行かないで…

ガチャ

パタン

引き出しを漁り

手首にカッターの刃を押し当て スぅーっと引く

手首からは赤い筋が浮かび上がる

更に切り込み、今度は少し力を入れ深く切る

ジャー

何もする気になれない… 何もしたくない

あーあ…… 死ねるかな… もし今から死んだとしても 不破さんに会えるかなんて分からない 会えないかもしれない ずっと地獄に居るかもしれない

包帯を巻き終え 術を使い包帯を肌に擬態させる

あぁほら、また

アニキのこと思い出しちゃった 思い出したくないのに いつもいつも思い出す その度に……

不甲斐なくて 悲しくて 悔しくて 寂しくて 不破さんに何もしてあげられなかった、気づけなかった自分が憎くて…… だから

そんな勇気もないけどね

そんなの僕が 気づいてあげられなかったからでしょ？ 周りの人の事よく見てたのに 気づかなかった、分からなかった からでしょ？

あーあ 分かってるのに 寝たって悪夢を見るだけってことも その悪夢に不破さんが出てくることも 不破さんが悪夢で でも夢で不破さんに会える それだけでいい

でも、でも…… 不破さんに会いたい この気持ちは変わらない でもね、悪夢を見るのが怖くて堪らないんだ また起きた時に 「不破さんはもうこの世界にはいない」 って気付かされるから

不破さんと離れ離れになるのは嫌 不破さんがこの世に居ないって 思わされちゃうのが嫌 でも1番嫌で嫌いなのは ”僕自身”