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宇宙
日付が変わったのと同時に ネカフェに入り 1人、部屋でそう呟く
にじさんじに、ネット上に、 僕の名前はない
検索しても出てこないのは ずっと前から知っている
僕は時渡家に生まれた
不思議な力を持つ懐中時計の 所持が可能らしい
"宇宙"(ほし)と名付けられた
いつか懐中時計の力を使い、 宇宙のように広大で素晴らしい人間になれるように、とのことだった
そんな素敵な意味がある名前が 僕は好きだった
あの日までは
あれは僕が幼少期の頃
生まれた時から、自分は特別な 人間だと教えられて育っていた
5歳の頃だっただろうか
近所に住んでいた子が居眠り運転を していた車に轢かれて亡くなった
近所に住んでいたということ、僕と 別れた後に轢かれたということもありとても悲しみ、泣きじゃくった
そうして暫くたったころ、 僕はふと思いついた
宇宙
僕なら、それが可能だ
その時懐中時計を使い、 初めて過去に戻った
宇宙
亡くなったはずの女の子
目の前には不思議そうな顔をした 女の子が僕のことを見ている
亡くなったはずの女の子
宇宙
亡くなったはずの女の子
亡くなったはずの女の子
宇宙
僕は女の子の手を握った
宇宙
帰り道、手を繋ぎながら歩いて帰る
亡くなったはずの女の子
亡くなったはずの女の子
別れる道に来た時、 あの子はそう言った
宇宙
亡くなったはずの女の子
手が離れかけた時、 離すまいと手を掴む
亡くなったはずの女の子
宇宙
宇宙
宇宙
亡くなったはずの女の子
宇宙
宇宙
亡くなったはずの女の子
そう言って手を繋ぎ直し、歩き出した
家が近くなってきた時
宇宙
車が近づいてきた
よく見ると運転手は居眠りをしている
宇宙
亡くなったはずの女の子
近くの家に入り、車をかわす
その直後、車は電柱に ぶつかり、止まった
宇宙
家の住民
家の住民
家の住民
近くに入った家の人が出てきて僕達を見るなりそう言うが、車に気付き、 慌てて家に戻って行った
亡くなったはずの女の子
宇宙
亡くなったはずの女の子
亡くなったはずの女の子
家の住民
家の住民
宇宙
亡くなったはずの女の子
事故が起こると分かっていたから とはいえ、ドアの前だが勝手に 入ってしまったので謝る
家の住民
家の住民
家の住民
その後、警察と救急車が来て 僕らは家の人に迎えにきて もらうことになった
あの子が死ぬ運命は 回避する事が出来た