母ちゃんが正解にたどり着いた
二人の関係を知って俺も驚いた
二人は高校の同級生だった
でも俺はその事を知らなくて
母ちゃんの前で思わず言ってしまった
明日夢
愛紗
明日夢
明日夢
明日夢
慌てて誤魔化したけど
変に怪しまれたりしてないかな?
俺は母ちゃんのことを殆ど何も知らなくて
母ちゃんと一緒に暮らしていないのにも理由があるけど
そのことを過去の母ちゃんには知られたくなかった
母ちゃんがそれを知ったら絶対にショックを受けてしまう
だから俺が会いに来た本当の理由も全て
胸の奥にしまっておくと決めていた
でもモヤモヤする
俺は二人が同級生だったことを知らなかった
同じ野球部だったことも聞かされていない
父ちゃんはどうして何も教えてくれないんだろう?
明日夢
明日夢
この前、写真を探した時には気づかなかったけど
本棚の隅に一冊だけ卒業アルバムが仕舞われていた
少し埃っぽかったから
もう長いこと触れられていなかったのかもしれない
最後のページの沢山のメッセージの中に
母ちゃんの部屋で見た父ちゃんのメッセージを見つけた
本棚にあったのはこの一冊だけで
父ちゃんのはどこを探しても見当たらない
あいちゃんへ お元気で。 中崎丈太郎
十八歳の父ちゃんが書いた文字
この頃の父ちゃんは
母ちゃんのことをどう思っていたんだろう?
母ちゃんの気持ちには気づいていたのかな?
じいちゃん
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
じいちゃん
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
二人が高校の同級生で同じ野球部だったこと
修学旅行がきっかけで母ちゃんは恋をして
約一年間、父ちゃんに片想いしていたこと
でも俺はそんな話を聞かされた覚えがない
じいちゃん
明日夢
明日夢
明日夢
じいちゃん
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
じいちゃん
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
じいちゃん
じいちゃん
明日夢
じいちゃん
じいちゃん
じいちゃんの言う"その時"はいつ来るんだろうか?
もしかしたらこのまま
何も教えてもらえないんじゃないか?
そんなことばかりを考えてしまう
知りたいことは沢山あるけど
今は何を聞いても答えてくれない気がする
いつもみたいに忘れたとか
覚えていないと言われる可能性が高い
母ちゃんのことが大切だから……
じいちゃんはそう言ってたけど
本当にそうなのかな……
あんなことがあったから仕方ないって思っていたけど
もしかしたら本当は俺のこと……
だって母ちゃんは俺のせいで……
丈太郎
明日夢
丈太郎
明日夢
明日夢
俺は愛されて生まれてきた
じいちゃんとおばあちゃんはそう言ってくれているけど
父ちゃんが本当は何を考えているのかわからない
俺のために働いてくれているし
こうやってごはんも作ってくれる
相談にも乗ってくれるけど
それは俺が息子だからで
父親としての義務を果たしているだけなんじゃないか?
ダメだ
今日は悪い方に気持ちが持っていかれてしまう
不安な気持ちが膨らんでいく
こんなことを言ったら父ちゃんは怒るかな?
でもどうしても思ってしまう
どうしても……
こんな気持ちになってしまう……
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