紅蓮の忌み子

朝

早朝から重い腰を上げる

このまま寝ていたいくらいだ

ガチャ、

反抗期？違う

自分の意思で母親に こういった態度を取ってる

ﾋｿﾋｿ...

俺はいわゆるいじめられっ子 ってやつだ

母からもらったこの名前と 父親の犯罪行為でいじめられてる

だから家族なんて嫌いだ

なんで俺を普通に 産んでくれないんだ？

そうして俺は学校に向かった

これが日常

俺は忌み子だ

忌み子とは無能力者のことだ

日本では差別用語として知られてる

これはそんな忌み子の俺が 世界を変える物語だ

ガヤガヤ.....

ガラガラガラ...

俺は静かになった教室の中を スタスタと歩き席に着く

いじめはいじめだが少し違う

俺は関わってはならないものとして 学校で扱われている

いじめには変わりないがな

ﾋｿﾋｿ...

俺の父親は犯罪者だ

なんの犯罪を犯したかは知らない

と言うか、知りたくもないがな

死刑になったんだ、どうせ碌でもない 犯罪を犯したんだろ

今日の学校も、

退屈そうだな

3限目...

学校で人気の授業の１つ 「実戦訓練」

この授業では生徒の持つ「能力」を 存分に使える授業なので生徒に人気だ

ドッガッゴッ

トボトボ...

俺はこの男にだけは心を許してる あだ名は「とっつぁん」

見ての通りデリカシーはない

入学当初からコイツは俺を見ていた

理由はわからないが俺の事情をよく 理解して話をしてくれる

正直親より感謝している

この世界の「能力」は大きく分けて 4つの能力に分類される

物質の倍増、コントロール、生成、 それらの能力を「物質能力」

自然現象のコントロール、生成、 それらの能力を「自然能力」

自分もしくは他者の体を強化 それらの能力を「超人能力」

それ以外は「希少能力」

そして能力は政府の研究結果 最低10歳のうちに能力が発言 すると明言されている

能力を制御する核が10歳で心臓の 中に生まれるとわかったからだ

俺は今高校生で18歳 まぁ無能力者だ

だが俺は無能力者なりに 努力してるんだ

とっつぁんの指導は鬼だがな

俺は基本授業に出ない

この学校は能力者を育成、 教育する学校だ

だから正直忌み子の俺が授業に出る 意味なんてかけらもない

だから授業の時間に俺は サボってこの場所を歩く

学校に入学した理由は 強くなれると思ったからだ

まぁ全く意味なかったが

ﾁﾘ...

ﾁﾘﾁﾘ.....

ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ....

そうして俺が音のする方へ向かうと...

そこに見えたのは家一体に 広がる紅蓮の焱

ダッ!

なんでだ！なんで俺は炎の中に 突っ込んでるんだ！？

関係ない親子の娘だぞ！？それに俺が わざわざ命をかける意味はないのに！

何故か、体が動いた.....

子供がいるかどうかも 不確かなままだ

だが、万が一

万が一を考えたら 体が動いていた

これは偽善か... それともヒーローごっこか...

周りからの反応なんて こんなもんだろう

だけど１つわかってることは

今の俺は.....

ボオオッ!

目の前で瓦礫の下敷きになってる 少女を見つける

その声はか細くて...か細くて...

ただ助けを求める声だった

ガシッ

俺は瓦礫を持ち上げるが びくともしない

気がつけば周りの炎は俺を囲んでいた

バキバキバキ...

ゴゴゴ...!

ガシャアン!

その時、渾身の力で 瓦礫を動かせた!

ガラガラガラガラ

ガラガラガラガラ

母親の目に映ったのは、崩壊した 家とそこに燃える残り火だった

ガラ...

ガラガラガラ...

ガシャアン！

母親は泣きながら 子供を抱きしめた

そう言って消防士は俺の肩を 力強く掴んだ

そう言って2人の家族は救急車に 乗っていった...

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙ.....