桃赤
今夜は帰さない_、
黄
親友の黄くんがカウンター席で
ワインを片手に手招きした。
今日は随分とオシャレなバーで
高校の同窓会。
ほとんどの同級生が
既に来ていて
もうお酒を飲み始めている
赤
黄
赤
黄
とりあえず目についたものを言うと
黄ちゃんはダンディな
マスターに慣れた様子で話しかけた
彼は今人気のモデルさんだ。
スラリとした細身の高身長に
少しタレ目の涙袋
座ってても分かる足の長さ
The王子様という感じだ
高校生で時が止まっているのか
俺の身長はいっこうにも伸びないというのに
羨ましいと思う反面、
友達が有名人になった事に
誇りを感じた
黄
赤
黄
黄くんのふんわりとした
優しい笑い方は
高校の時と変わってない
黄
赤
黄
赤
赤
俺はゆっくり店内を見渡す
赤
黄
赤
黄くんが視線をやった先では
学級委員長だった
紫ーくんがジュースを飲んでいて
悪ふざけが大好きだった、
青ちゃんと橙くんに
悪絡みされてる
紫ーくんは大手企業の社長だし
青ちゃんは高校教師
橙くんは医者だ。
俺の周りすげぇ奴しかいねぇよ
後で話しかけに行こうかな....
そんな事をぼんやりと思う
ありきたりな会話をしていると
黄くんはあっと声を急にあげて
俺の後ろをに向かって
手を振った
黄
その言葉に
ドクンと心臓が嫌な音を立てた
ゆっくりと振り返ると
そこにはかつての元カレがいた
桃
''赤''
散々呼ばれてきたのに
胸焼けがするような
苦しい気持ちになる
桃
黄
カラカラ笑う彼は
更に色気が増していて
直視出来ない
そして
彼はゆっくりと俺の横に腰掛けた
.......
.......
....元カノの隣にわざわざ座るなんて
コイツはデリカシーというものが
ないのだろうか
まぁ黄くんが居てくれるからいいか
そんな事を思いながら
ちびちびとグラスに口をつける
青
すると青ちゃんが
少しお酒で赤くなった顔で
ひょこっと声をかけてきた
口々に再会の言葉を述べる俺達。
青
黄
青
黄くんと青ちゃんは
良い意味で犬猿の仲だった
それは今も変わってないらしい
そんな事を思ってしまう自分に
歳の衰えを感じた
青
黄
赤
青ちゃんの提案に
席を立とうとすると
急に強い力で
腕を掴まれて
立ち上がれなかった
桃
赤
混乱して
掴まれた腕と、彼の顔を見た
これはまずい
1番避けたかったパターン
青
黄
疑う余地もなく、
2人はあっさりと行ってしまった
ゆっくりと掴まれていた腕を離されて
失われていく熱。
赤
桃
....変な空気。
めっちゃ気まずい
なんでよ
なんでそうゆう事するの
本当は、
君に会いたくなくて
怖くて
同窓会なんて行きたくなかったのに
ぐるぐると色んな感情が
胸の中で煙のように渦を巻く
帰ろうかな....
そんな事思っていると
気まずい沈黙を破ったのは
彼の方で。
桃
赤
喉は潤っているはずなのに
上手く声が出ない
桃
赤
桃くんがふと俺の空になった
グラスを指さした
こんなオシャレなバー、
あんまり来ないから
ワインやカクテルのメニューを見ても
何が何だか分からない
赤
桃
遠慮がちに聞くと
桃くんが一瞬黙る。
桃
赤
桃
赤
聞いたことないけど
....まぁいいか
桃くんが好きなら俺も好きだろうし
俺達は舌は合うから
桃くんがオススメのお店を
紹介してくれて
よく一緒に外食しに行ったな
懐かしい....
桃くんはモテるからこうゆう所、
きっと可愛い女の子と何回も
来たことがあるのだろう。
近くにいたマスターにオーダーし
横目でちらりと彼を見た
高校2年生の冬に
何となくそういう雰囲気になって
好きとも伝えぬまま、
付き合い始めた俺達。
大学2年生で
またなんとなくお互いに冷めて
自然消滅、
呆気なく終わってしまった関係。
別れを切り出したのは
どちらだったか。
桃
急に桃くんの腕が伸びてきて
俺の髪をサラリと撫でた
桃
赤
ビクンと身体が跳ねて
慌てて彼の手を払う
赤
こうやって
小さな俺の変化に
気づいてくれるのが
付き合ってた頃は
どうしようもなく嬉しかった
桃
目を細めて優しく笑う。
俺には、
もう向けてもらう権利のない笑顔。
目を逸らすと
さっき頼んだワインが運ばれてきた
1口運ぶと
甘ったるい味が
口の中で広がった
人間お酒が身体に入ると
余計なことを言いたくなるらしい。
赤
桃
赤
赤
あぁ、なんでこんな話題出すんだ俺は。
馬鹿か。
すると彼の顔が一瞬怒ったように見えた
桃
桃
赤
嬉しい....だなんて
そう思ってしまうのは許して欲しい
桃
赤
お前のせいで。
なんて言えるはずないけど。
誰かに告白されて
付き合っても
どうしても好きになれなくて
抱きしめられてもあったかいな
とかしか思わないし
キスなんて気づいたら
顔を背けてしまうし
そんなんだから
申し訳なくて
何人も俺から別れを切り出した
桃くんの時は
どうしようもなく
胸がぎゅっとなって
ドキドキしたのに
桃
彼の紫色のグラスが
ゆらゆら揺れて見えた
もう酔い始めているのかもしれない
今飲んでるワインの度が高いのか。
桃
桃
赤
突然、
彼がカウンターに置いてあった
俺の手の甲を
男らしい手で
つうっと撫でた
桃
桃
赤
手を引っ込めようとして
彼の熱っぽい瞳と
目が合った
手を引くなんて許さない
そんな眼差しで
動けない
触れるだけのキスも
深い深いキスも
体だって何回も重ねた
だから、
こんな事で意識してしまっている自分が
憎たらしい
手の甲を撫でるのを辞めて
彼の大きな手が
俺の手の上にゆっくりと重ねられる
今すぐにでもこの手を
振り払いたい。
だって、
触れられるだけでこんなに苦しい
なのに
出来ないのはどうしてだろう
桃
赤
彼の甘ったるい声と
重ねられた手の体温のせいか
お酒のせいか
頭がクラクラする
桃くんは確かめるように反対の手で
俺の鎖骨を撫でた
俺にはもう抵抗する気力もなくて。
桃
桃
桃
今夜は帰さない__、
いや、長w 男の人からシェリー酒を 勧められて飲むと 今夜はOKの意味になるそうですw 皆さんも気をつけてくださいねw
コメント
38件
なんて言うんでしょうか、 語彙力、表現力が上手すぎる、。 フォロー失礼します、っ!
ブクマ失礼します
主様国語得意ですよね。尊敬します(??