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ミステリーツアー

1 - ミステリーツアー

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2019年07月30日

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蒼玉邸の裏に離れがある。 春川一家はそこの食堂にいたんだと。

本当なら参加者全員で夕食を摂るところを、他の人が起きてこないもんだから、5人だけ先に食べてたらしい。

一家はまず、腹痛を訴えた。 かき込んだら、胃がびっくりしているのかもって最初は笑ってたとか。

そのうちに全員が脂汗を浮かべて、そこからはあっという間だった、っていうのが、俺たちを呼びに来た使用人の話。

死んだって聞いて、俺達は急いで離れの食堂に駆けつけた。

先頭を切っていた使用人が、食堂の扉を開いて、叫んだ。

使用人

違う!

使用人がこの部屋を出たときと 様相が違っているんだと。

5人は、食卓に突っ伏していた。 その腕とか顔に、細い刃で切りつけたような搔き傷が無数についてたんだ。

室内だっていうのに、なぜか死体は泥まみれで。何かにあたったとか、食中毒じゃ、そんな風にはならないだろう。どうしてこんな風になってるわけ。

もしかしてこの人たち…

殺された……?

使用人

えぇ!

とにかく、警察に連絡しよう、という話になったものの、携帯電話の電波が入られない。

屋敷には電話がない。どうなってんだよ、なんて、使用人が責められてたけど、使用人も、直前に呼ばれただけのただのバイトで、何も聞かされてないんだって。

もう夜になってたし、移動手段もなくて道が分からないから、とにかく明るくなったら、山を下りて警察を呼ぶからって。全員揃って待っていてくれって。

それで、その夜は、それぞれの部屋で眠ることになった。落ち着かなかったな。同じ屋敷の中に、5つの死体があるなんてさ。

けれど、朝に警察が来たら、俺も参加者として、証言しなくちゃいけないかもしれない…

そんなことを悶々と考え込んでいるうちに、夜は明けた。

朝。屋敷から、使用人がいなくなってた。警察に行ったのかなって納得しかけたんだけど、誰にも言わずに姿を消したって、なんか怪しくないか…。

とにかく、待ってみた。全員揃って、律儀に。けれど、午後になっても使用人は戻らなかった。

そのうち、あの使用人が春川一家を殺したんじゃないかとか、いやいや、やっぱり普通に警察に行ったんじゃないかとか、責任をとれないからって逃げたんだろうか、とか。残ったメンツで大騒ぎ。

そのとき誰かが

使用人

こんなの見つけたんだけど…

と言って、紙を1枚、恐る恐る持ってきた。蒼玉邸の、地下にある厨房の扉に、貼り付けられていたんだと。怪文書って感じ。新聞の文字を切り貼りしてあってさ。

彼には退場してもらいました

と、あった。……彼?

封筒の中身。剥がされた爪、10枚。少し……、肉も残ってた。 怪文書から鑑みるに、使用人の……。

この状況はいったい何だ?

悪い冗談?

一家5人が死んだ、使用人は「退場」……?

屋敷のなかを歩き回ってみたところ、出入り口はすべて、外側から封鎖してあった。鍵自体は開けられたんだけど、扉の外で、持ち手を鎖で雁字搦めにしてあって、ご丁寧に南京錠まで掛かってた。

え?

何これ?

俺たち、閉じ込められたわけ?

窓の雨戸も全て閉じてあった。 逃げられないように。

「何」から?

「犯人」から。

犯人―それは、怪文書を寄越した人間。一家5人を殺害して、使用人の爪を剥いで消し、屋敷を封じた…

殺人鬼

その存在を、俺達はようやく認識した

俺達は狙われている。どれほど、恐怖したか。殺される。しかも手段はかなり猟奇的。

腹が減ったと訴える人も出てきたけれど、だからといって誰も、何も食べられなかった。厨房にでも行けば何かあったのかもしれないけど、食材に毒でも入っていて、春川一家みたいに死んじまったら……。

使用人が駆け込んできてみんなで事情を聞いてた時に、夕食は味見をしながら作ってたから、毒なんて入っていない、と彼はしきりに訴えてた。けれど、信じることなんてできない。賭けるわけにもいかない。5人を一気にあの世送りにして、使用人の爪を剥ぎ、もしかして殺したかもしれない、殺人鬼が、どこかにいる。

いつ殺されるものかと怯えたよ。おれも、おれの一生はここで終わるのかって、絶望的な気持ちになった。

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