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「彼女」

ねぇ…

ん?

ここは病室だ。

彼女はボーッと窓を見ながら俺に声をかける。

「彼女」

人って死んだらどうなると思う?

え?

唐突な話題に言葉が詰まる。

えっと…

「彼女」

私ねずっと考えてたの

「彼女」

ずっとね…

「彼女」

でも分からないの

そっそうなのか…

考えた事がなかった。

彼女は入院中こんな事を考えていたのか?

「彼女」

ねぇ…

ん?

彼女はまたボーッとして窓を見ている。

「彼女」

私が死んだら悲しむ人なんていないと思うの

はぁ?

「彼女」

むしろ喜んでくれるんじゃないかしら?

…………………

彼女には両親がいない。 親戚の所をてんてんとしていた。

きっと俺の考える何倍も辛い思いをしてきたのだろう。

そんなことないよ。

俺は絶対悲しむ。

辛いよ…

「彼女」

………………

「彼女」

……優しいのね

………………

彼女はボーッとしている。

「彼女」

ねぇ?

なんだよ?

「彼女」

…………………

「彼女」

もうお見舞い来なくていいよ?

はぁ?

彼女唐突に言う。

今度は目と目があった。

俺の目をしっかりと貫く。

「彼女」

彼女さんいたんでしょ?

「彼女」

私なんかに構ってないで
彼女さんを大切にしてよ?

…………

…………ごめん

「彼女」

…………うん

ガラッ

俺は立ち上がって病室を出る。

今日はあいつの誕生日だった。

急いで向かわないと…

「彼女」は死んだ。

手帳には 死ぬのが怖いと書かれていた。

嫌だ死にたくない。 怖い…。 助けて欲しい。 分からないからこそ怖いよ… でも弱音はダメだ… 強くならないと… ───────────────── 今日は■■■の彼女がきた。 ■■■に彼女がいるなんて驚き… ■■■は、来れないから代わりだと… だけど彼女も■■■も正直迷惑って言ってた… ごめんね、私はみんなに迷惑をかけるんだな…って改めて思う。 ■■■は幼なじみだけどいつまでもしがみついちゃダメだよね…。 明日でお別れしよう…。 ───────────────── 今日も■■■は来てくれた… 嬉しいけど複雑だよ… 私は■■■の事■■だけど、絶対 言えない…。 どうしよう…本当にダメだと思うのに…今日も甘えてしまう。 ─────────────────

き ょ うし ね てよか た

これで…最後

…………

彼女

………最後は1人で息を引き取ったそうよ

……悪い

今日は1人にさせてくれ

彼女

………大丈夫よ

あっ…やばい…日記

持って帰ってた

き ょ うし ね てよか た

………妙にあの言葉が頭から離れられない

彼女には悪役をさせてしまった…

…俺が頼んでしまったから

いい加減…もう「彼女」の面倒を見るのは辛いんだ…

じゃあ私が行ってきてあげよっか?

幼なじみなんでしょ?

そう…だけど 傷つくよな…

でも…それは俺くんも一緒でしょ? ずっと「彼女」に縛り付けられてる

だから私が自由にさせてあげる

………………

ん?このページ何か書いてある?

筆圧が濃いから……

鉛筆でやればわかるか?

ひっっ!

なんだこれ!?

パサ

……………

慌てて落としちまっちゃった

ん?なんだこれ?

え!?今日の日付…

なんだよ…なんなんだよ!

怖すぎだろ?

まさか…こんなイタズラするなんて…

本当に悪趣味だな…

……
俺は嫌いだよ

ピンポーン

ひっっ!

なんなんだよ

彼女

ねぇ!?ねぇ!?俺くん開けて?

ん?彼女?

彼女

ねぇ!?開けてよ〜

彼女

俺くん開けて??

彼女

お〜れ〜く〜ん〜?

ちょっと待ち

ドアスコープを見るがよく見えない

彼女?

ねぇ!?俺くん開けて

彼女?

開けてよ?

彼女?

なんで開けないの?

彼女?

開けて?

彼女?

早く

彼女?

ねぇ!?居るんでしょ?

わかったよ

やけにしつこいな

ガチャ…─

「彼女」

俺くん

なっなんでお前が

「彼女」

…やっと会えたね

「彼女」

今度はずぅぅぅっと一緒だよ?

俺は「彼女」が嫌いだった

幼なじみだからって限度があるだろう

あいつは分かってんのか分かってないのか

俺の隣はいつも自分だと思い込んでた

そんなのとっくのとうに無くなっている

家庭の事情を引っ張り出しては俺の隣だと周りにひけらかす

さも当たり前のように

「彼女」が死ぬ病気にかかると聞いた時は心底喜んだ

最低なのは分かっている

だけど…

あいつの好意はもう懲り懲りだ

あいつは無限の好きを俺にぶつけてくる

それは時に俺を縛り付けるみたいに苦しかった

だから離れた…

はずなのに…

「彼女」

俺くんは私のモノ

「彼女」

大丈夫

「彼女」

怖くないよ?

………………

「彼女」

大丈夫

「彼女」

逃げられないけど

…………………

「彼女」

決して辛くは無いよ?

「彼女」

ずっと一緒なだけ

「彼女」

死ぬまで…あっ!もう死んじゃったから

「彼女」

死ぬまでじゃあないね

「彼女」

永遠にだね

………………

「彼女」

私は本当に幸せだよ

「彼女」

ふふ♬俺くん

「彼女」

だぁーい好きだよ?

俺は「彼女」から離れられない

なぁ!あんた

…そうだよ画面の前のあんただよ!!!!

助けてくれ

お願いだ!!!!

俺から「彼女」を解放してくれ!!!!

おっ!おい????

これ以上進まないでくれっ!

じゃないと

俺は!!!!

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