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あれからもクロは毎日のように口に何かを付けて帰ってくるようになった

そして、決まって似たようなものを付けて姿を表す

家に返ってくるとたまに居るときもあるのに、同じような時間帯に帰ってくる

これはきっと、何かクロの身におきているのてはないだろうか

時雨

……なーんてね

学校から帰ってきた私は、今日も誰も居ない家に足を踏み入れた

何も変わらない、何も無い日々

そんなものにはとっくに明け暮れているのに

時雨

クロ?

時雨

……いないか

時刻は午後六時くらいを回る

気がつけばもうそんな時間になっていた

そんな時、とある事に気がついた

時雨

クロが……いない……!?

私は思わず目を見開いた

クロは暗くなってくると大抵帰ってくるものなのに、今日は中々帰ってこない

本当に最近はどうしてしまったんだ

時雨

……大丈夫かな

あまり仲良くないとはいえど、クロは帰ってくると何らかの形で姿を表す

恐らく帰ってきたよ、という報告だろう

時雨

それをクロが怠るなんて考えられないし……

時雨

探しに行こうかな

一応私の良き話し相手だ

言葉は通じ合わなくとも、一緒には居てくれる

私は夕焼けに染まる外へと飛び出した

時雨

クロー?

時雨

どこにいるの?

外に飛び出して十数分

クロの行きそうな場所を全て回ったが見つからない

時雨

どこ行っちゃったんだろ……

時雨

事故……とかないよね、うん、ない

簡単に見つかるものだと思っていたので、内心怖いくらい焦っていた

時雨

(どうしようかなあ……)

時雨

(すれ違いで帰ってくれてたらいいんだけど……)

私は家に一度帰ろうと思い、曲がり角を曲がる

時雨

……あれ?

クロ

……

時雨

居た!

少し遠くに見える古びた空き家

そこの塀にいる黒い毛玉に金色の目

私は確信していた

あれはクロだ

時雨

クロ〜!

私は柄にもなく声を上げてその方へ走った

もう全力疾走して疲れていたが、そんなの忘れていた

……が

クロ

……

時雨

クロ〜探した……よ?

近くまで行ったとき、私は思わず言葉を飲んだ

何故かと言うと、クロの傍にはやけに親しげな男の子がいたからだ

千切豹馬

……?

時雨

あっ、その……

思わず目が合って、どうしたらいいかわからなくなる

もっと周りを見ておくんだった

クロには悪いが、見つけたとて他人のフリをするのが最適

しかし声を出してしまった以上、自分とクロの関係を否定することはできない

千切豹馬

こいつ、アンタの猫?

時雨

う、うん……

気がつけば鼓動が速くなっていた

自分でも緊張しているのが手に取るようにわかる

ジャージ姿の彼には、胸の辺りに「羅古捨実業高校」の文字が見えた

時雨

(羅実の人か……)

羅古捨実業は近くにある高校で、最近はサッカーが盛り上がってるんだとか

時雨

(綺麗な顔立ちの男の子だな)

時雨

(この人がクロが変だった原因?)

次々に疑問が浮かぶものの、どうにも言えそうにない

クロ

……にゃー

時雨

そ、その、クロと仲良くしてくれてありがとう

千切豹馬

え?いや、別に特別仲良いわけじゃねえし

千切豹馬

普通に困らせたんなら悪かったっつーか

時雨

そ、そっか

……

ダメだ、上手く喋れそうにない

まず他校の知りもしない人と話すのが最初から高難易度過ぎる

見る限り、きっと私とは違う世界線の人だ

時雨

(陽キャラ……ぽいよね)

時雨

(無理無理無理)

時雨

く、クロ、じゃあ帰ろうよ

クロ

……

ここはクロを連れて帰るのが一番だ

一番不自然ではないし、相手もこれを望んでいるはず

時雨

ほら、こっちおいで

私は塀の上のクロに向かって腕を伸ばした

しかしその瞬間、クロの目つきが変わった

クロ

シャーッ!!

時雨

ぎゃあああ!!

なんということだろう

この状況で不機嫌なクロ

時雨

て、ちょ、違うんです!クロが怒ってきて!

クロ

ウーッ……

時雨

怒んないでよ!なんで怒るの!

クロ

シャーッ!!

千切豹馬

ふはっ、何やってんだよお前ら

時雨

あっ、いや、その……

千切豹馬

お前飼い主じゃねえのか?

時雨

まあ、飼い主だけど……

千切豹馬

すげえ仲悪いのな!

変なの、と言わんばかりに少年は笑った

私は至って真面目だった

傍から見ると、飼い主と猫が仲悪いのは面白いんだろうか

時雨

そ、そんなに面白い……?

千切豹馬

だって、お前叫ぶような顔してねえじゃんっ

千切豹馬

こいつもこいつで、こんなに怒ってんの初めて見たし

その口ぶりから、クロは彼の前ではかなり穏やかなことが伺える

時雨

(……)

時雨

(私って、変だな)

でも不思議と悪い気はしなかった

地味に引っ掻かれた手をなかったことにすると

珍しく、私も少し笑った

その黒猫、うちのです

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