逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
「きゃー!!」
逢魔トキ
悲鳴を追うと、教室があった。
その扉の前、女が腑抜けた声で、尻餅を付いている。
女は震えながらも、その対象へと指を指した。
その先を見た、一人の男は悶絶し、一人の男は怒った。
逢魔トキ
俺は彼らの睨む、それを見た。
それは、この世のものとは思えないほどに禍々しく、異質さを放っていた。
脳だ。
人間の脳。それが机に置かれている。
教室全体に配線が蔦のようにへばっていて、その全てがあの脳へ繋がれている。
これ以上他に言える事があるとすれば、
その席が、今ここにいない彼女のものである、という一つのみだ。
男はそう叫ぶと、走った。
俺達もその後を追って走った。
あまり複雑な理由はない。
ただ、すがれる希望を信じたかった。
それは、本格的に息切れを起こしたあたりだった。
理科室の硝子の隙間から、彼にだけは見えたらしい。
男は理科室へと入る。
しかし、他のものは息が切れていたし、息が切れていた。
疲れていて、疲れていて。気分も乗り気でなかった。
これほど探していたのに、誰もその背中を追わず、彼女を見ようとしなかった。
しかし、見たくなくとも、意識というものは向く。
窓を開け、壁に寄り掛かり、外の空気を吸った。
それがよくなかったのだろうか。
つい、そのまま。
理科室のガラスを見てしまった。
彼女の姿は、その時の視界の僅か1割にも満たない。
それだというのに、俺の意識は完全にそこにあった。
逢魔トキ
母親以外で、女の裸体を初めて見た。
それが素直な感想だった。
その瞳孔を見れば、素人目でも死んでいると理解できる。
そう、確信できるほどに、そこに立っていたのは死体であった。
これは昨日転入してきたばかりで、彼女という人間が然程脳裏に浮かばない、
そんな俺だからこそ感じた事なのかもしれないが、
骨格模型と並んでいるものだから、見落としていてもおかしくはないと思えた。
裸体、女の裸体だ。
しかし、欲情はできない。
なぜならば、その身体の半分は肉が裂かれている。
そう、彼女の脳以外。
肉体部分は、人体模型となっていた。
心臓も肺も腸も。全てが見える。
おそらく、どの子どもも一度は想像したことのある。学校の怪談。
それが現実に。目の前にあった。
男は女の頬に触れようとする。
逢魔トキ
俺はそれを止めに入った。
しかし、もう遅かった。
少し触れただけだった。
しかし、それでその身体は倒れた。
死が語り掛けているように。
俺たちは、ようやくその時、彼女が死んだのだと。
そう理解できた。
倒れた時の衝撃で、彼女の中身は出てしまっている。
心臓も肺も腸も。
先生
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
先生
逢魔トキ
俺以外、全員が先生に泣きついた。
「助けて」という言葉を連呼して、その人を正義のように扱った。
でも、先生の着ているスーツの右半身。
そう、右半身側だけ、色の付いた液体が付いたように違っていた。
黒……いや、おそらくは赤だったのだろう。固まる前までは。
その液体は。
そして、先生の右手には……
先生
先生
赤い斧があった。
逢魔トキ
先生
先生
先生
先生
先生
先生
逢魔トキ
逢魔トキ
先生
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
先生
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
ぐちゅ。
ぐちゅぐちゅぐちゅ。
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ。
逢魔トキ
「……はぁはぁ」
「……はぁはぁはぁ」
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
彼はもう、人では無い。
それを肌で感じた。
刹那、彼の首が跳ねる。
俺は気づけば、赤い斧を手にしていた。
それが見事に肉と骨を裂いたのだ。
理解が追いつかなかった。
彼は死んだのか。俺はなぜ斧を持っているのか。どう振ったのか。
人を殺してしまったのか。
先生
先生
逢魔トキ
先生
先生
先生
逢魔トキ
逢魔トキ
先生
先生
先生
先生
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
先生
先生
先生
先生
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
その時、ボクはどう死んだ?
本当に、それは餓死だったか?
逢魔トキ
逢魔トキ
西空ともり
西空ともり
逢魔トキ
逢魔トキ
西空ともり
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
西空ともり
西空ともり
西空ともり
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
西空ともり
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ
逢魔トキ