風音
服の袖で、涙を拭う。
風音
そう呟く私の隣には
すやすやと寝息を立てる
美月がいた。
風音
風音
風音
風音
風音
美月
美月
風音
風音
風音
風音
風音
目の前で、信号が赤に変わる
風音
風音
風音
風音
風音
風音
そう呟いた瞬間
信号が青に変わった
全力で、駆ける。
風音
ドンッ…
身体に衝撃が走った
近くを歩いていた男の人が、駆け寄ってくる
通行人
通行人
私はその言葉を聞いて
“ああ、車に轢かれたんだ”
と理解した
“私、助からない”
薄れゆく意識の中で
そう思った
美月の姿が
思い浮かぶ
最期に
せめて一言だけでも
伝えたい
届く筈は無いと
解っているけど
約束守れなくて
ごめん
そして
私の友達に
なって…
くれ……
て………
“ありがとう”
美月
美月
そして
私は
死んだ
風音
風音
風音
風音
風音
風音
風音
風音
美月
美月
美月
美月
そう呟いて、ふと空を見上げる
美月
美月
美月
もう二度と会えない彼女の姿が
脳裏に浮かぶ
眩しい太陽と
消えていく飛行機雲
2人で見上げた空を、思い出した
Fin.
コメント
4件
切なすぎて苦しくなった者です(大袈裟) 最後まで素敵な話でした!
現在と過去が行き来する作品は数多く見てきましたが、ここまで綺麗な表現をさせる方は初めてでした! ご参加ありがとうございます!