真っ赤な林檎

俺が瞬きをしたら、もう居なくなっとった

そん時の俺は、特に気にも止めんかった

変なガキ、その程度の認識で留めとったことを

俺は後々後悔することになった。

俺はその日、夢を見た

知らない場所、知らない子供、知らない大人

母親と子供が神社で、御参り？しとる

母親と子供が喋っとる ただ、何て話してるかは聞こえん

子供を置いて母親はどっか行った

俺の体は動かんかった 何をしても動かん。

動くのは首と目だけ 他は一切無理や

だんだんと霧が張ってきた よう見えんわ

子供の泣き声が聞こえんくなった

霧もなくなってきた。 あー、ようやく前が見えるわ

いつの間にか、子供が居らんくなっとる どこ行った？

あ？...林檎が落ちとる

.......！！ちゃう

子供は居らんくなったんやない

林檎になったんや！！！

この真っ赤な林檎に！！

クソ！アイツの目みたいに真っ赤で気味悪いわ

でもなんで、 子供は林檎に？

なん、なんや？

この奇妙な感覚

俺、子供になっとるわ.... しかも俺のオカンもおる

手ぇ繋いどるし..... 何なんや、この夢

思うように言葉が出ぇへん 俺やのに、俺やない。

何なん、この状況

天神様... 変なガキも天神様なんとかかんちゃら言うとったな

それが関係してるんか？

.....？

既視感

既視感、既視感、既視感。

見たことがある。この鳥居を

俺が、俺が..... ガキん頃、実際に来たことがある

確か、'' 七歳 '' の誕生日の前日、 ここに来たことがある

何で、今の今まで忘れてたんや

そうや、そうや、そうや！！！

思い出した。俺は逃げたんや

鳥居を潜っておきながら、俺は逃げた

やから、アイツに目を付けられた

夢じゃダメや。 実際に行かへんと、呪いは解けん

呪いを解かんと、俺は林檎になる！！！

絶対林檎になる訳にはいかん！ 実際に行って、呪いを解くんや！！

コネシマの答えが望んでいた答えなのか、 琳寧はとても嬉しげに笑った

覚悟を決めたコネシマは本殿の中へと姿を消した

本殿の中は、大量の歯車で埋め尽くされていた 神社の本殿とは思えない造りだ

数分、数十分、一時間。 林檎は見つからなかった

探し続けたからか、はたまた別の理由か、 コネシマは汗を多く流していた

コネシマはようやく、何かを見つけた。 大きな歯車と歯車に挟まれる、 '' 真っ赤な歯車 '' を

その真っ赤の歯車を手に掴んでみると、 それはもの凄い熱を帯びていた

そして何故か、ぶにぶにしていて.... 林檎のようなみずみずしさがあった

ギュッギュッと抑えて林檎の形にしていくにつれ、 熱はどんどん冷めていき

やっと林檎が完成した

その林檎はとても真っ赤で、 そして何よりとても小さかった。

コネシマが去った後、1人の子供が現れた

金髪の碧い目をした男児

その子供は、鳥居付近に落ちていた林檎を拾い、 迷わず食べた

ココは、全ての時間が共にある

あの子供は、一体.....

・・・

__________？

残念気味に、普通の林檎を シャリッと食べた

「責務を果たせ____」

通してあげる、通してあげる

ここは少しの人しか知らない細道

ボクの細道

大人も途中まで通してあげる

ここから先は子供だけしか通さない

神(ボク)の子のうちに、子供を贄として

子供が居る、子供が居ない

子供は居ないけど

通(帰)してあげる、通(帰)してあげる

~END~

・・・

少女を救えるのは、一体誰なのだろうか？