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外は、白く曇っていた
高いツリーの飾りにイルミネーション
街中が輝いている
2人で仲良さそうに歩く者たちもいれば、 寒そうに白い息を吐くものもいる
色々な人で賑わっていた
僕は、両親に連れられ街を歩いている
クリスマス
僕は、この季節が大嫌いだった
2年前の冬のこと
大きめの赤い靴下が、クリスマスツリーの下に置いてある
明日にはきっとプレゼントが入っている
今年はなんのプレゼントにしようか…… 期待でむねをふくらませていた
すると、両親がこちらに来た
「出かけるわよ」
どこに行くかは分からなかったが、僕も支度をしてついて行った
雪のなか連れて来られたのは、街で1番大きなショッピングセンター
「好きなものをひとつ買っていいよ」
「いいの……!?やった」
何店か歩いて周り、ひとつのーーを買ってもらった
プレゼントは、両親からも貰えるし サンタさんからもきっと、貰えるんだ……!
なんて、いい日なんだろう
僕は家に帰ってすぐさま、ベッドにもぐった
そして翌朝
プレゼントが入っているであろう靴下を見に行く
「あれ?」
何もない
悪い子には来ないとか言うけど……
僕は違う……と思いたい
「お母さん、お父さん サンタさんからのプレゼントがないよ?」
コーヒーを淹れているお父さんが言う
「昨日買ったじゃないか」
「それは、お父さんお母さんからでしょ? サンタさんからは?」
お母さんがリビングにやってきた
「はぁ……」
ため息をつき僕の前にかがむ 僕の目を見てこう言った
「いい?サンタさんは、居ないの」
「え?あの絵本は? 小学校で読んでもらった絵本には居るって……」
「いいから、居ないものにはいないの 居ないから昨日私達から買ってあげたじゃない」
「……え」
プレゼントが貰えなかったということよりも 居ない、という言葉が心に突き刺さった
俯きながら僕は登校した
教室の話題はプレゼントで、持ちっきり
何を貰ったの?とか、サンタさんはすごい、だとか
そんな話題が耳に入って来る
サンタさんは、居る……かぁ
そんな風に言っている友達が羨ましい
僕は、サンタさんが居ないから両親からプレゼントを貰った
みんなは、“サンタさん”からプレゼントを貰っている
はぁ、僕もサンタさんからプレゼントを貰いたかったなぁ……
机に顔を伏せ、はしゃぐクラスメイトを眺めていた
この日からクリスマスが嫌いになった
そして今日、12月24日
もうすぐショッピングセンターについてしまう
今年も赤い靴下の中身は、きっと空っぽだ