白來
白來
長髪の青年
大丈夫じゃねぇんだよ
横抱きにされたまま 青年の家に入る
庶民の物というには立派で 武士の物とも違う作りだ
白來
長髪の青年
長髪の青年
長髪の青年
白來
そっと降ろされたその部屋には
妖が2匹いた
妖
妖
長髪の青年
長髪の青年
長髪の青年
妖
妖
うようよいますから
長髪の青年
白來
妖
妖
よろしくです!
白來
白來
長髪の青年
雪
雪
雪
“ヒトならざるモノ”を
雪
妖
白來
ちらりと雪の方を見れば
雪は陰のある表情で そっと目を伏せた
白來
雪
白來
雪
白來
白來
雪
コイツの治療するから
妖
妖
駆けていく その後ろ姿を見ていると
雪
(ヘンゲ)
変化解いて
白來
???
見せてよ』
白來
急に押し寄せるのは 激しい頭痛
雪
白來
断片的な何かが 頭の中に流れ込んで
どうしようも無い程に、苦しい
雪
雪
この症状…)
雪
何も出来ねぇけど…)
雪
回復させられれば――)
袂から1枚の札を出し 2本の指で挟む
雪
心身静寂、力授呪与
雪
自身の力――呪力を札に込め
そっとそれを妖狐の肩に当てる
妖狐
妖狐
妖狐
雪
妖狐
妖狐
雪
雪
雪
落ち着いたらしいな
妖狐
妖狐
雪
雪
妖狐
雪
雪
雪
雪
呼ばれたい名を名乗ってくれ
妖狐
白來
――白來って呼んで
雪
雪
変化を解いて
雪
白來
白來は一瞬ボーッとして、 それから何かを振り切るように
ブンブンと首を振った
雪
雪
深く息を吸って力を抜く
それと同時に、保っていた妖力が 解けていく感覚があった
白來
白來
あんな変な感覚に…)
よくわからない あの断片的な何かは
もう朧気で
思い出そうとしても 霞がかかって思い出せない
雪
雪
妖力尽きかけてたんだ?
白來
雪
ただ存在してただけなら
雪
ならねぇだろ
雪
一体何してた
白來
白來
じっと見つめてくる その黒く澄んだ瞳に緊張しながら
白來
白來
雪
白來
白來
白來
微かな記憶の中にある その時の手の動きを真似ると
雪
白來
雪
雪
岩に封じられた妖ってのは
雪
白來
白來
雪
白來
雪
白來
って知ってるの?
一瞬、その瞳に陰が差す
雪
面倒な事情があんだよ
憂いを帯びた表情で そう言われ
もう何も言えなくなる
雪
回復させるからな
雪
この1回で終わりだ
雪
雪
我慢しろよ
白來
雪
白來
雪
雪
白來
すぅ、と瞼を閉じたことで 下りてくる闇の中で
雪
急喼如律令
暖かいのに冷たくて 穏やかなのにどこか危うい
そんな感覚の呪力がそっと
自分の身体を 包み込んだのがわかった
白來
白來
眠くなってきたな……)
身体を伏せると、少し冷たい手が そっと毛並みを撫でていく
雪
ゆっくり休め
その声に誘われるように 白來は眠りへと落ちていった
第2話【暖かいのに冷たくて】
続く