テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

冬空に響く

一覧ページ

「冬空に響く」のメインビジュアル

冬空に響く

1 - 冬空に響く

2018年12月23日

シェアするシェアする
報告する

コンビニ店員歴 そろそろ半年

高校は卒業間近

いらっしゃいませ 長谷川岳です

長谷川岳

温めますか?

半年も働いていると それなりに 常連客もわかってくる

長谷川岳

(このお客はいつも温め)

毎週決まった 時間に来る客

長谷川岳

(この人はタバコとガム)

常に電話してる客

長谷川岳

(寒いのに絶対アイス…)

…………

…この辺ホストクラブとかないよな…?

店長

岳くんごめん 外のゴミ箱新しい袋に交換してくれる?

長谷川岳

あ はい

長谷川岳

寒…!

半年も働いていると

気になる子もいる

友達

声掛ければいいのに

長谷川岳

ぶわっ

長谷川岳

馬ッ鹿か
バイト中に!

友達

真面目
てか交代 お疲れ

長谷川岳

…おう

正直 名前も知らないし

長谷川岳

お疲れっす

店長

お疲れー

物凄い悪女という 可能性もあるから 一目惚れはしたくない というか…(小心者)

長谷川岳

(でも────)

初めて見た時思ったんだ

長谷川岳

お…お弁当

長谷川岳

あたためられますか!?

長谷川岳

(ヤベェ変な敬語使った!)

大宮史帆里

・・・

長谷川岳

………………………………………………………………………………………………え

店長

長谷川君温めて

長谷川岳

うぁっはい!

微かに頷いた…?

長谷川岳

(そうか こういう客もいるよな)

長谷川岳

お待たせしました

人見知り?

ただ無愛想なのか…

大宮史帆里

ありがとうございます(小声)

店員

ありがとうございましたー

店長

長谷川君
ありがとうございました
ちゃんと言おうね

長谷川岳

あっありがとうございましたぁ!

店長

僕にじゃなくてね…

この子…

長谷川岳

悪い子じゃない!と!!

友達

はいはい

友達

確かにあの子
聞き取りにくいけど
丁寧にお礼言うよな
あ 猫

長谷川岳

だよな

名前も何も知らない 分かっているのは

ほぼ毎日

昼か夜に1度 お弁当を買っていくこと

あとは────

長谷川岳

────

長谷川岳

ああ────
髪切ったんだ

長谷川岳

可愛い…

長谷川岳

…………………………………………………

長谷川岳

…………です

長谷川岳

よ………?

大宮史帆里

…………………………

ナンパか!!!

長谷川岳

(いやストーカー!?
ボーッとしてて口に…!)

俺がコンビニ店員だって認識してない

可能性も……

大宮史帆里

ありがとう

澄んだ 良く通る

友達

岳ー 猫捕まえた

長谷川岳

死ぬ…/////

友達

猫アレルギー?

声 出るじゃん

響いた

長谷川岳

────今日はバイト無し
学校も午前だけ 暇だなー

長谷川岳

(あれから何度かあの子接客したけど特に変わりないし…)

公園

長谷川岳

寒くないんですか?

大宮史帆里

・・・

聞こえねー!!

長谷川岳

(この前のは幻聴!?)

長谷川岳

ごめんなんて?

大宮史帆里

あ…さ寒い…です
マフラー忘れて

なんだ やっぱり声…

大宮史帆里

あと

大宮史帆里

遠くないですか 少し

長谷川岳

…近づいたら
声 小さくならない?

大宮史帆里

な…り・・・

長谷川岳

何て?

長谷川岳

んじゃ このまま
良かった ちゃんと話せて
この間は急にごめん
覚えてる?コンビニの前で…

大宮史帆里

…うん 貴方あそこの店員さんだよね…
えと

大宮史帆里

長谷川さん

大宮史帆里

丁寧に接客してくれるから名札で名前見てて…

名札ありがとう!!

真っ昼間からここにいるってことは

多分同い年かな

長谷川岳

それより ここ寒いんでしょ
家とかで食べた方がよくない?遠いの?

大宮史帆里

家…は……

大宮史帆里

……

ビュウウ

長谷川岳

ひっ…!

寒空の下

凍えても家に帰らない理由…

長谷川岳

(………いや)

長谷川岳

俺 厚着なんで どぞ
あと…

長谷川岳

やっぱ隣 失礼します

大宮史帆里

(…あ 風)

長谷川岳

声 小さくなんないでね

大宮史帆里

長谷川岳

いや…その声
すごく澄んでいるというか
心地良いつーか…

長谷川岳

貴方の声好きなの…で

大宮史帆里

……………

大宮史帆里

……………わ

大宮史帆里

私は嫌い

次の日

長谷川岳

フラれた気分です…

友達

自分の声が嫌いっつー意味だろ?

長谷川岳

多分そうだけど…でも

友達

おら レジ行ってこい

長谷川岳

いっいらっしゃいませ

長谷川岳

(来たし!)

長谷川岳

130円です!

つかジュース1本で初めて…

大宮史帆里

袋はいいです

大宮史帆里

昨日のお礼です

大宮史帆里

お大事に

友達

ありがとうございましたー

友達

……岳 お前
もしかして熱ある?

長谷川岳

えっ何でわか…

友達

だって あの子 今
お大事にって
よく見りゃ顔赤いし

長谷川岳

バレバレ…
うわ…ヤベ
俺だっさ…
マフラー貸しといて…

でも

【マフラーありがとう 大宮史帆里】

長谷川岳

ニヤける……!

友達

帰って寝ろ

長谷川岳

はっ そうか!

長谷川岳

じゃあ早退するから
後よろしく!

タッ

友達

少しは病人らしく振る舞えや

長谷川岳

お 大宮さん!

大宮史帆里

長谷川さん…
大丈夫なの 走って

長谷川岳

俺 元々体温高いし
ちょっと位熱あっても平気だから
…てか

長谷川岳

今日 普通に声だしてるよね
何かあった?

大宮史帆里

大宮史帆里

それは………

大宮史帆里

長谷川さんが私の声好きって言ったから

長谷川岳

……

長谷川岳

長谷川岳

もう1回

大宮史帆里

い 今のは聞こえてたよね!?

大宮史帆里

…昨日は自分の声が嫌いって言ったけど

大宮史帆里

長谷川さんとは関係ないし

関係…?

大宮 父

珍しいな こんな所にいるなんて…

大宮 父

史帆里の友達か?

何だ…?

この人────

長谷川岳

…………

大宮史帆里

お父さん…

長谷川岳

おと……

大宮 父

…ああ
家に見掛けないマフラーがあると思っていたがその男のか
他人の男とは仲良くおしゃべりなんて全く血は争えん…

大宮史帆里

…いや その…

大宮 父

とにかく
…あまり遅くまで出歩かんようにな…

大宮 父

仕事に行ってくるよ

長谷川岳

………大宮さ

大宮史帆里

声がね…
似てるんだって

大宮史帆里

他所で男の人作って出てったお母さんに

大宮史帆里

お父さん?

大宮史帆里

お父さ

大宮 父

うるさい!

大宮 父

その声で…
あの女の声で
私を呼ぶんじゃない

父の本音じゃなかった

思わず言ってしまった一言

大宮 父

汚らわしい声で喋るな!

それでも────

大宮史帆里

それ以来
自分の声が嫌い

大宮史帆里

人とは出来るだけ喋らないようになって
勿論お父さんとも

だから寒い公園で

家にと帰らず

大宮史帆里

だからずっとギクシャクしたまま

1人で────?

大宮史帆里

髪型 長谷川さんに褒められたり 久々に普通におしゃべりできて舞い上がっちゃった
嫌な想いさせるくらいなら誰とも喋らないって決めてたのに

大宮史帆里

ちゃんとしなくちゃ

どんどん掠れて

大宮史帆里

迷惑かけちゃって

消えていく

大宮史帆里

ごめん…ね

それが君の『ちゃんと』?

長谷川岳

ありがとうございましたー

友達

…最近あの子来ないな

長谷川岳

……

友達

店長こいつ客に手出して売り上げ下げて

長谷川岳

ねーよ…!!

お客さん

すみません

長谷川岳

いらっしゃいませ
お弁当温めますか?

公園

長谷川岳

ども

長谷川岳

初めて こんなとこで
コンビニ弁当食ったけど

長谷川岳

美味しくねーな
すぐ冷めるし寒いし

長谷川岳

1人だし

長谷川岳

……大宮さんが納得してるならお父さんのこと俺は何も言えない

長谷川岳

けどさ

長谷川岳

無理やり 自分を抑える必要ないよ
友達とか恋人作って笑うのが駄目なんて俺は思わない

長谷川岳

否定されてきた分だけ周りの人に愛されていいんだよ

『ちゃんと』するって

そういうことだと思う

大宮史帆里

…でも

長谷川岳

それで大宮さんに罪悪感とかあっても

長谷川岳

俺 勝手に言っちゃうから

長谷川岳

好きです

長谷川岳

大宮さんの声が好きです
声控えてもちゃんと丁寧に喋るのが好き
目を見て話してくれるのが好き

大宮史帆里

え…

長谷川岳

髪長いのも好きだったし
短くても超好き

大宮史帆里

長谷川さっ…

長谷川岳

褒めた時照れた顔とか死にそうになる位可愛かったし
つーか今も実は滅茶苦茶抱きしめたいし!?

大宮史帆里

長谷川さん!?

長谷川岳

人に名前呼ばれてこんなに幸せなの初めてだった
好きだよ 大宮さんが

長谷川岳

大宮史帆里

長谷川さん!!

大宮史帆里

…もうわかったから
あ ありがとう…

少しでも俺の声が

言葉が

君に届けばいいな

大宮史帆里

────うん
そう わかった
…じゃあね

大宮史帆里

……

長谷川岳

お父さん何て?

大宮史帆里

うん…今日会って
話すことになった

長谷川岳

そっか

大宮史帆里

また気まずいけど…
でも少しずつ
『ちゃんと』しようって
私もお父さんもずっと逃げてただけだったから

大宮史帆里

気づかせてくれてありがとう

長谷川岳

よし!んじゃもっと頑張れるよう美味いもの食べに行こう!
おごる!

大宮史帆里

え でも…

長谷川岳

2人でも やっぱ外寒いし
コンビニばっかじゃ飽きるし!

長谷川岳

な 大宮さん

大宮史帆里

う…ん

大宮史帆里

(あれ?なんか今…)

響いた

大宮史帆里

長谷川さん

大宮史帆里

もう1回 名前
呼んでもらっても
良い?

愛しい愛しい

君の声

冬空に響く/おわり

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚