繋がる記憶

あの男に連れ去られてから数時間が経った 私物は特に持っていなかったので取られることはなかった 逃げられないように体を縄で縛られている だが、縛ると言っても軽くだ 少しの時間を使えば解けるだろう あの男は私を縛ると何処かに行ってしまった

男は戻ってくると私に気を使う 気を使うコイツの意図を知りたいため心理戦に持ち込む フードは取っていてどんな人か想像がつくようになった だがまだ明確には誰か分からない

そう言ってフードを取った

理解が追い付かない 何でここに居るの？ 否、もうこの際何故居るかなんてどうでもいい 謝らなきゃいけない

謝らなきゃいけないのに言葉が出てこない 言葉を探していれば人差し指で口を抑えられる

私にとってはそんなことじゃなかった 愛しい人を殺 してしまうのは それでもぴくとは優しく頭を撫でてくれる そうだと思い込ませるように

目から涙が溢れてくる ぴくとの言葉を全て信じてしまいそうになる "そんなこと"じゃない "無駄なこと"じゃない そう言いたいのに喋れない どうしていいのか分からない

ぴくとが指で涙を拭いてくれている 段々涙も収まってきた 今度は縄を解いてくれたことで手足を自由に動かせるようになる

詰まった言葉をぴくとが繋いでくれる 合っている事を伝えるために肯定の言葉を口から出す

少しの間、悪いがらっだぁ達を 騙させてもらうことにした それが生涯騙すことになってもらっだぁ達が 気付くことは無いはずだ もしらっだぁ達が気付いた時、普段のように 接してくれるだろうか？ 優しく接してくれるだろうか？ 胸に不安が溜まる

外は既に夜だった ぴくとと話すことに集中していて気付いていなかったようだ 罪悪感を胸に眠りについた

・黒いマントにフード ・布面を着けている ・身長が小さい ・男の子