コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
3年程前のことです。 母方の祖母が亡くなりました。
認知症と不摂生で別人のように やせ細り施設に入所してから
4年目の春のことでした。
大学受験が忙しい バイトのシフトで忙しい
忙しいを言い訳にして あまり施設を訪ねませんでした。
きっと心のどこかで 祖母は長生きする、と
根拠のない自信があったんです。
なので訃報を聞いた時 ショックで涙は出ませんでした。
祖母の通夜では 祖母の死を実感し
涙が止まらなかったのを 覚えています。
心残りは2つありました。
ひとつは祖母に成人式の 振袖姿を見せられなかったこと。
もうひとつは祖母の亡くなる前日 施設のノートに書いてあった
「寂しい」という祖母の言葉。 祖母を寂しい気持ちのまま
逝かせてしまったという どうしようもない後悔でした。
身内は通夜の会場で ご遺体と最後の夜を過ごせる
ということで祖父が 会場に残ると言いました。
私の家族と、喪主の叔父家族が 帰宅準備を終える頃には
通夜の参列者は既に全員 帰った後でした。
その日は他に通夜をした人もなく 夜も遅かったので私たち以外 建物内にすらいないと聞いてました。
妹
妹が言い出して 私も念の為トイレに行きました。
個室は4つで、 洋式3つと和式1つでした。
2つずつ個室が隣合っていて、私は 妹が入った個室の隣に入りました。
妹
水が流れる音の後に 妹の声が聞こえました。
妹
妹がもう一度言ったのを聞いて もう1人トイレに来ていたことを 知りました。
個室を出ると、確かに 向かいのドアに鍵がかかってました。
向かいのトイレは和式だったので 誰もいなければドアは開いています。
なので、いとこか叔母か 或いは母だろうと思いました。
洋式開いてるのにわざわざ 和式なんだと首を傾げながら トイレを後にしました。
家族と合流した私は 驚きました。
全員揃っていたんです。
私たち以外には祖父しか 建物内にいないはずなのに
女子トイレにはまだ誰かいたのに 家族全員揃っていたのです。
私
思わず聞くと母が 怪訝そうな顔をしました。
私
私
母
母
納得できないまま 裏口から外に出ました。
トイレでの出来事は 見間違いだったと言い聞かせました。
葬儀場だから「出る」と 先入観があっただけかもしれない。
その先入観で個室に鍵が かかってると思っただけかも…。
四十九日法要の時になって 親戚と妹と話してて思い出しました。
祖母はよく洋式が開いている中 和式に入っては母に 止められていたんです。
腰が悪いのに、と。
通夜の後に起きた トイレでの出来事は見間違いじゃなく
祖母が会いに来てくれたのかも しれないと思いました。
ここからは余談なのですが
四十九日法要までの間 故人が家族の傍にいると 聞いたことがありませんか?
私は、その話は 割と本当だと思っています。
というのも…
母
私
母
私
母
と葬式に参列してくれた 親戚と連絡がつかなかったのですが
その数日後、母はご機嫌で 連絡が取れたと言うのです。
私
母
私
母
母
母
いつもだったら 思いつかなかったんだけどね
母はそう言って苦笑いして
母
と嬉しそうに言っていました。
完