白來
???
白來
いない生活なんて
白來
???
???
???
白來
少し冷たくて心地好い ██の手が頬に触れる
その手に頬を擦り寄せ 小さく
白來
と呟いた
???
ね、出発前に変化を
解いた姿、見せてよ
白來
目を閉じて、ヒトの姿から 変化を解いて
大きな白狐の姿になる
???
白い毛並みに顔を埋めた██の その温もりが嬉しくて
白來
白來
そっと目を閉じた
???
俺はお前を封じる
???
行ってきた悪行
???
後悔すれば良い!
身体が重い
ふらつく前脚を叱咤すれば
白の毛に付着した紅が ぽたりと落ちた
???
目の前の青年が 何かを唱えたのがわかる
白來
青年が手刀で四縦五横の格子を 描いたのが視界に映った
白來
プツリ、と
吸い込まれるように 意識が途絶えた
…!
…らさん!
びゃ…ら!
白來
白來
びゃくら!
白來
白來さん!
白來!
白來
眩しい視界
随分と懐かしいような気がする、 この空気
白來
狐
狐
狐
白來
白來
狐
狐
白來
白來
見たことはあるのに、その場の 狐たちの名は思い出せない
そして奥から湧き上がってくる 猛烈な渇き
白來
「待ってて」を口にした瞬間 何か切ないものが込み上げたが
それが何なのか 全くわからないまま
白來
ふらつく足取りで 本能のままに山を降りていった
白來
城下町まで来てみたものの
長い間封じられていたことで 妖力は底を尽きかけている
何年間眠っていたのかは わからないが
白來の知っている景色とは 明らかに全てが違った
白來
ふと、強い気配を感じて 顔を上げる
長い黒髪を後ろで束ねたヒトが 前を歩いていくところだった
白來
白來
ぺろりと唇を舐め 尽きそうな妖力を必死に込める
そうして深呼吸した白來は そのヒトへ近付き、声を掛けた
白來
白來
???
白來
???
白來
長髪の青年
白來
長髪の青年
白來
白來
惑ったことで、保っていた妖力の バランスが崩れたのを感じる
白來
しかしその瞬間、 青年に手首を取られ
長髪の青年
白來
あ、ちょっと…!
人混みの中を通り 狭い裏道へと引っ張られた
妖
妖
雪
誘ったのはお前だろ
妖
思わず叫んだそれは 何かに顔を顰め
妖
妖
雪の生気を吸おうと 無意識に歩みを進めた
妖
雪
雪
雪
雪
妖
倒れそうなその身体を引き寄せ やや浅く口付ける
雪
持つよりも)
雪
大きく受け取れる)
雪
消えるのは防げる筈だ)
妖
雪
妖
妖
雪
雪
妖狐
雪
妖狐
妖狐
雪
あんま変わんないか)
雪
雪
妖狐
雪
妖狐
まだ戸惑いを隠せない様子で 妖狐が1歩さがる
そのまま 踵を返そうとしたところで
カクン、と力が抜けたように その身体が崩れ落ちて
雪
慌てて駆け寄った雪の胸に 倒れかかってきた
雪
妖狐
なんとか己を保ちながら そう言った妖狐を
雪
素早く横抱きにして
雪
人通りの少ない道を通り
自身の仕事場へ向かった
第1話【目覚めと渇き】
続く