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ハル
私は電話越しに叫ぶ。
ハル
ハル
受話器の向こうで、兄が不機嫌そうな声を上げた。
ユキ兄
ユキ兄
ハル
ハル
ユキ兄
ユキ兄
ハル
ハル
ハル
ハル
ユキ兄
兄はそう言って、呆れたように笑う。
ハル
ハル
ハル
ユキ兄
ハル
ハル
ユキ兄
ハル
ユキ兄
ハル
ユキ兄
ユキ兄
ハル
ハル
ユキ兄
兄が言い終わらないうちに電話を切り、身支度を始める。
必要なものを近くにあったカバンに詰め込んだ。
ハル
ハル
地図を確認すると、実家までは距離はあるものの、電車一本でいけるようだった。
ドアを勢いよく閉めると同時に、私は駆け出した。
ハル
ハル
私はインターホンを連打する。
ハル
ドン、とドアをたたいてみる。
するとインターホンの電源が付き、寝ぐせのひどい兄の顔が映し出された。
ハル
私は思わず吹き出す。
ユキ兄
ユキ兄
ハル
ユキ兄
兄が呟き、画面が暗くなる。
すぐにドアが開き、不機嫌そうな兄が出迎える。
ハル
ユキ兄
ハル
ハル
ユキ兄
兄の後を追い、リビングへと上がる。
昨日までと何も変わらない。
ソファの位置も、お父さんのお気に入りの絵画も、変わらずここにある。
そのことが私の心を落ち着かせ、何もかも夢だったのではないかとさえ思えてくる。
ハル
私はミルクティーを飲もうと、いつも使っている専用のマグカップを探す。
キッチンの裏側へと回ってみると、見慣れない食器や調理器具がいくつもあった。
食器棚の中を覗き込むも、そこに私の探しているマグカップはない。
仕方なく手前にあるものを手に取り、冷蔵庫を開ける。
ハル
ハル
ユキ兄
ユキ兄
ユキ兄
ハル
兄の言葉に、私は確信を持つ。
ハル
兄は怪訝そうに私を見つめる。
ユキ兄
ハル
ハル
ユキ兄
兄が渇いた声で笑う。
ユキ兄
ハル
ハル
ハル
ハル
ハル
ユキ兄
ハル
ユキ兄
ハル
ユキ兄
兄が大きなため息をつく。
ユキ兄
ハル
兄は昔から発明が大好きで、2人で試作品を試してみては失敗、ということが何度もあった。
ユキ兄
兄はゆっくりと息を吐き、呆然とする。
しばらく俯き黙っていたが、突然立ち上がり声を張る。
ユキ兄
ユキ兄
ハル
ハル
ハル
ユキ兄
ユキ兄
ハル
ハル
ハル
ユキ兄
ハル
ハル
ユキ兄
先ほどまで小さくなっていた兄が、途端に声を張る。
ハル
ユキ兄
ハル
ユキ兄
ユキ兄
ハル
ユキ兄
兄は仁王立ちで腕を組み言う。
ユキ兄
ユキ兄
ハル
馴染みのない言葉に私は飛び跳ねる。
ユキ兄
付き合っているとは思っていたけど、結婚の約束までしているなんて。
思わず言葉を失ってしまう。
ユキ兄
そんな私を横目に兄が続ける。
ユキ兄
ユキ兄
ユキ兄
ユキ兄
ハル
ユキ兄
ユキ兄
兄の言っていることは、一見正論のようで無茶苦茶だ。
言葉巧みにいつも私は騙されてきた。
だからここで、食い下がるわけにはいかない。
ハル
私は再度兄に頼み込み、説得を試みる。
けれど、いくらやりやったって、兄に口で勝てるわけがない。
ユキ兄
ユキ兄
ハル
反論する私に兄が畳みかける。
ユキ兄
ユキ兄
ユキ兄
ユキ兄
ユキ兄
ハル
ユキ兄
ユキ兄
ユキ兄
ハル
ユキ兄
ユキ兄
ユキ兄
語り掛けるような優しい口調で兄が言う。
心の底から納得できたわけではない。
だけど、兄が言うように私はイレギュラーな存在だ。
本当なら、存在していないはずだから。
だから”ハル”として行動したほうがいいという兄の言い分は理解できる。
ハル
私がそう言うと、兄は満足げに微笑む。
ユキ兄
ユキ兄
ハル
先行きを案じつつも、私は小さく頷いた。