Caravan ー王子とギルド長ー　🍌⛄️

ラクンカニ火山 ー周辺の森ー

数時間森を探してまわったが 姿は見当たらない

　焦りから息が上がる

もしかしたら 館に帰っているかもしれない

でも森の中で迷っているとしたらーー？

最悪の事態が脳裏をよぎる

悩んだ末、一度館に戻る事にした

戻っていなかったら すぐに探しに来よう

領主の館 〜ロビー〜

おらふくんが帰っていた事に安堵しつつ 部屋へと向かう

部屋に向かう途中でオラコ姫と 顔を合わせた

心なしか顔が曇っている

そう言って横を通り過ぎようとした時

オラコ姫に不意に話しかけられる

オラコ姫に一礼すると 再びおらふくんの部屋と歩みを進めた

おらふ王子の部屋

疲れているのだろうか？ 部屋に違和感がある

　元々そこまで飾り気のある部屋ではないが、いつもと違う気がする

泣きじゃくって さらに森の中を走ったせいもあり 疲れが溜まっている

　ベットに横になると 眠気が襲う

オオカミのぬくもりも相まって 微睡んでいた時ーー

コンコン

ドア越しにおんりーの声が聞こえる

　本当は全然大丈夫なんかじゃない

でも今は顔を合わせなくなかった

おんりーが扉を開けて部屋の中に 入ってくる

おんりーは扉の近くに立ったまま 視線だけ真っ直ぐにこちらを見ている

声が震える

　おんりーの顔を見れない

おんりーの端正な顔が歪む

あぁ、やっぱり駄目なのかな

　『僕の騎士をやめて』

おんりーの瞳がこれでもかと 見開かれている

本当はこんな事言うつもりじゃなかったのに

騎士を辞めてほしいなんて 心にも思ってないのに

今の状態で話してはいけない気がする

パタン

抑えていた涙が堰を切ったように 溢れ出す

ころん..ころころ

ころんころん

それから数分間 泣いて泣いて泣いてーーー

　涙が収まって僕は辺りを見回す

足元にキラキラと沢山の石が 落ちている

　オオカミが興味深々に匂いを嗅ぐので 慌てて石を拾い集める

カリ...

　試しに恐る恐るかじってみると 口の中に甘さが広がる

集めた金平糖をバラバラと ゴミ箱に捨てる

ゴロンとベットに寝転ぶ

『なんで泣いてたんだっけ？』

ギルド【スピードスター】

大きなため息をついて受付に腰掛ける

1人の時はこんなに簡単に呼べるのに

本人を目の前にすると たとえ泣かれても声に出来ない

『僕の騎士をやめて』

泣きそうな顔でそう言われて... 本心じゃないのは分かっている

自分はおらふくんの為に強くなって 技を覚えるのも知識をつけるのも 全部おらふくんの為。

そのおらふくんに要らないと 言われたら どうやって生きていこう

考え込んでいて気配に気付かなかった

目の前にはいつの間にか ねこおじが立っている

ねこおじは長老であると同時に 大魔術師でもある

相談したら力になってくれるかも しれない、と俺は口を開いた

ねこおじが猫の姿に変身して 窓から出ていく

明日、もう一度おらふくんと話そう

俺はそう決心して帰り支度を始めた