きんとき
桜舞の間に咲く桜の下で俺はそう呟く
店はまだやっていない夕方の時間
いままでは誰だって暇だった
さっきまでNakamuやスマイルもいたし
先輩達も遊びに来ていた
でも夕方にならば全員、遊男としての
売り子としての準備を始める
でももう直ぐ午後四時を回る
俺だって本当は仕事がある
じゃあなぜ準備をしてないか
仕事を取り上げられたんだ、3ヶ月分
きっちり
俺は表には出れないし、裏で料理番とか
掃除とか受付での接客
3ヶ月、俺は表で働かない、働けない
買い占められた、俺の指名権
それはあの人が帰ってから始まった生活
最初は嬉しかった、浮かれた
正直、安心もした
けど暇何だよなぁー…
Nakamu
寝転がっていれば俺の名前が呼ばれる
障子の隙間からNakamuが覗いていて
きんとき
側から見たら普通に変な人で
きんとき
今の時間は着付けとかの時間だから
なんか飾りがないとか
不都合がないと歩き回らない
Nakamu
きんとき
Nakamu
きんとき
そうだった
Nakamuの化粧、俺がしてるんだった
俺が表に出なくなってから
それもしなくなったから
俺は当分しないもんだと
Nakamu
Nakamu
きんとき
人それぞれ化粧の仕方は違う
肌の馴染具合とかバラバラだしな…
Nakamu
いやいや
きんとき
Nakamu
Nakamu
楽しすぎてって…
きんとき
Nakamu
きんとき
きんとき
Nakamu
きんとき
Nakamuの過去から考えれば
俺は毎回確認する方がいいと思う
少なくとも、俺はそうしてあげたい
きんとき
Nakamu
少し重い前髪をあげれば
綺麗な二重を描く瞼が見えた
きんとき
下地と白粉はあんま使わない方がいい
紅は薄い紅色、香は金木犀の甘香に
紅を唇に滑らせながら
俺は自分のことを思い出す
枕仕事をすれば化粧は崩れるし
次の日は客より先に、準備ともてなしを
あの時そんなのどうでも良くなっていて
ただただ快楽に浸かっていた
その時、初めてこの仕事をいいと思った
働けること
お客さん、と話せること
俺としていられる人を見つけれること
Nakamuは待っている人がいる
俺も同じはずなのに
ただの口約束。
もう来ないかもしれない
いつ来るかもわからない
待つしかできない、俺は
その時だった、廊下から
足音と俺の名前を呼ぶ声がしたのは
準備をし終えたであろう
スマイルが部屋に飛び込んできたのは
スマイル
スマイル
ぐいっと押し付けられたスマホには
"きりやん"
という文字が映っていた
雑、雑、大雑です…ごめんなさい
next_♡900
コメント
4件
やばいです展開が!! ちょう面白い!! 続きが楽しみですっ!!