これは、私が病院で働いていた頃の話である
怜
失礼します
パワフルおばあちゃん
おー、来たんだね。
怜
来ましたよ。
パワフルおばあちゃん
ここは、働きやすいからね。
怜
そうなんですね。
パワフルおばあちゃん
看護師さんとかも、いつも、ニコニコしてるからね
怜
はえー
パワフルおばあちゃん
さ、怜さん、仕事は終わったのかい?
怜
あ、終わってませんでした
パワフルおばあちゃん
いいのよ。頑張ってちょうだい
怜
はい
怜
失礼しました
あの人と話している時は、時間がゆっくり流れていく感覚だった。
いつまでも続いてればいいのにっと、思ってしまうような、そんな感覚だ
でも、幸せがある時、同時に、終わりも来る
怜
〜♪
看護師
怜さん!
怜
どうしました
看護師
……205号室で、患者が
怜
患者が?
看護師
……息を……引き取りました
その直後、絶望が、怜を襲った
怜
……嘘でしょ?
看護師
それが、ほんとです。死体安置室に来てください
怜
……わかりました
なんだろう、この感覚
幸せの時が、一瞬にして壊れていくような……
怜
……(泣きそうになる)
怜の同僚
……わかるよ。怜。
怜
……どうして。
怜の同僚
……私も泣きたいもん
怜
……私どうしていけばいいんだろ
怜の同僚
あたしも、最初はそうだったよ
怜の同僚
沢山沢山泣いたよ
怜
……
怜の同僚
でも、人間は、いつか死ぬんだから
怜
おばあちゃん……泣
怜の同僚
沢山泣きな
怜
……(泣きまくる)
看護師
ヨシヨシ
看護師
わかるよ。その気持ち
怜
……私は……これでいいんでしょうか……
看護師
うん。みんな最初は、こういう、経験をするんだよ。
怜
……そうですか。
狼の部屋
ここまでー