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〜17年前〜
我は”山吹村”の村長の家に生まれた。母親は我を産んだ後すぐに息絶え、父親は行方不明になったと聞かされ、当時の村長である祖父母に育てられた。
我が6つの頃じゃった。祖父君の側近の夫婦が任務で死亡した時、我の家である本拠地に齢2つからの幼なじみの凜々愛殿と璃玖斗が養子として引き取られ、一緒に暮らし始め、尚且つ共に暗殺者になれるよう鍛錬された。
ドカッ!
悟郎・少年時代
村長(祖父)
村長(祖父)
悟郎・少年時代
村長(祖父)
今思えばアレはほぼ虐待じゃった。強くなってほしいと言えど6歳の子供に容赦なく叩き怒鳴り散らす者じゃった。山吹村の頂点に立つ祖父君は厳しかった。
しかし祖父君は誰よりも強く皆に慕われていた、村長に相応しい人物じゃった。無論我も心から尊敬していた。”彼こそが本物の山吹族”と、幾度も思った。
特に村長の象徴である あの腕が格好良かった。
悟郎・少年時代
祖母
それから4年経った。我が10になり、本格的に殺し屋として動く年頃になる時、祖母君に聞かされた。
祖母
祖母
祖母
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
祖母
祖母
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
祖母
祖母
「ぎゃあああ!!」
村長(祖父)
村長(祖父)
悟郎・少年時代
完全に騙された。墨汁どころか筆ですらなかった。後から聞いた和彫りというものじゃった。
悟郎・少年時代
村人
悟郎・少年時代
良かれと思ってしたのは分かるが、 一瞬 窒息しかけた。
布の塊を噛み締めて痛みに耐えるしかなかった。大人たちに押さえつけられ暴れよう踠いたが、そんな事に気にせず休むことなく黙々と彫られるだけじゃった。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
特に”村長の象徴”は両方の肩と二の腕が繋がるように蔓が巻きついたような、柄も無く塗りつぶした模様の故、 苦痛は予想以上に長かった。
やっとの思いで解放されが、始めてから何時間たったか、終わった頃には夕方になっていた。
悟郎・少年時代
璃玖斗
凜々愛・少女時代
悟郎・少年時代
部屋を出てふらついていたら璃玖斗と凜々愛殿が心配そうな顔をして、 泣きじゃくった我を慰めてくれた。
祖母
↑遠くから気まずそうに見つめる祖母
村人たち
村人たち
村人たち
悟郎・少年時代
ガシッ
村人たち
璃玖斗
凜々愛・少女時代
悟郎・少年時代
村人たち
村人たち
璃玖斗
凜々愛・少女時代
悟郎・少年時代
村人の言った通り、我は幼少から気弱な上泣き虫で、殺し屋には向いていない性格じゃった。他の村人たちが罵るのも無理はないくらいで、そう言われ続けても仕方ないと思っていた。
じゃがそんな我を庇い、常に寄り添ってくれたのは時から仲が良い璃玖斗と凜々愛殿じゃった。特に璃玖斗に至っては 親友じゃった。
しかしそれから3年経ったあの時、 璃玖斗は任務で帰らぬ人となった。
双子の弟を亡くした悲しむ凜々愛殿は見るに堪えなかった。目の前で、腕の中で死んだ彼を間近で見て辛かっただろう。あの時の凜々愛殿の気力の無い濁った目は未だに忘れられない。凜々愛殿が自分も弟を追って死のうかと考えてるであろうと、嫌な予感がしていた。
あの時 我にできることは良かれと思って作った写真入りの首飾りを作って寄り添ってやるぐらいじゃった。
璃玖斗の死を乗り越えても、あの任務が 我らの人生の全てを変えてしまった。
我が16の時、我は同年代の村人数名と麻薬の犯罪組織の抹殺へ向かった。本拠地は暗黒街の人気のない場所に位置する廃ビルじゃった。
敵たち
村人たち
ズバッ!ズバッ!
村人たち
悟郎・少年時代
村人たち
村人たち
↑戦う時も気弱な性格出てる。
村人たち
村人たち
あの任務での我らは極地に追い込まれておった。敵の数といい体格差といい、我らが圧倒的に不利な状況じゃった。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
この時じゃった。任務で璃玖斗が死んだのと同じように、我も帰らぬ者となるのかと心臓が高鳴った。恐怖心に駆られたせいで刀を握る手が緩んだ。
ドカッ
悟郎・少年時代
ダァン!!
村人たち
蹴りの一撃をくらい、壁に思いっきり頭をぶつけた。仲間の叫ぶ声が遠くなった気がした。
悟郎・少年時代
ふと気が付くと腹部が傷んだ。見るとざっくりと腹が切られていた。いつやられていたのか、全く記憶になかった。
悟郎・少年時代
変わっていたのは腹の傷だけではなかった。周囲を見るとどこもかしこも血塗れになっていた。同行した仲間も、敵も皆、四肢バラバラになっていた。
しかしそれだけではなかった。我自身も血に塗れていおった。我の手は赤く染まっており、握っていた刀は鮮やかな血が刃全体に染まっていた。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
何が起きたかわからなかったが、一つだけ確かなことがあった。我以外の全員が死んでいることじゃ。そして、意識は無くとも、我の赤く染まった手には人を殺した感覚が残っており、体だけがそれを覚えているかのような、そんな気味の悪い感覚がしていた。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
ファン ファン ファン ファン!
悟郎・少年時代
するとパトカーのサイレンの音が近づいてくるのに気付いた。敵たちの発砲による銃声で通報を受けたのかもしれぬ。
我はここに居てはならぬと悟り、腹の傷を押さえながら警察の目を盗んでその場を立ち去った。
悟郎・少年時代
なんとか村の入口付近までたどり着いたが、腹の傷からの出血が酷く、体力が限界に近づいていた。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
ここに来るまでずっと”身に覚えのない殺戮”について考えていた。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
バタンッ
腹の出血のせいでか、我はその場で倒れた。意識が遠くなった。
目が覚めたら木連格子と男数人が立っているのが見えた。
村人たち
悟郎・少年時代
村人たち
村人たち
村人たち
「”粛清の間”だ」
悟郎・少年時代
その言葉で意識がハッキリとした。薄暗い洞穴の中の座敷牢にいること、上裸で縄で吊り上げるように拘束されていること、ついでに首まで縄がかかっていた。
※背景画像は洞穴+座敷牢と 思ってください(画像無かった)※
村人たち
ジュッ
悟郎・少年時代
そやつの熱した刃で我の腹の傷を押し当てて雑に止血させた。”粛清の間”については殺し屋になる前から叔父君に聞かされた。しくじった者や裏切り行為をした者を粛清する、一度入ったら二度と生きて出られない。その場所は村長になった時に伝えると言われていたが……
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
ドカッ!
村人たち
ドカッ!ドカッ! ドカッ!ドカッ!
村人たち
ドカッ!ドカッ! ドカッ!ドカッ!
悟郎・少年時代
ドカッ!ドカッ! ドカッ!ドカッ!
その男が叫ぶように言う間、他の男たちは身動きの取れない我を木刀で殴り下駄で足蹴にした。
悟郎・少年時代
村人たち
カァン…
金属音がした。見ると男の手には真っ赤に熱しられたバツ印の焼きごてが握られておった。何をするか察しがついた。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
村人たち
村人たち
ガシッ
悟郎・少年時代
ジュウ…ッッ!!
悟郎・少年時代
抵抗したが他の男らは我を動けぬよう押さえ、背中に烙印を押された。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
激痛のあまり暴れようとしたが押さえつけられたため、ひたすらもがき苦しむことしかできなかった。
悟郎・少年時代
あの感覚は未だに我の背筋を凍らせる。皮を、肉を、焼き尽くす激痛。そんな事には全く気にせずあの男は、心臓にまで届かせるほど強く長く押し当てた。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
村人たち
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
村人たち
村人たち
村人たち
悟郎・少年時代
村人たち
ドカッ!!
悟郎・少年時代
村人たち
ドカッ!
村人たち
ドカッ!
村人たち
ドカッ!
村人たち
ドカッ!ドカッ! ドカッ!ドカッ!
彼らはほんとんど隙を与えなかった。烙印を押されたばかりの我を再び木刀で殴り、足蹴にし始めた。
村人たち
グサッ
悟郎・少年時代
烙印を押しつけたあの男は先程我の腹に押した刃で、我の二の腕の刺青を刺した。あやつは苦痛を与えるため、貫通した刃をそのまま肉を抉るようにゆっくりと動かした。嘲笑いながら。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
村人たち
村人たち
ドカッ!ドカッ! ドカッ!ドカッ!
ドカッ!ドカッ! ドカッ!ドカッ!
容赦なく殴り続ける男が叩きつける罵詈雑言は、肉体的に、精神的に痛めつけられた我の心を深く抉った。
ドカッ!ドカッ!
ドカッ!ドカッ!
悟郎・少年時代
この薄暗い座敷牢に入れられてどれくらい経ったのじゃろうか。この気が狂いそうな場所で何度も殴られ蹴られてあちらこちらの骨が折れた。しかしもはや痛みも感じなくなってきた。目の前が霞んでゆく中、脳に浮かび上がってくる。
我さえ…いなければ…… こんな事に……こんな仕打ちも…… 何も…
殺せ…いっその事 殺せ…… 早く我を殺せ……
村人たち
村人たち
村人たち
村人たち
村人たち
「有り得ねぇんだよ 馬鹿が!!」
ドカァッ!!
悟郎・少年時代
その言葉を最後に、木刀で頭を殴られて我は再び気絶した。
気が遠くなってゆく中、 やっと死んだのかと思った。
そこからも、また覚えておらん。
気付けば外に居た。絞められていた縄は千切られ、赤黒く濁っていた。
悟郎・少年時代
今度は村が荒れ果てていた。周囲には村人たちのバラバラになった真っ赤な死体が転がっていた。先程の任務と同じようじゃった。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
”粛清の間”で痛めつけられた身体が異様に血塗れじゃったことに、これは村人たちの血だと察した。これもまた、任務の時と全く同じだ。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
混乱して目の前が真っ白になった。涙が止まらなかった。、記憶には一切無いが、体は鮮明にその感覚がのこっていたからか、自分自身がやったかのように思えてしまった。
「悟郎!!」
悟郎・少年時代
馴染みのある声で視界が晴れた。声の主は、璃玖斗の死を受け入れ前に進もうとして髪を伸ばし始めた17の 凜々愛殿じゃった。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
凜々愛・少女時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
凜々愛・少女時代
悟郎・少年時代
あの時の凜々愛殿は女神のようじゃった。粛清されるべき我を優しく抱きしめ慰めてくれた。この瞬間だけ安心でき、気を取り直すことができた。
凜々愛・少女時代
凜々愛・少女時代
「二重人格だって」
悟郎・少年時代
いきなりそう言われて何を言っているのか理解が追いつかなかった。しかし顔を合わせ、我の頬に垂れる大粒の涙を拭って言った凜々愛殿は真剣じゃった。
凜々愛・少女時代
悟郎・少年時代
凜々愛・少女時代
悟郎・少年時代
心当たりがあったから、ほんの僅かだか理解が追いついた気がした。しかし、 その時に殺した時であろう感覚が、生々しく残ってた。まるで本当に自分がやったかのように、気味が悪かった。
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
凜々愛・少女時代
悟郎・少年時代
「死んで償うしか…!!」
凜々愛・少女時代
それから村を出た後の4年間、我は山での修行をすることにした。そして定期的に山を下りては殺しの依頼を受けて稼ぐようになった。
それを繰り返していくうちに、我の殺しの仕事を見た者も誰であろうが徹底的に始末していくようにもなった。
最後の依頼を受けた時に出会った 康一を除いて……
いや、あの盲目の男もか…
山にこもっての修行は村が崩壊した後じゃった。裏人格を制御できるよう、克服せねばならぬと決心したからじゃ。
一人になったのは万が一また裏人格が出てきて暴走する際に誰かを傷つけるかもしれんからじゃ。我が知らぬ間に人が傷付いているのはもう見たくなかった。
それ故、凜々愛殿と距離を置いた。
裏人格を知り、制御できるためには強くなる必要があった。村が無くなっても 祖父君のようにならねばなかった。
それでも…あの時殺した村人たちの 恨みや憎しみは消えぬ。
”粛清の間”での拘束された手首や首に残った縄の痕も、背中に押された烙印も、覚えのない腹の傷も、村長の象徴である刺青と同じように。
未だに村人達の怨霊が我に付き纏い 矢のような鋭い目つきで串刺しにするかのように睨み付け、殺意を込めた手で爪を立て首を絞めてくる。
じゃが構わない… いつかこうなると思っておった
これが報いならば…いっそのこと… このまま……
パチィンッ!!
悟郎・少年時代
悟郎・少年時代
凜々愛・少女時代
悟郎・少年時代
凜々愛・少女時代
凜々愛・少女時代
凜々愛・少女時代
ドクンッ!!
ギリ…ギリ…
ブチン!!
「ん?お、おい!お前!!」
ガシッ
「アガッ...!?」