田川 航
しかし、何度か同じことをされるうちに、スニーカーが消えるのは、勇輝よりぼくが早く学校に来ているときだということに気づいた。
田川 航
だから、今日はだいじょうぶということになる。
田川 航
ぼくはげた箱にスニーカーを入れて目を閉じ、心の中で「よし!」と気合を入れた。
田川 航
今日はさんりんぼうの日にならないよう、何もやっかい事が怒らないようにと、お祈りをしたのだ。
田川 航
ところが、このお祈りはまったく効き目がなく、さんりんぼうのやっかい事は、二時間目の体育の時間から始まった。
田川 航
その日は、チームごとの短距離リレーが行われたが、第三走者のぼくはバトンを落としたうえに、こけた。それまでぼくのチームはトップで走っていたのに、僕からは巻き返せず、遅れて遅れて最下位。これが、ひとつ目
田川 航
チームのみんなは当然、不愉快だという態度を僕に示した。情けなかった。
田川 航
さらにみじめだったのは、その様子を誰よりも愉快そうに勇輝が見ていたことだ。
田川 航
勇輝とは運が悪いことに、小学校一年生からずっと同じクラスで、なぜかぼくばかりをバカにして目の敵にする。
田川 航
それから、リレーが終わって校舎に戻ると、げた箱の上履きが片方消えていた。うかつだった。いつも消えるのはスニーカーなので、上履きが消えるとは考えていなかった。
野崎 勇輝
「なにかお探しですか?田川航君!」
田川 航
勇輝は僕に向かってそう言うと、片っぽの上履きをぶらぶらと振り回して、廊下のおくに投げた。
田川 航
ぼくはくつ下のまんま、廊下を走って、上履きを取りにいった。
田川 航
勇輝にげらげらと笑われた。これが、ふたつ目。






