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死のガイド

第1話 - 死のガイド

251

2019年10月07日

#ホラー

#死後の世界

岩波風月

えみ

……ん。

えみ

…ここは……

まゆこ

えみ！良かった、目が覚めたのね！

えみ

…ここは？

まゆこ

…わからない。私もさっき目覚めたばかりで。

まゆこ

えみ、なんでこんなとこいるか思い出せない？

えみ

うーん。

えみ

今日、朝御飯食べて大学行って、バイトして…そこから先が思い出せない。

まゆこ

そっか。私も同じだ。

えみ

…。

？？

ここは死後の世界です。

えみ

！

まゆこ

！

ガイド

ここは死後の世界…貴方は死者となりここに存在しています。

えみ

…え？

ガイド

自己紹介遅れました。私ガイドと言います。

まゆこ

どういうこと？死者？

えみ

…ガイドさん、いきなりこんなこと言うのも悪いんだけど、正直意味が分からないんだけど。

ガイド

そうですよね、いきなりこんなこと言われても意味わからないですよね。

ガイド

説明します。

ガイドと名乗る謎の女性。彼女が言うには私とまゆこは、とある理由で死に、死後の世界に来たらしい。

えみ

私達が死んだ…。何で？何があったか思い出せない…！

ガイド

死ぬ寸前の記憶はなくなりやすいんです。

ガイド

大丈夫、直に思い出せます。

まゆこ

…。

ガイド

さて、そろそろ本題ですが、

ガイド

私は貴方を生き返らせに来たのです。

えみ

え！

ガイド

貴方方は、本来の寿命とは違った形で死んだ。それにまだ死んで時間は経ってない。

ガイド

私が場所を知っている、生命の湖という湖があります。

ガイド

半死者の貴方達は、その湖の水を飲めば生き返ることができるのです。

まゆこ

本当ですか！？

ガイド

はい！

ガイド

さあ時間がない！私に着いてきてください！！

まゆこ

はい！！

えみ

……。

まゆこ

うわーー！

えみ

なんだか、凄い場所ですね

ガイド

幻想的でしょ？

ガイド

もし生き返ったら自慢できますよ。

ガイド

死後の世界は、生命の世界にはない幻想的風景が沢山ですから。

まゆこ

確かに…。

えみ

…。

ガイド

さあ、着きました。

まゆこ

キレイ。

ガイド

ここが生命の湖です。

ガイド

さあ、この湖の水を飲み、生き返るのです！

まゆこ

ガイドさん、ありがとうございます！

まゆこ

じゃ、早速…

えみ

待って！！！

まゆこ

！

ガイド

……どうかしましたか？

えみ

ガイドさん、この水、貴方が最初に飲んでみてくれない？

ガイド

……は？

まゆこ

どうしたの、えみ…？

えみ

生き返ることができる命の湖…。

えみ

もし、本当にそうなら実際に生き返った人が何人もいるはずよね？

えみ

でも、これまでそんな話聞いたことある？

まゆこ

…。

えみ

ないでしょ？何故なのか。

えみ

それは語るものが居ないから。つまり…

えみ

この水を飲んで生き返ったものは居ないからじゃない？

まゆこ

！！

ガイド

……

ガイド

水…飲まないの？

まゆこ

そ、その…

えみ

飲むわけないでしょ？何者よあんた！

ガイド

あーあ、この水を飲めば行けたのに…。

ガイド

地獄の世界にね。

えみ

…！

ガイド

私はガイド。地獄への案内人…。

ガイド

水を飲ませられないなら、仕方ない。

ガイドの姿が化け物へと変わってく。牙が生え、両肩に不気味な羽が生える。それは人々が想像する悪魔そのものだった。

ガイド

力ずくで地獄につれてってやるよ！！

えみ

まゆこ、伏せて！！

まゆこ

きゃ！

ガイドの鋭い羽が、まゆこの頭上すれすれを通りすぎる。

ガイド

ち！

ガイド

やはりお前から死ね！！

まゆこ

えみ！

えみ

……

えみ

恐れるな。敵の勢いを利用する…。

えみ

(ここだ！！)

ガイド

！！！

えみはガイドの頭めがけて蹴りを放った。その蹴りは見事にガイドにクリーンヒットしガイドはそのまま勢いをよく倒れていった。

えみ

……おす！

ガイド

こ、こんな人間に私が……。

まゆこ

…さ、流石空手二段…！

えみ

さ、まゆこ今のうちに行きましょ！

まゆこ

う、うん。

えみ

…まゆこ？

まゆこ

えみ、ごめん、腰がぬけて。
歩けない…。

えみ

もう！

えみ

ほら背中に乗りな！！

まゆこ

あ、ありがとう！

えみ

…もう追って来ないわよね？

まゆこ

うん、だいぶ遠くきたはずだから。

まゆこ

…久しぶりだね。

えみ

え？

まゆこ

子供のころもこうやってえみに助けてもらってた。
こうやっておんぶしてもらってた…。

えみ

…。

えみ

まゆこ、ごめんね。

まゆこ

え？

えみ

これまでのこと。

えみ

私、貴方のこと裏切って…。

まゆこ

…。

えみ

でも、私、光一君の事やっぱり諦められないの…。

えみ

貴方が光一君の事好きなの聞いたとき、私焦った。

えみ

私も光一君の事大好きだから。

えみ

だから、貴方の過去の噂を光一君に話した…。

まゆこ

……私の過去…。

まゆこ

私のお父さんが、私の家族を殺したこと…。

えみ

うん。貴方は悪くない。それなのに私、私…！

まゆこ

えみ。

まゆこ

もういいわ、大丈夫よ、謝らなくて。

えみ

まゆこ…。本当にごめん。

まゆこ

…ん？

まゆこ

あ！

えみ

え？

まゆこ

見てあの光！！

まゆこが指差す。それは黒い空間を切り裂くように存在する一筋の光だった。

えみ

あの光に入れば、生き返ることができる…？

まゆこ

うん！

えみ

やった！！！

ぐーーーーーっ

えみ

！！

首を手で絞められてる…？

えみ

ま、まゆこ？何して…苦しい……！

まゆこ

流石のえみも背中から首閉めれたらどうしようもないのね。

えみ

ど、どうして。辞め。

まゆこ

あー、夜道をナイフで襲わずに、初めからこうすれば良かった。

えみ

…！

まゆこの言葉で思い出す。死ぬ直前の記憶…

バイト帰りフードをきた不審者に襲われてナイフで心臓を刺された。私も必死の抵抗をして思い切り頭に蹴りを入れて……

えみ

貴方が、私を……！

まゆこ

別に恨んでる訳じゃないの。

まゆこ

お父さんは誰も殺してない。全部私だから。

徐々に意識が遠退く。まゆこはそっと耳元でささやいた。

まゆこ

私ね、衝動を抑えられないの

大切なものほど、メチャクチャにぶっ壊したくなる

20年後

たかみち

そうか…君にそんな過去が…。

まゆこ

殺すきは無かった。でも罪は罪。

たかみち

確かに君の罪は消えない

たかみち

でも、刑務所で償いはしたんだろ？

まゆこ

…

たかみち

僕はそれでも君を愛すよ。

まゆこ

ありがとう。

こうじ

ねえ、ママ！

まゆこ

あらこうじくんまだ寝てなかったの？

こうじ

さっき怖い夢見たんだ。僕が死ぬ夢！

こうじ

ねえ、死んだら人ってどうなるの？

まゆこ

うーん、そうね。

まゆこ

凄く綺麗な場所に行けて、凄く美味しい水が飲めるのよ

こうじ

へ？

まゆこ

ふふ、大丈夫

もう少ししたら、逝かせてあげるから

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まゆこぉぉぉ！！！！や、辞めるんだ…！！！…子供には手を出すな！！

まゆこは、死んどけー

まゆこはまるで地獄の鬼だ…画像とか幻想的でいいですね🙌✨やっぱり岩波さんの作品はミステリアスで面白いし!!ゾワゾワと先の見えない展開が楽しめます😍

岩波風月

プロフィール

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