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怪談はマスターと共に

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怪談はマスターと共に

1 - 怪談はマスターと共に

2019年07月05日

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カランカランッ

マスター

いらっしゃいませ

タカシ

はぁっはぁっ

タカシ

ど、どうも

マスター

雨でも降ってきましたか?

マスター

息が上がっておられるようですので

タカシ

ああ、いや

タカシ

ちょっと走りたくなっちゃって

タカシ

ははは

マスター

そうでしたか

マスター

何か飲んで行かれるでしょう?

マスター

お飲み物は何になさいますか?

タカシ

ええーっと、俺barとかあんまり来たことなくてよく分かんないんですけど

タカシ

何かオススメとかありますか?

マスター

そうですね…

マスター

お酒はお得意な方ですか?

タカシ

あまり強い方ではないですね

マスター

では、度数が低めで飲みやすいものをこちらでお作り致しますね

マスター

味の好みなどはございますか?

タカシ

じゃあ、さっぱりしたようなものを

マスター

畏まりました

ーーーーーーーーーーーーー

マスター

お待たせ致しました

タカシ

ありがとうございます

タカシ

あ、これ凄いさっばりしてて飲みやすい

マスター

ご希望に添えたようで良かったです

タカシ

あの、ちょっと変なこと聞いてもいいですか?

マスター

ええ、何でしょう?

タカシ

帰り道とかにある街灯って大体何メートルぐらいなんでしょう?

マスター

街灯ですか?

マスター

そうですね…大体4〜5メートルぐらいじゃないでしょうか?

マスター

最大でも190センチ辺りではないでしょうか?

タカシ

そうですか、やっぱりそんなもんですよね

マスター

質問の意図をお伺いしても?

タカシ

なんかこれも変な話なんですけど

タカシ

帰り道で街灯の下に女性が立っているのが見えて

タカシ

スラッとした身体つきのスタイルの良い人だなあと思ってたんですけど

タカシ

街灯に少し近付いてみたらその女性の身長が少し高すぎる気がして

タカシ

燻んだ赤色のワンピースとか長い髪で隠れた顔とかが不気味で、なんか怖くなって走って逃げてしまって、人のいる所を探してる時にまだ明かりのついてたここを見つけて飛び込んだんです

タカシ

今改めて思い返すと、その女性の身長街灯を少し追い越すぐらいあったんです

マスター

仮にその時の街灯も4〜5メートルぐらいだったとたしても、少し高過ぎますね

タカシ

はい、流石に5メートルもある女性なんているわけがないし

マスター

失礼ですがお客様、明日は何かご予定などはございますか?

タカシ

え? 明日は休みですけど

マスター

そうですか

マスター

…もし宜しければ本日はこのまま朝まで飲んで行かれませんか?

マスター

うちは明け方の6時まで営業しておりますので、それまで

タカシ

そりゃあ、明日休みなんで大丈夫ですけど

タカシ

一体どうして?

マスター

昔お客様から聞いた話と似ている気がしまして

マスター

そのお客様は同じような女性に遭遇した後、札を貼ったり盛り塩をした部屋に夜通し引きこもって事なきを得たと言っていました

マスター

なんでも噂ではその女性に気に入られた人は何処かへ連れて行かれてしまうとか

マスター

如何でしょう?

タカシ

そう言っていただけるのなら是非!

タカシ

このまま家に帰るのは正直心細いと思っていたので

マスター

では、今日は飲み明かしましょうか

タカシ

良ければマスターも一緒に飲みませんか?

マスター

いえ、私は仕事中ですので

マスター

ですが、ノンアルのものを一緒に頂きますね

数時間後

タカシ

(気付いたらもう3時過ぎか)

タカシ

マスターの話は面白くて時間が経つのが早いですよ

タカシ

それに聞き上手でもあるし

タカシ

こんなに自分の話をしたのは初めてですよ

マスター

お客様の話を聞くのも仕事みたいなものですし

マスター

何より人の話を聞くのが好きな性分なのですよ

タカシ

あ、そういえば さっき話してた中でオススメの映画とかありますか?

タカシ

今度の休日にでも見ようかと思っ

ガタンッ

タカシ

…なんの音でしょう?

ガタンッ

マスター

入口の方からのようですね

ガチャガチャガチャッ

タカシ

入口を開けようとしてる?!

マスター

大丈夫です

マスター

鍵はちゃんと閉めてあります

マスター

安易にここには入れない筈です

ーーーーーー

タカシ

音が…止みましたね

マスター

そうみたいですね

タカシ

はああ…ちょっと怖かった

タカシ

あ、お水とか頂いても大丈夫ですか?

マスター

はい、すぐお作りしますね

ガタッ

マサユキ

タカシー

タカシ

え?

マサユキ

俺だよ、兄ちゃんだよ

マサユキ

久し振りだな

タカシ

え、兄ちゃん?

マサユキ

そうだよ

マサユキ

俺の声を忘れたのかよ

タカシ

忘れるわけねぇだろ!

タカシ

今までずっとどこ行ってたんだよ

タカシ

本当に…心配したんだぞ

マスター

不躾なことをお聞きしますが

マスター

お兄様は家出などなされていたのですか?

マスター

それで暫くお会いしていなかったとかでしょうか?

タカシ

兄ちゃ、兄は俺が16の時に行方不明になって

タカシ

もうかれこれ5年になります

タカシ

両親も俺も必死に探したけど全然見つからなくて

タカシ

生きてて良かった…

マサユキ

今までごめんな

マサユキ

父さんにも母さんにもタカシにも心配かけたよな

マサユキ

でももう大丈夫だから

マサユキ

一緒に家に帰ろう

マサユキ

家に帰って俺の無事な顔を両親に見せに行こう

マサユキ

またみんなで一緒に母さんの料理食べたいな

マサユキ

母さんの作ったジャガイモがゴロゴロ入ったポテトサラダ

マサユキ

あれ結構好きだったんだよ

タカシ

確かに、兄ちゃんあれ好きだったよな

タカシ

母さんも本当に喜ぶよ

タカシ

母さん今でもずっと兄ちゃんの帰りを待ってるんだから

マサユキ

そうか…母さんを早く安心させてあげないとな

タカシ

そうだよ、だから早く帰ろうぜ

マスター

……お客様

マサユキ

ああ、早く帰ろう

マサユキ

さあ、ここを開けてくれ

マサユキ

そしたらすぐにでも一緒に帰れる

タカシ

ああ、わかっ

マスター

お客様!!

バンッ

タカシ

うわっ、ビックリした

タカシ

急にテーブルを強く叩かないでくださいよ

マスター

冷静になってよく考えてみてください

マスター

5年も行方不明のお兄様が何故急にこんなbarの入り口に現れたのですか?

タカシ

それは街中でたまたま俺を見つけて後をつけてきたとか

マスター

見つけてすぐ声をかければ良かったではないですか

タカシ

そ、それは久しぶり過ぎて声がかけにくかったとか…

タカシ

でも声は確かに兄の声です!

タカシ

俺が聞き間違えるはずがない!

マスター

少し落ち着きましょう

マスター

冷静になって考えてみて、それでも開けるというのでしたらもうお止めはしません

タカシ

でも、すぐそこに兄貴が…

マサユキ

なあ、まだなの?

マサユキ

開けてよ早く開けてよ

マサユキ

一緒に帰るんだろ?

マサユキ

早くしないともう二度と会えなくなるぞ

マサユキ

なあ、早く

マサユキ

早く早く早く

マサユキ

開けてよ

マサユキ

早く開けろよボケ野郎がよ!

マサユキ

ぶっ殺すぞ!

マサユキ

開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ

ドンドンドンドンドンドンドン

タカシ

うわっ!

タカシ

(こんな暴言を吐きながら乱暴にドアを叩く奴が、本当にあの優しかった兄ちゃんなのか?)

マスター

あと2時間程で夜明けです

マスター

もう少しの辛抱です

タカシ

……はい

2時間後

タカシ

(あんなに騒がしかった入口が凄く静かになった)

タカシ

もう日が昇ったんですかね?

マスター

時間的にそうでしょうね

マスター

もう大丈夫でしょう

タカシ

ありがとうございました

タカシ

マスターがいなければ今頃どうなっていたか…

マスター

いえ、私もお帰りを引き止めた側ですから

マスター

そうですね、何かお礼をと思ってくださるのでしたら

マスター

またお店に来て頂けることが私にとって嬉しいことです

タカシ

そうですね、絶対にまた来ます

マスター

ええ、お待ちしております

タカシ

それでは、失礼します

ーーーーーーーー

マスター

では、店内の清掃作業をしましょうか

マスター

ん?

大女

………

マスター

ああ、お客様が話されていた背の高い方

マスター

あなたのお気に入りはもう行ってしまわれましたよ

マスター

お兄さんだけで満足するべきでしたね。欲張るものではない。

マスター

それでは、まだ仕事中ですので失礼致します

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