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兵士
冷たく響いたその声に、朔弥は耳を疑った
背後を振り向くと、監視員が数人、牢の前に立っていた
その後ろには、“子供寮”と記されたタグを付けた兵士のような者もいる
柊 朔弥
兵士
兵士
兵士
柊 朔弥
状況が呑み込めた瞬間、朔弥の胸が締めつけられる
嫌な汗が背中を伝った
その隣で、奏多は顔を強張らせ震えていた
奏多
奏多
奏多の小さな体が、朔弥の服の裾にすがりつく
朔弥はその細い腕を、きつく抱きしめた
柊 朔弥
唇を噛む
胸が張り裂けそうだった
けど、
一瞬、朔弥の脳裏に浮かんだのは、奏多の未来だった。
柊 朔弥
柊 朔弥
柊 朔弥
柊 朔弥
でも、
奏多
奏多
奏多
奏多
奏多が、しゃくり上げながら懸命に叫ぶ
涙でぐしゃぐしゃの顔が、朔弥の胸元に押しつけられる
奏多
奏多
その声に、心が千切れそうだった
守ると決めたのに
手を離したくないのに
その願いすら、叶えてやれないのか――
柊 朔弥
奏多
柊 朔弥
柊 朔弥
朔弥は震える声で、言葉を紡ぐ
奏多
柊 朔弥
奏多
奏多
柊 朔弥
柊 朔弥
そして――
そっと、奏多の手を離した
柊 朔弥
指先から、温もりが遠ざかっていく
奏多はその場に崩れ落ち、泣き叫びながら手を伸ばした
奏多
けれど監視員に制され、引き剥がされるようにして連れて行かれた
柊 朔弥
柊 朔弥
朔弥はその背中を、ただ見送るしかできなかった
拳を握りしめ、肩を震わせながら、声も出せず、何度も目を閉じた
柊 朔弥
胸を抉るような静寂が、牢の中を支配した