俺は圭佑、どこにでもいるサラリーマンだ。
会社で朝から働いて、夜に家に帰って、酒を呑んで寝る。
いつもそんな生活をしていた。
ある日の朝、会社に行くために住んでいるマンションのエレベーターから降りたら、廊下の隅で女の子が泣いていた。
女の子
圭佑
誰かは知らないが、赤いワンピースと頭につけた赤いリボンが特徴的な子だった。
どう見ても泣いているのに、その廊下を通る人達は誰も立ち止まらない
圭佑
こういう人を見ると放っておけない性分で、つい声をかけてしまった。
女の子
そう言うとその子は俺を突き飛ばして泣きながら走って行ってしまった。
圭佑
結局モヤモヤしたまま、仕事に行った。
夜になり、マンションに帰ると、エレベーター付近の照明が全て消えていた。
圭佑
薄気味悪いので、さっさと部屋に戻ろうと思って、エレベーターのボタンを押した。
開いたエレベーターには、今朝の女の子が、ドアの方に背を向けて立っていた。
圭佑
女の子
圭佑
何故か降りるどころか振り向きもしない女の子。
階段で登るという手段もあるが、俺の部屋は8階だし、俺は面倒くさがりだ。
女の子は無視して、エレベーターに乗った。
乗ってすぐに8階のボタンを押して、女の子の方は絶対に見ないようにした。
圭佑
エレベーターの中の時間だけが止まったみたいに長く感じる。
ドアが開いた瞬間、逃げるようにエレベーターから飛び出した。
幸い、女の子が襲ってくることも、追いかけてくることもなかった。
圭佑
圭佑
そう思って冷蔵庫を開けると、昨日呑みつくしてしまったようで、一本もなかった。
圭佑
圭佑
おかしな話かもしれないが、晩酌のビールを一日の楽しみにしている俺にとって、夜にビールを呑めないことは、エレベーターの不気味な女に会うことよりも嫌だった
そして、さっきも言った通り、俺は面倒くさがりだ。
8階の明るい廊下に再び出ていって、エレベーターのボタンを押した。
圭佑
圭佑
嫌ではあったが、さっきも何もしてこなかったし、今回も無視を貫けばいいだけだ。
そう心に決めて、俺はエレベーターのボタンを押した。
俺は、エレベーターに乗れなかった
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
主
赤いワンピースを着た少女が、エレベーター内で首を吊っているのを
主
主
主
主
~end~
コメント
4件
わぁ~ なんかめっちゃ辛かったんですね女の子。