翔琉

ナイナイ

翔琉

というか俺なんて告白してもフラれるだけだし

詩菜

何今更自信なくしてんの

詩菜

そんなの言ってみなきゃ分からないじゃん

詩菜

初めから諦めてるようなヤツはダメ！自信もって

詩菜

それに琴里、言ってたよ。

詩菜

「翔琉は皆に平等に優しくて部員全員の事をしっかり考えてる。」って

詩菜

琴里は良く人を褒めるからねぇ

翔琉

頑張るよ

詩菜

お？やる気になったか

詩菜

2人の事応援してる

翌日放課後の吹奏楽部にて

小野琴里

うんうん！私が教えなくても大丈夫だね。

岩槻弦

はい。だから最初から言ってたじゃないですか

小野琴里

うん…まぁそうだね

岩槻弦

先輩。

小野琴里

ん、どうしたの？

岩槻弦

俺、先輩の事好きかもしれません

小野琴里

……え？

岩槻弦

多分、ですけど

小野琴里

？？

岩槻弦

まぁ分からないんで、とりあえず俺と付き合ってみません？

小野琴里

ん？？？

映沢翔琉

(嘘だろ…！というか部員ここ30名いるんだぞ！？目立ってるって！！)

鈴実詩菜

わーお。

響匠海

お、おい…今は部活動中だぞ……

美並舞

……

小野琴里

……え、えっと……

小野琴里

考え…させて、くれますか…

岩槻弦

すいません。今、返事お願いします

小野琴里

え！あ、えっと…

小野琴里

と、とりあえずお友達から……

岩槻弦

返事。

小野琴里

うっ……

小野琴里

えと……ご、ごめんなさい…

岩槻弦

そうですか。分かりました

岩槻弦

今分かりましたよ。好きな人にフラれるとこんなに傷つくもんなんですね。でも俺

岩槻弦

諦めませんから

小野琴里

えぇ…！？

岩槻弦

まぁ今はコントラバス、教えてください

小野琴里

も、もう充分上手─────

岩槻弦

お願いします

小野琴里

わ、分かった……

小野琴里

(なんか、さっきの出来事が無かったことに…？)

音楽室に不穏な空気が流れる

響匠海

えー…2ヶ月後の大会に向けて明日から合わせる

響匠海

今日までが個人練習だ。しっかりな

美並舞

……何あれ。

鈴実詩菜

どうしたの、舞ちゃん。練習、始めるよー

美並舞

あ、はーい♪

映沢翔琉

(琴里が…岩槻と……それだけは何とか阻止しないと！！)

恋を奏でる。

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