鈴実 詩菜
…フラれた。バッサリ。
小野 琴里
……
無理して笑顔を作るのは詩菜の悪い癖だ。本当は悲しいはずなのに
映沢 翔流
……まっ、考えてみたら当たり前だよな
映沢 翔流
そんな恋、叶うはずもない。もっと現実的なもんにしろ。
小野 琴里
翔流…!
映沢 翔流
何だよ。俺は───
鈴実 詩菜
ありがとう。話聞いてくれて
鈴実 詩菜
……もう、良いから。
小野 琴里
(また笑ってる…)
鈴実 詩菜
はぁ…
響 匠海
ため息ついて、どした?
鈴実 詩菜
!!
鈴実 詩菜
なによ、いきなり……
鈴実 詩菜
びっくりさせないでよー
響 匠海
ごめんごめん。
響 匠海
鈴実に付き合って欲しいんだが、良いか?
鈴実 詩菜
つ、付き合う!?
響 匠海
そっちの付き合うじゃない。
響 匠海
この書類、職員室まで運ぶの手伝ってくれ
鈴実 詩菜
あー、(そういうこと)
鈴実 詩菜
良いよ
響 匠海
ったく、良いですよだろ
鈴実 詩菜
そんな細かいこと気にしなーい
鈴実 詩菜
(先生と二人きり…嬉しいなぁ)
鈴実 詩菜
(でも……)
叶うはずがない。もっと現実的な恋にしろ
鈴実 詩菜
(翔流がそう言っても私は……)
鈴実 詩菜
……好きだよ。
響 匠海
…え、なんて?
鈴実 詩菜
うっ……
鈴実 詩菜
バカ!
響 匠海
はぁ!?
鈴実 詩菜
(笑)
響 匠海
このヤロー…!
鈴実 詩菜
いてっいてて!暴力反対!
響 匠海
暴力じゃないぞ~
鈴実 詩菜
髪ボサボサになっちゃったじゃん……
響 匠海
はは、ざまあみろだな
鈴実 詩菜
女の子の頭を撫でる時はもっと優しくでしょ!
鈴実 詩菜
それと口悪すぎ!(笑)
小野 琴里
あの二人、仲良い…!
美並 舞
え、鈴実先輩があの響先生を?
小野 琴里
うんうんうん!
小野 琴里
(恋愛経験豊富な舞ちゃんに聞けば詩菜も…)
美並 舞
確かに顔はカッコイイですよねー
小野 琴里
(これは、また取ろうとしてる…?)
美並 舞
大丈夫ですー取ったりしませんよー
美並 舞
でも部長の言う通りそれは難しいでしょうね。
小野 琴里
やっぱりそうかな……
美並 舞
生徒同士ならまだしも。教師が相手だと知らないことも沢山あるじゃないですか
美並 舞
見た目だけじゃなく中身も知っているか。そこが大切です
小野 琴里
なるほどー……
美並 舞
部長とはどうです?ラブラブですか?
小野 琴里
う、うん……
美並 舞
何照れてるんですか。
美並 舞
そんな感じだったらもうキスしてるんですね
小野 琴里
きっ、きす!!?
美並 舞
え、なーんだ。まだなのか……
小野 琴里
わっ、私のことより!詩菜の!!
美並 舞
あっハイハイ
美並 舞
一気に距離を縮めることが出来るのは……
美並 舞
「デートに誘うこと」です
小野 琴里
デ、デート!?
美並 舞
簡単でしょう?
小野 琴里
かっ簡単じゃないよ!付き合ってもないのに、いきなり……
美並 舞
大丈夫です。デートと言っても遊園地とかドライブとかそんなんじゃなくて
美並 舞
小さなデートです。一緒にお昼を食べようとか放課後勉強を教えてとか……
美並 舞
そういうカンジです
小野 琴里
あーそういうこと。
小野 琴里
ありがと舞ちゃん!
美並 舞
いえいえ
美並 舞
で、教えてあげたんですからここ、泊まらせてください
小野 琴里
えっ
美並 舞
明日休日ですし。ね?
翌日
鈴実 詩菜
(はぁ、これから部活かー)
鈴実 詩菜
休みの日くらいゆっくりさせてほしいー……
鈴実 詩菜
……ん?
鈴実 詩菜
あの後ろ姿…!
鈴実 詩菜
響先生ー!
鈴実 詩菜
……って
鈴実 詩菜
誰?
響 匠海
す、鈴実…!?
響 匠海
ど、どうしてここに!?
鈴実 詩菜
……それより先生、隣の人誰?
??
あっこんにちは!
響 匠海
え、っとー…
鈴実 詩菜
仲良く腕組んでデート?
鈴実 詩菜
私はこの暑っい中部活ですけど?
??
部活…たっくんの学校の生徒さん?
鈴実 詩菜
(たっくん!?)
響 匠海
うん…そう……
鈴実 詩菜
お邪魔してすいませんでしたっ!
鈴実 詩菜
私はこれから忙しいので!!じゃ!
響 匠海
おっおい!
もう見たくなかった。 二人の距離が近すぎて。
そして、見られたくなかった。
涙が溢れて止まらないこの顔を
鈴実 詩菜
はぁはぁっ……
走って走って走って
振り向いてみても
鈴実 詩菜
あー…追いかけてきてくれないんだ……
鈴実 詩菜
無駄な期待して、
鈴実 詩菜
ほんっとバカだ。
鈴実 詩菜
…私。
この日私は失恋した。
もう彼に対しての“好き”は 無くなった。
いや、壊したのだ。