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残り制限時間、6時間50分。
時間は、8時10分。
ユトリ
最後の海岸のマスになるはずの別荘の場所を聞くために、ユトリに親と連絡をとってもらったけど、父とも母とも連絡がつかないらしい。
ユトリ
国内だとしても、無人島は6000以上ある。
ナミスケがキャンプ場を探した時のような、ローラー作戦ができる数じゃない。
ナミスケ
ナミスケがたずねる。
ユウゴ
ナミスケ
今、ぼく達がいるのは、アルクの家の居間。
大きい卓袱台を囲んで、ぼく、アルク、ユトリ、ナミスケの4人で並んで座っている。
闊歩
おばあさんが、みんなの分の朝ご飯をお盆にのせて持って来た。
ご飯、大根の味噌汁、焼き鮭、納豆、ほうれん草の胡麻和え、きゅうりのお漬物。 ザ・日本の朝ご飯って感じのラインナップだ。
ユトリ
ユトリ
ユトリがご飯茶碗を受け取りながら言う。
ユトリは見た目が細いし、食も細い。 昨夜のお弁当も、トンカツやハンバーグは食べ切れなくて、ぼくとアルクで分けてもらった。
ユトリ
ユトリ
闊歩
闊歩
闊歩
ご飯減らしは却下されて、次々と料理が並べられていく。
朝は途中のコンビニで買ったパンを食べただけだったから、実は結構お腹が空いていたんだよね。
ナミスケ
並べられた料理を前に、ナミスケがつぶやく。
闊歩
ナミスケ
闊歩
アルク
闊歩
アルク
今、絶対にババアって言ってた。
朝ご飯はどれも質素だけど、味がしっかりしていて、とても美味しかった。
量が多いと言っていたユトリも、全部残さず食べていた。
朝食の片付けが終わったあとで、ユトリが別荘で撮った写真を見せてもらうことになった。
写真の景色などから、場所のヒントがあるかもしれないからだ。
アルク
アルクによって、ユトリのスマホの画面がぼく達から隠された。
ユウゴ
アルク
アルク
ユトリ
アルク
ナミスケ
ナミスケはさっさと後ろを向いて、おばあさんに入れてもらったお茶を飲んでいる。
すっかり気に入られたみたいだ。
引き下がるのも変なので、ぼくも後ろを向いた。
背中越しにアルクとユトリの会話が聞こえる。
アルク
ユトリ
アルク
ユトリ
アルク
ユトリ
アルク
ナミスケ
話が脱線していっている2人に、ナミスケが釘を刺す。
アルク
ナミスケ
ナミスケが言うように、朝ご飯に時間をかけたせいで残り制限時間は、5時間33分……32分に減った。
移動時間も考えると、1分でも早く場所を特定して出発したい。
ユトリ
ユトリが慌てて、アルバムアプリから場所がわかりそうな写真を探し始めた。
……らしい(ぼくからは見えない)。
アルク
アルクがあげた大声に、ぼくの体がビクッと震えた気がする。
アルク
ユトリ
過激って、そういう意味か。
ぼくの全身から力が抜けた。
アルク
アルクがねちっこい声で呼びかけてきた。
完全に策にはまってしまって、恥ずかしい。
アルク
ユトリ
ユトリ
アルク
ユトリ
深窓の令嬢かと思っていたら、ぼく達よりよっぽどたくましかった。
ナミスケ
アルク
アルク
ナミスケ
アルク
アルクもユトリも、わからないようで首を傾げる。
ナミスケ
ユトリ
ユトリがナミスケにスマホを渡す。
アルク
ユトリ
ナミスケ
ナミスケが2~3回画面をタップしただけで、位置情報があっさり出てきた。
ナミスケが自分のスマホで地図アプリを起動して、出てきた緯度と経度を入力し、くわしい位置を検索する。
ナミスケ
ユトリ
アルク
アルク
ここでみんながうつむいて黙ってしまった。
陸続きなら遠くてもバスや電車を乗り継いでいくことができるけど、海の上ではそうはいかない。
闊歩
ぼく達の会話を聞いていたおばあさんが、話に参加してきた。
アルク
闊歩
アルク
今、絶対にババアって言ってた。
闊歩
闊歩
おばあさんにうながされて、ぼく達は庭に出た。
きれいに手入れが行き届いた日本庭園で、石灯籠や立派な錦鯉が泳ぐ池まである。
その池の上にかかる小さな橋をこえると、小島のように土が盛り上がっている場所があった。
闊歩
アルク
闊歩
ババアを訂正することもなく、おばあさんは小島に行くように急かす。
ぼく達は言われるままに、4人で池の向こうにある小島に移動した。
闊歩
このおばあさんの指導で、この後何が起こるか、ぼくもだいたい察した。
足元の土が沸騰するお湯が沸き立つように、ボコボコと細かく盛り上がっては弾ける。
周囲の土がうねりながら盛り上がっていって、ぼく達4人を包み込んでいく。
内側からは外が見えないけど、外側から見たら大きな泥団子に包まれたような形になっているだろう。
闊歩
泥団子の壁が完全にふさがる前に、おばあさんがぼく達に呼びかける。
闊歩
ユウゴ
壁がふさがり完全な泥団子……土カプセルが完成した。
エレベーターのように上昇を開始したかと思うと、一気に加速し、全身がググッと重くなった。
風も音も感じないが、猛スピードでユトリの別荘がある離島……ビンゴの最後のマスに向かって飛びはじめた。
土カプセルが出発してから、1時間くらい経った。
中からは外が見えないので、ナミスケがスマホの地図アプリで現在値を常に確認している。
ナミスケ
アルク
ユトリ
アルク
アルクは真ん中にごろんと寝転がってしまった。
アルク
ナミスケ
アルク
ナミスケ
ナミスケもごろんと寝っ転がってしまった。
アルク
ナミスケ
大きい日本家屋を探して、一晩中、市内を自転車で走り回っていたらしい。
2人とも目を閉じると同時に眠ってしまった。