ー注意ー ご本人様と一切関係ありません! 何でも許せる方のみ閲覧お願いします 苦手な方は自衛お願いします!! エセ関西弁 nmnm作品
今日はいふくんが出撃の日。
正直言えば大好きな人が消えてしまうと思うと悲しくて淋しい。
自分にひたすらそう言いかけて誤魔化す。
この時、僕は思いもしなかった。
これがあにきとの 最期の会話になるなんて_______
滑走路の周りには数え切れないほどの人が集まっていた。
そして奥から特攻機が1列に並んでゆるゆると動き出す。
特攻隊に向かって敬礼するおじさんと幼い男の子、涙を滲ませながら白いハンカチを振る人、枝花を必死に振る女学生。
隊員たちは真新しい軍服を身に付け、 太陽に勝るような輝かしい笑顔で 特攻機に乗って手を振っている
何機か過ぎた時、澄んだ綺麗な青い瞳をして、さらさらと青い髪をなびかせた 彼が出てきた。
泣いたら殺される、、、のに涙が溢れ出て来る…目の前の大事な人が一瞬にして消えてしまうのだ。耐えれるわけが無い。
僕を見るなり目を見開いたいふくんは お揃いの大仏のぬいぐるみを目の前で 片手に持って上げた。
涙で滲んで彼の姿がよく見えない。 しかし突然、彼は不安そうな顔をして自分の口元を指さしたのが見えた。
彼が声に出していたのか口パクなのかは分からないが、はっきりと「好きだよ」と言ってくれた。
次々に飛び立っていき、次はいよいよ いふくんの番が来た。
耳が痛くなるほどのエンジン音を鳴らしながら彼等は青空へと飛び立って行った。
僕は突然ふらつき、倒れ、、、
意識が消えた____
気が付けば最初の防空壕に戻っていた。
僕は継ぎ接ぎの服では無く、 僕の学校の制服を着て、横には通学の鞄がある。
沢山の崩れた家や 倒れ込んで泣いている家族が 路上に居たはずなのに
何事も無かったかのように道路や 新築ばかり建っている。
ガチャ
母のスマホ画面を確認すると 僕が家を飛び出した日の翌日。 朝の5時半だった。
よく見ると母の足は泥で汚れている。
母の泣く姿を見ていると僕も涙が溢れてきた
" 好きだよ "
僕を一睡もせずに探してくれた母と友人。その存在が居るにも関わらず僕は寝て起きてを繰り返し、 居なくなる人に恋をしていたのだ。
お互い素直になれずにすれ違う。 似てないようで似ている親子だと感じた。
僕の普通の学校生活は何事も無かったかのように戻ってきた。
はぁーい
社会見学と言っても行く場所は 特攻資料館である。
いふくんに関する情報が少しでもあるのではという期待もある一方怖くて行きたくない気持ちもあった。
激しく動悸がする中入ると、古くボロボロになった戦闘機が展示されていた。
彼等はあんなにも笑顔で青空へ飛び去って行ったけど、無事だったのだろうか…
泣きたいのも山々だが、少しでも彼らの事を知りたいから必死に歩く
奥の部屋へ行くと約70年ほど前に笑顔で去って行った青年達の白黒写真や 遺品と遺書がガラスケースに大切に保管されていた。
初兎ちゃんが指さしている先を見ると いふくんの遺書だった。
初兎ちゃんに身体を支えて貰いながら必死に手紙を見る。
" 仏へ "
仏へ お前にこの手紙残して悲しませるだけやと思うけど、この想いを無き物にしなくないという俺の我儘なんやけど、書かせて欲しい。 最初仏の事を拾い子のように感じて接していて自分の気持ちを誤魔化していた。 ごめんな。あれは偽りの態度だと思ってくれて良い。 仏のその真っ直ぐで清らかな考えを心から尊敬して素敵な子だと思っていた。 出来れば戦争などない時代に仏に出会って側に居たかった。 でも現実は許してくれない。俺は明日青空へと飛び去って散る。 仏は純粋で、可愛らしくて、愛おしくて堪らなかった。 俺はいふとして、日の本の男としてあるべき姿でこの世を去る。 仏、さっきまで会っていたのに直ぐ会いたくなるほど愛しいのは何故だろう。 仏生きろ。お前が苦しんでいる姿を見るのは辛かった。必ず俺の代で終わらせてみせるから、生き延びてくれ。 それだけを願い、俺はあの空へと飛び立つ。さようなら。
僕は色んな人に見られながら声を上げて泣いてしまった。
上を見上げると真っ白な曇と綺麗な青空が広がっている。
僕はあれから数時間保健室で寝たきりだったらしく、起きた時はもう下校時間だった。
何て独り言を呟きながら歩いていると見慣れない制服の男の子が立っている。
そう思いながらじっと見つめていたせいか男の子が振り向いた。
彼はいふくんにそっくりな男の子だった。
コメント
3件
バトエンが先がいいです!✨️✨️