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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

白來

絶対…帰ってくるよね?

???

うん

白來

僕、██が
いない生活なんて

白來

絶対ヤダから

???

わかってる

???

それは俺もだよ、白來

???

だから…待ってて

白來

……っ

少し冷たくて心地好い ██の手が頬に触れる

その手に頬を擦り寄せ 小さく

白來

うん…待ってる

と呟いた

???

       ヘンゲ
ね、出発前に変化を
解いた姿、見せてよ

白來

…██が言うなら

目を閉じて、ヒトの姿から 変化を解いて

大きな白狐の姿になる

???

…白來は温かいな

白い毛並みに顔を埋めた██の その温もりが嬉しくて

白來

(僕にとって温かいのは)

白來

(██だよ)

そっと目を閉じた

???

申し訳ないが
俺はお前を封じる

???

神の遣いの名を騙り
行ってきた悪行

???

岩の中で
後悔すれば良い!

身体が重い

ふらつく前脚を叱咤すれば

白の毛に付着した紅が ぽたりと落ちた

???

目の前の青年が 何かを唱えたのがわかる

白來

(違う…僕は)

青年が手刀で四縦五横の格子を 描いたのが視界に映った

白來

(待ってなきゃ…なのに)

プツリ、と

吸い込まれるように 意識が途絶えた

…!

        …らさん!

びゃ…ら!    

白來

(誰…?)

白來

(僕、まだ寝てたいのに)

    びゃくら!

白來

(え、なに)

白來さん!

白來!

白來

っ…?

眩しい視界

随分と懐かしいような気がする、 この空気

白來

あ…れ?

良かった…

目、覚めたんですか!?

待ちくたびれたぜ白來!

白來

あ…えと

白來

……ごめん

大丈夫ですか!?

どうかした?

白來

僕、まだ何が何だか…

白來

それになんか、渇く…

見たことはあるのに、その場の 狐たちの名は思い出せない

そして奥から湧き上がってくる 猛烈な渇き

白來

ごめん…ちょっと待ってて

「待ってて」を口にした瞬間 何か切ないものが込み上げたが

それが何なのか 全くわからないまま

白來

ヒトの生気を…吸わなきゃ

ふらつく足取りで 本能のままに山を降りていった

白來

(マズい…妖力が、もう)

城下町まで来てみたものの

長い間封じられていたことで 妖力は底を尽きかけている

何年間眠っていたのかは わからないが

白來の知っている景色とは 明らかに全てが違った

白來

……!?

ふと、強い気配を感じて 顔を上げる

長い黒髪を後ろで束ねたヒトが 前を歩いていくところだった

白來

(あのヒトの…生力)

白來

(……おいしそ)

ぺろりと唇を舐め 尽きそうな妖力を必死に込める

そうして深呼吸した白來は そのヒトへ近付き、声を掛けた

白來

ねえ、お姉さん

白來

僕と“イイ事”しない?

???

……

白來

ねえ

???

……

白來

っ…ねえってば!

長髪の青年

……あ?

白來

…へ?

長髪の青年

なんだお前…

白來

あ、えと…

白來

お、とこ……?

惑ったことで、保っていた妖力の バランスが崩れたのを感じる

白來

(ヤバ…っ)

しかしその瞬間、 青年に手首を取られ

長髪の青年

…ちょっとこっち来い

白來

えっ?
あ、ちょっと…!

人混みの中を通り 狭い裏道へと引っ張られた

な、なに

離せよ…!

“イイ事”しないかって
誘ったのはお前だろ

あれは冗談だって!

思わず叫んだそれは 何かに顔を顰め

ぅ…無理

ね、お願い

雪の生気を吸おうと 無意識に歩みを進めた

ちょっとで良いから…

(結構不安定な気配だな)

(まさか)

(…妖力が尽きかけてんのか)

…文句言うなよ?

え?っ、ん…!

倒れそうなその身体を引き寄せ やや浅く口付ける

(接吻は身体の関係を
持つよりも)

(相手のエネルギーを
大きく受け取れる)

(これでコイツが
消えるのは防げる筈だ)

っは!…はぁ

ちょっとはマシだろ

〜〜〜!?

何す…!

ああ…なるほど

――お前、妖狐か

妖狐

な、な、なっ

妖狐

わ、なんで!?

妖狐

僕、変化は完璧なのに…

(接吻しても気配は
あんま変わんないか)

(これは結構重傷だな)

治療してやろうか

妖狐

え?

妖力、尽きかけてんだろ

妖狐

……

まだ戸惑いを隠せない様子で 妖狐が1歩さがる

そのまま 踵を返そうとしたところで

カクン、と力が抜けたように その身体が崩れ落ちて

っ…!

慌てて駆け寄った雪の胸に 倒れかかってきた

大丈夫か

妖狐

…だいじょぶ

なんとか己を保ちながら そう言った妖狐を

…どこがだよ

素早く横抱きにして

もう少し我慢してくれ

人通りの少ない道を通り

自身の仕事場へ向かった

第1話【目覚めと渇き】

続く

玉響の刻は縁の果てに【BL】

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コメント

6

ユーザー
ユーザー

第 1 話 か ら キ ス し て る 😳 なんてドキドキ胸キュン続きが気になるカップルでしょうか…😌。冒頭の正体不明の人、呪文…細部まで丁寧に作り込まれていてとても面白かったです✨。

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