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花梨
148
朝の科捜研。
いつもなら聞こえる機械音も、鑑定依頼の電話も、誰かの雑談も無かった。
研究室のドアを開けると、高橋だけがいた。
高橋
掠れた声だった。目の下に隈ができている。
松田深緒
高橋
乾いた笑い。 机の上に置かれた紙へ、深緒の視線が止まる。
【鑑定業務停止命令】
松田深緒
高橋
深緒は無言で紙を手に取った。 【警視庁科学捜査研究所 一時業務停止】
松田深緒
高橋
松田深緒
高橋
静まり返った研究室。コピー機の待機音だけが響く。
高橋が小さく呟く。
高橋
松田深緒
答えられなかった。その時。
プルルル…
研究室の固定電話が鳴った。静寂に、やけに大きく響く。
高橋
松田深緒
受話器を取る。
松田深緒
横溝重悟
低い声。
松田深緒
横溝重悟
少しだけ、深緒の表情が緩む。
横溝重悟
松田深緒
横溝重悟
松田深緒
横溝重悟
相変わらずだと思った。
横溝重悟
松田深緒
横溝重悟
深緒は黙る。
横溝重悟
松田深緒
横溝重悟
短い沈黙。電話の向こう側から、資料をめくる音がした。
横溝重悟
松田深緒
横溝重悟
松田深緒
分かっていた。でも、改めて言われると重い。
横溝重悟
深緒の眉が僅かに動く。
横溝重悟
松田深緒
深緒は無意識に息を止める。
横溝重悟
資料を叩く音。
横溝重悟
松田深緒
横溝重悟
深緒の目が細まる。
松田深緒
横溝重悟
松田深緒
横溝重悟
即答だった。
横溝重悟
松田深緒
横溝重悟
少しだけ笑った声。その時。
高橋
焦った声。高橋がスマートフォンを見せる。
高橋
画面にはニュース速報。
【第三の関係者死亡】
深緒の呼吸が止まる。 ニュース映像。ブルーシート。規制線。 そして映った名前に、深緒は目を見開いた。
松田深緒
松田深緒
横溝重悟
横溝重悟
こちらの様子を察して、横溝警部が口を開く。
松田深緒
横溝重悟
横溝重悟
短く息を吐く音。
横溝重悟
松田深緒
横溝重悟
横溝重悟
横溝重悟
そう言って電話は切れた。
高橋
松田深緒
高橋は少し迷ったあと、意を決したように口を開く。
高橋
深緒が目を瞬く。高橋は真剣だった。
高橋
高橋
途中で言葉が詰まる。でも、必死なのは伝わった。
高橋
静寂。深緒は数秒、高橋を見つめた。
そして。ふっと小さく笑う。
松田深緒
その時だった。急に廊下の奥がざわつく。警備員達が一斉に振り向いた。 誰かが入ってきたらしい。
その人物に、思わず目を見張る。
松田深緒
降谷零
空気が変わった。高橋が目を丸くする。 当然だ。 今の科捜研は半封鎖状態。部外者が簡単に入れるはずがない。 それなのに。男は当たり前みたいな顔で、科捜研の奥まで立ち入っていた。
高橋
本当は、高橋にも見覚えがあった。昨日、ファミレス前に車を停めた男。
降谷は柔らかく笑う。
安室透
軽く会釈。
安室透
ああ、今は“そう”なのか。と深緒は思った。
高橋
意味が分からない、という顔。安室は自然に深緒を見る。
安室透
安室透
穏やかな声。でも視線だけが、深緒の無事を確認するみたいに鋭かった。
高橋
松田深緒
高橋はまだ警戒している。
高橋
安室透
にこやかな返答。だかその笑顔の奥が見えず、高橋は何か引っかかりを覚えた。
安室透
深緒は少し考えたのち、
松田深緒
と荷物を持つ。高橋が慌てて口を挟む。
高橋
二人が振り返る。高橋は安室を真っ直ぐ見た。
高橋
高橋
安室は黙って聞いている。
高橋
少し躊躇って、でも言い切った。
高橋
高橋
沈黙。 安室は真っ直ぐ、高橋を見る。その笑顔は崩れない。
けれど一瞬だけ、空気が冷えた気がした。
安室透
柔らかい声。でも、譲る気は一切感じられなかった。
安室透
静かな一言。
それだけで、なぜかそれ以上言えなくなる。高橋は無意識に息を呑んだ。
深緒はその空気を察して、小さく割って入る。
松田深緒
高橋
松田深緒
兄の友人。と言うのは躊躇った。 この人は今、“安室透”だから。
松田深緒
高橋は少し悔しそうな顔をしたあと、ゆっくり頷いた。
家に着く。 深緒はバッグを置き、ゆっくり振り返る。
降谷はいつも通り冷静な顔をしていた。
松田深緒
降谷零
松田深緒
降谷は黙る。深緒は続けた。
松田深緒
降谷零
即答だった。迷いが無い。
深緒は少しだけ目を細める。
松田深緒
降谷の動きが止まる。
松田深緒
松田深緒
松田深緒
芯がある、しっかりとした声だった。
降谷はしばらく黙っていた。 やがて、小さく息を吐く。
降谷零
低い声。
降谷零
松田深緒
降谷零
ぴたりと、言葉を遮る。
降谷は前髪をかき上げ、目を閉じる。
降谷零
静かな声。深緒に背を向ける。
降谷零
深緒は拳を握り締め、少し俯いた。 そして、ずっと引っかかっていたことを口にした。
松田深緒
松田深緒
降谷零
松田深緒
松田深緒
降谷零
降谷零
降谷は、深緒を振り返ること無く言った。その時。
ブッブー、
降谷のスマホが震えた。
降谷零
電話をとる。そして、その目が変わった。空気が張る。
降谷零
そう答え、すぐに“安室透”のラフな私服から、“降谷零”のスーツに着替える。
降谷零
降谷零
そう言って出て行く。
松田深緒
降谷が科捜研に現れたのは、速報が流れてたったの5分ほど。ニュースを見てから来たには、あまりにも早い。 警視庁内ですら、“降谷”を名乗らないのも引っかかった。
今までは、無闇に詮索し合わないのがお互いにとって良いと思ってた。 けど、そうでもないのかもしれない。 そんな考えが、頭に浮かんだ。
コメント
4件
わぁお…あむぴヤバァイ(?) 核心に迫りそう!最高だった!