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竹藪島という島をご存知だろうか

この島は太平洋にポツンと浮かぶ 小さな島だ

日本に近い場所にあるので 船では10分くらいしかかからない

日本には様々な職業が存在し 巫女もその一つ

神社で神に仕える女性のことだ

竹藪島にも存在し

神社を管理するのはもちろん 有名な「天梃舞」も踊る

天梃舞とは 太鼓と笛に合わせて若い女が着物を着て

扇子を両手で握りしめ 可憐に舞う華やかな行事だ

人々は踊りを見ようと集まり 同じ表情の島民が見物にやって来る

大層盛り上がり

これを目当てに 他の場所からやってくる人もいる

しかし踊った女は全員行方不明になる

神様の生贄として 心臓を捧げなければならないという 恐ろしい掟があるから

例外も存在し それは神様における信仰が強い者だ

その女は死ぬことなく 嫁として 永遠に閉じ込められてしまうという

この島は神に支配されている

支配された巫女以外の人間は 亡霊のように操られ廃人になる

そしてまた新たな犠牲者がーー

どんよりと暗くて 今にも雨が降ってきそうな空の下

窓際の椅子に座っている彩花は 鬱々とした気持ちのまま空を見上げた

初夏ということもあり

気温が高くて 教室にいると汗をかいてしまう

髪や肌も湿る

ガラガラッ

教室の扉が勢いよく開き 友達である莉子が抱きついてきた

莉子

おはよー!

彩花

おはよ……

莉子

昨日ね、「たおりんチャンネル」見てたんだ

彩花

私も見てたよ

彩花

好きな映画の解説してて

彩花

とても面白かったな

彩花

正論には吹いちゃったよ

莉子

ねー!

莉子

あの人の動画、面白いよね!!

莉子

でも「竹藪島」の心霊動画を出して以来

莉子

動画の投稿がなくなってるんだよね

彩花

え、嘘っ!?

それが本当かよくわからず スマホを取り出して眺める

新しい順で見てみると 一年前で動画の更新が止まっている

莉子

偶然と言いたいけどね

莉子

竹藪島に入った人は

莉子

大体動画が止まっているの

莉子

中には六年も更新してない人もいるし

莉子

とても気になるじゃない!!

莉子

見てみてたらね

大翔

なんの話してんの?

大翔

面白そうじゃん

股を広げてどかっと座る男が チャラい口調で話しかけてきた

彼は大翔

莉子の恋人で よく勉強会やお泊まりをする仲だ

喧嘩はたまにするが また仲直りするのが恒例になっている

莉子

もう、話の邪魔しないでよ

莉子

「たおりんチャンネル」の動画が更新ストップされてる話してたの

大翔

あー、俺も最後の動画見たわ

大翔

青い光が輝いてたり

大翔

人影が見えたり……

大翔

あと人の叫び声も聞こえてきたしさ

大翔

やべえ動画だったぜ

大翔

しかも最後はカメラが床に落ちて終了だったな

彩花

青い光?

大翔

具体的にはわからんが

大翔

海や森の中から光っていたな

雄也

へぇ……とても……興味深いね

ボソボソ話す彼は雄也

オカルト系の話が大好きで 冷静に物事を見る

大翔

だろ?

莉子

あたし、ここに行きたい!!

莉子

気になるじゃん!!

大翔

俺も気になるんだよな

大翔

特に青い光ってやつが

大翔

それに莉子を一人にするのは

大翔

恋人としてよくないし、行くよ

雄也

ボクも……行きたいな

雄也

心霊スポット巡り……好きだし

彩花

わ、私怖いの苦手だからちょっと……

莉子

大丈夫だって!

莉子

みんな一緒だしさ!

莉子

怖いことなんてないよ

彩花

そうだね

彩花

行こうかしら

莉子

じゃあ決まりね

莉子

夏休みの初日に最寄駅の立場駅で集合ね!

皆元気な声の提案に頷き 夏休みの初日に行くこととなった

これが悲劇の始まりであることを 知らずに

夏休み初日

上陸すると竹がたくさん連なる竹森が 目の前に広がっている

まるで昔話に出てきそうな日本の和を感じさせる雰囲気

緑の自然な香りがして とても爽やかな気持ちになった

風に吹かれて ざわざわと音を立てている

大翔

うっ……吐きそう

莉子

ちょっとここで吐かないでよ!

莉子

いくら船酔いしたからって

莉子

場所を考えなさいよ

大翔

はぁはぁ……

大翔

少し休んだら気が楽になったわ

彩花

そういえば今何時かな?

スマホを眺めた

22:22

彩花

出発したのは13:40なのに

彩花

変だな……

彩花

15時から16時の間に着く予定だったのに

彩花

電波は圏外って

彩花

電話が使えないじゃない!

彩花

なくなった船乗りに電話しようと思ったのに

彩花

無理じゃん!

莉子

うそっ、圏外……?

莉子

万が一の時はどうするの?

大翔

どうすることもできないだろ……

雄也

あんなに……船乗りには……「待ってて」って言ってたのにね……

雄也

何があったんだろう?

彩花

さぁ……

彩花

あれ?

彩花

カメラ持ってきたの?

雄也

うん……まあね

雄也

何かの役に立つかもしれないし……

雄也

それに……旅行行く時は必ず持って行くようにしてる……

彩花

(「たおりんチャンネル」も動画を撮っていたし)

彩花

(何かが映ったり聞こえたりするかも)

大翔

おい、着いてこいよ!

大翔が先頭に立ち、竹森へ入っていく

とても張り切っていて 好奇心から楽しそうに歩いていた

莉子

ちょっと待ちなさいよー!

雄也

行こう……

彩花

ええ、そうね

大翔

ここが民家みたいだな

莉子

大きい家ね……

彩花

なんか気味悪い道だったね

雄也

きっと……歩き慣れてないからだよ

莉子

あっ!

莉子

あそこに男の人がいるよ!

直仁

誰だ?

直仁

見ない顔だな

大翔

俺たち、この島に初めて来ました

直仁

そうか、客か

彩花

はい、そうです

直仁

ほお、そうか

直仁

宿に入るといい

直仁

お前ら荷物を運んでくれ

わかったぜ

一人の男がやってきて 2人がかりで荷物を運ぶ

彩花

ここが部屋……

彩花

何この部屋?

彩花

窓も時計もないし

彩花

鎖の施錠で閉められるなんて

彩花

しかも机と布団しかないとか

彩花

あり得ない……

彩花

早く出ないと

君たちがここに来たばかりの新人だな

わしは尊だ

莉子

莉子でーす

莉子

よろしくね、尊さん

大翔

俺は大翔だ、よろしく

雄也

雄也……よろしく

彩花

彩花です

おお、そうかそうか

夕飯がもうすぐできそうだからくつろぐといい

四人

ありがとうございます

少しおじさんたちと 話をしながらテレビを見ていたら

ちょうど夕飯の時刻になった

四人は疑うことなくサバやご飯 野菜の味噌汁を飲む

野菜の甘みが味噌と絡み合い ハーモニーを奏でている

サバもホクホクしていて、美味い

皆いっぱい食べていた

莉子

うっめー!!

大翔

それな

大翔

ご飯、おかわり!

ハハハ、わしが釣った魚だからな

美味しいに決まっているだろ

彩花

(やっぱり変ね)

彩花

(なんでここの島民は全員笑顔なんだろう?)

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