僕の名前は速水泰輝。
速水
速水
今は料理に奮闘している【ヒトクイ】だ。
僕の主食はヒト……つまり人肉だ。
【ヒトクイ】は人肉から栄養を賄える生き物だ。 人間が普通に口にする食べ物は【ヒトクイ】は栄養として摂取出来ないし何より凄く不味い。 けど、人間社会で生きなきゃいけないから人前では当たり前のように口にして生活しなくちゃならない。
飲み会や兄貴らに食事に連れてって貰うのは嬉しいがだいたいトイレで吐きまくっている。
……僕はこんな見た目のせいかキャバクラのキャストさんや姐さんにお菓子とかよく貰うが…… その時は笑顔を貼り付けつつ内心滅茶苦茶冷や汗をかいているのだ。
さてさて、 そんな僕が料理をしてる理由…
それは組への差し入れだ。
実は僕って組内では料理上手で通ってるんだよね。
これもうまく人間社会に馴染むためにレシピ本とか読み漁ったりした結果。 まぁ、ちゃんとレシピ通り作ればまず問題無い。
回想
それは憂鬱な昼休憩のこと。
ほぼ業務的に食べるための昼弁当を広げた時だ。
飯豊
飯豊
速水
速水
飯豊
飯豊
飯豊君がコンビニの惣菜パンを齧りながら僕の件の弁当を眺めてる。
速水
飯豊
飯豊
飯豊
速水
速水
コンビニって高いし、まだ自分で作った方が味の想像つくから爆死しないし。 そんな理由で手作りしてるだけなので彼女説になんだか別の意味で悲しくなる。
飯豊
飯豊
速水
飯豊君はヒョイと僕の竜田揚げを摘んで口に放り込む。
速水
冷や汗を流して飯豊のを凝視してしまった。
美味しいなんて自分じゃわからない。 もし人間から見て激不味だったら……バレてしまうかも…
飯豊
そんな僕の心配は外れた。
飯豊
速水
速水
速水
速水
飯豊
飯豊
速水
速水
同期の思いやりに、 僕はチョココロネ…じゃなかった飯豊君を恨めしくおもいながらも僕の弁当を美味しそうに食べる彼を眺めた。
速水
飯豊君から話しを聞いた兄貴達の脅し、ゲフン命令で試しにサンドイッチとかカツサンドとかを持って行ったら…
いつのまにか差し入れをもっていくことが僕の暗黙の枷になってしまった…
チョココロネ、許すまじ
まぁ、お陰で信用…って意味ではかなり強いけど。
速水
速水
味見を一応したが、 不快な食感と味にそう呟く。
天羽組事務所
速水
小峠
飯豊
速水
速水
小林
小峠
速水
速水
小林
飯豊
事務所にいた小林の兄貴、小峠の兄貴、飯豊君は和気藹々とタッパーの周りを囲む。
その間に、今ここにはいない兄貴達用に唐揚げを別に分けておく。
小林
速水
速水
いつの間にか背後を小林の兄貴に取られ、 ビビリ散らかす僕。
小林
すると兄貴は僕に向かって口を開ける。
え、僕食べられる⁇
そんなことを思ったくらいに兄貴の口は大きく… 犬歯が鋭かった。
小林
速水
意味を理解した僕は慌てて唐揚げを摘んで兄貴の口に。
速水
小林
小林
小林
速水
指先に感じる柔らかい感触。
それが兄貴の舌や唇だと気づいたら、 兄貴は脂を舐めとるように指に吸い付いて唇を離した。
小林
小林
速水
速水
速水
僕よりこの人の方が【ヒトクイ】だ。
兄貴は全く反省してないようで僕の頭を握りながら催促してきたので、 頭を割られたくない僕は一生懸命給餌機となったのだ。
飯豊
小峠
小峠
小峠
飯豊
おしまい!
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