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スマイルが部屋に飛び込んできた

普段、慌てる事もないスマイルが

焦った様子で。

突き付けられたスマホ画面は

変わらずきりやん、という名前

客にそんな名前の人いなかったよな…

きんとき

……きりやんって誰だよ…ボソッ

小さく呟き、スピーカーをONにする

話があるって事であってんだよね?

そんな眼差しをスマイルに向けるが

相手のスマイルは首を傾げる

伝んねぇ…

俺は諦めてスマホに視点を戻し

待っているであろう相手に話しかける

きんとき

ぁ、のもしもし…?

きりやん

『あ、…ぇーっときんとき君?』

きんとき

そうですけど…

きりやん

『あーよかったよかった』

きりやん

『俺の事は知らないと思うんだけど』

はい、知らないです

まあスマイルの知り合い、だよな

普通に考えれば

あのスマイルに?

友達とか?いやないか…

親戚、従兄弟……いや絶対違う

でも、客と繋がるとは思えないし…

1人でそんな事を考えていれば

きりやん

『ぶるーく、わかる?』

ぶるー、く

ぶるーく、?

ぶるーく…⁉︎

きんとき

ッは…、…い

知らないはずがないのに

なぜか歯切れ悪くなってしまって

俺が働けない理由になった人。

あの日の夜伽で俺が求めた人。

俺がずっと待ち続ける人。

約束したから

きりやん

『あ、うんわかるんだね?』

きんとき

…わかり、ます

きりやん

『実はー、さ…ぶるーく』

きりやん

『当分帰れなくて…』

あぁ……、そう、なんだ

へー…

きんとき

どうして…それを、俺に…、?

きりやん

『、?約束、してたんでしょ』

ッッ…

きりやん

『ぶるーくは…酔い潰れてて…w』

きりやん

『しかもなんか意地張ってたから』

意地張ってたって

俺と連絡したくなかった…のかな

きりやん

『…ちゃんと会って話すんだって』

きりやん

『結構待たせちゃうと思うけど、w』

会って、話す

ちゃんと対面で、実際に会って

きりやん

『待っててあげてくんないかな』

決めたじゃないか、待ってるって

いつくるかわからない

たった1人のお客様との

約束。

きんとき

……、待ちます

きんとき

でも、伝えてください

『いつまでも待ってはないです、って』

俺がそう言えば電話越しで

クスッと笑った声がした

きりやん

『了解w、伝えとくよ』

その返事を聞いて、俺はスマイルに返す

ずっと待ってるつもりはない

まあ、ちょっと焦らせるつもりで言った

早くきて欲しい

早く会いたい

少し自分の欲が出た

いつ来てくれる?

明日かもしれない

来週かもしれない

1ヶ月後かもしれない

もしかしたら1年来ないかもしれない

待たないから

来なかったら俺やめるからな

優しくて素直で可愛らしくて

たまに男前で

会いにきて、

会った時、この人になら抱かれていい

そう思えたあの人に

ちょっとした願いをのせて

俺はふっと息を吐いた

白尾町遊郭街の遊男子

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