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中学3年生の春
人生で初めて恋をした
⠀
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悠里
蕾
悠里
悠里
蕾
悠里は中学から一緒になって、最初に教室で声をかけてくれた友達だ
周りの子より少し背が高くて、大人びていて、それでいて少し毒舌で
サバサバしている性格がすごく大好きだ
⠀
蕾
悠里
⠀
⠀
⠀
蕾
悠里
⠀
蕾
⠀
⠀
皆、あーだこーだ言ってるけど
この時間も実は楽しんでて
いじられるのがお互いほんの少し嬉しいんだ
蕾
悠里
蕾
⠀
⠀
将也
あ、隣のクラスの小林くん
あの子は悠里みたいに少し大人びてるように私には見えるな
背は少し小さくて、声も皆より高くて
でも、なんか少し…
悠里
蕾
⠀
⠀
⠀
悠里
ゆうりが投げたボールが勢いよく相手の陣地へ飛んでゆく
⠀
⠀
悠里
蕾
蕾
⠀
将也
⠀
悠里
ほら、少し考えてることも
周りの子より大人びてる
⠀
将也
⠀
蕾
でも無邪気に笑ってる顔は
誰よりも子どもっぽくて
なんか、
⠀
なんかちょっとだけ
悠里
ちょっとだけ…
かわ-…
ドスッ
蕾
気付いたら目の前には小林くんがいて
将也
顔だけこっちに向けて
小柄なはずの体は私の目の前だと
ちょっと大きく感じて
蕾
将也
将也
蕾
悠里
蕾
将也
⠀
将也
かっこいいな
襟足がくるんってしてるの
かわいいな
横顔すごくかっこいいな
大きい口開けて笑うの
可愛いな…
キーンコーンカーンコーン…
悠里
悠里
蕾
蕾
蕾
悠里
ガラガラッ-
蕾
蕾
蕾
将也
蕾
将也
将也
もしかして、さっき庇ってくれた時のかな
ボールの勢い凄かったし…
蕾
将也
将也
将也
蕾
蕾
蕾
将也
細い指に白い包帯がぐちゃって巻かれてて
不器用なのかなって少し笑ってしまった
将也
蕾
蕾
将也
蕾
蕾
将也
顔が少し近くなって
ドキドキする
細い指に触れてみると意外としっかりとしてて
くせ毛でふわふわした髪の毛から
少し、いい匂いがする
蕾
将也
将也
将也
将也
蕾
蕾
将也
蕾
将也
将也
蕾
将也
蕾
「あんなの味方を守るのなら当然じゃん」
って、ふんってちょっと誇らしげに言ってたの
可愛かったな…
蕾
それから私たちは
廊下で目が合うと
蕾
将也
1度逸らして
もう一度見てみる
蕾
こういう駆け引きが楽しいなって
初めてわかった気がする
悠里
蕾
悠里
悠里
蕾
悠里
悠里
悠里
蕾
悠里
蕾
蕾
蕾
悠里
蕾
うん、そうそう、私は恋とかしたことないし
なんも分からない。この感情も
別に恋とは限らないし…
じゃあ何だって話だけど…
悠里
悠里
蕾
蕾
ゆうり…恐るべし…
ある日の帰り道のことだった
蕾
蕾
将也
蕾
蕾
将也
蕾
蕾
将也
将也
蕾
将也
将也
蕾
蕾
将也
蕾
将也
将也
将也
あーやっぱり。小林くんは大人びてるな
今、お父さんのこと、わざと聞かないでくれたんだ
いないってこと、察したのかな
優しいな…
将也
蕾
将也
将也
将也
将也
将也
急に慌て出すのは子どもみたいで…笑
蕾
将也
蕾
将也
蕾
将也
蕾
蕾
将也
蕾
こうやって探りあってるのも
楽しくて
ドキドキする
初めて知った感情たちが
頭の中をわーって駆け巡っていて忙しい
でも、終わって欲しくないって
欲求がばーって出てくる
これが、恋なのかな
将也
蕾
蕾
将也
将也
将也
蕾
蕾
蕾
将也
蕾
将也
蕾
蕾
蕾
将也
蕾
蕾
将也
ドッチボールのあの時
風が吹いて桜が散っていて
だから余計とフィルターみたいにキラキラとして
ほわほわとしたピンクの中にいる小林くんが
かっこよく見えて
将也
将也
蕾
蕾
将也
蕾
将也
将也
蕾
将也
蕾
蕾
将也
将也
蕾
蕾
将也
蕾
触れようとして、
でも触れないようにして
やっぱり優しいんだな、小林くんは
蕾
将也
蕾
将也
蕾
将也
蕾
蕾
蕾
将也
蕾
蕾
蕾
蕾
将也
蕾
将也
将也
蕾
将也
蕾
蕾
将也
ドキドキする
好きな人と
初めての約束
ドキドキ…ドキドキ…
心臓の音がうるさいくらい鳴り響く…
それからの学校生活は本当に楽しくて
違うクラスだから、私はゆうりを連れて廊下に出て小林くんを探す
廊下でいつも男子に囲まれて笑っている小林くん
見つけて、目が合って
逸らして、また見てみる
そんなやり取りがずっと楽しかった
悠里
悠里
蕾
蕾
悠里
蕾
悠里
悠里
蕾
ゆうりに言ってもバレても別にいいのだけど
でも
独り占めしたいっていう欲求が出てきて…
この感情を一人で
楽しんじゃいたいって
思っちゃう…ような…なんだこれ…
悠里
蕾
蕾
悠里
蕾
先走っちゃう…落ち着け私…
悠里
蕾
蕾
悠里
蕾
悠里
蕾
蕾
悠里
蕾
蕾
悠里
悠里
悠里
蕾
悠里
蕾
悠里
蕾
蕾
悠里
蕾
蕾
悠里
悠里
蕾
悠里
悠里
蕾
蕾
悠里
あさって、
小林くんと約束した日
海に行く日
2人で出かけて、この気持ちが確信になって
…つ、付き合いたいな…とか
そういう気持ちが…う、生まれたら…?
ゆうりにも…言えるかも…
蕾
悠里
蕾
悠里
ゆうり、すごく美人さんだもんな
モテるに決まってる
ゆうりを選んだ人すごくセンスがいいなあ
蕾
悠里
悠里
蕾
悠里
悠里
悠里
蕾
蕾
悠里
悠里
悠里
蕾
蕾
蕾
悠里
蕾
悠里
私もゆうりみたいにサバサバと思ったこと言える人になりたいし
何か一つの目標に向かって一生懸命頑張れる人になりたいな…
⠀
悠里
蕾
将也
蕾
蕾
将也
将也
将也
蕾
ちょっと
嬉しかったりして…
悠里
蕾
将也
蕾
蕾
将也
将也
蕾
将也
将也
蕾
あーー
耐えきれない
ドキドキが
ずっとずっと
鳴り響いてる
蕾
4時…
5時…
6時…
何時になっても小林くんは来なかった
蕾
蕾
蕾
蕾
蕾
蕾
ドキドキ
パリーン…
パラパラ…
崩れていくなにか
自分の中でなにかが
散っていく
桜みたいに
蕾
蕾
蕾
結局8時まで待ち続けて
結局お母さんからご飯だよってメッセージがきて
結局私は諦めて帰って
結局…君は最後まで来なかったから
それから小林くんは
学校に来なくなった
悠里
蕾
蕾
夏休みに入る前に佐藤くんが言っていた
⠀
⠀
蕾
夏休みが明けたあと隣のクラスの先生が言っていた
先生
先生
先生
蕾
パラパラ…
サラサラ…
⠀
⠀
悠里
悠里
蕾
蕾
それから淡々と時は過ぎてって
皆小林くんの話題を口にしなくなった
まだ雪が残っている3月
私たちは中学を卒業した
蕾
悠里
悠里
蕾
悠里
蕾
凛人
悠里
悠里
凛人
蕾
凛人
悠里
凛人
凛人
悠里
凛人
悠里
悠里
凛人
凛人
凛人
悠里
悠里
蕾
蕾
悠里
悠里
蕾
蕾
蕾
悠里
蕾
蕾
悠里
悠里
蕾
蕾
蕾
蕾
風が吹いて
積もっていた雪が舞う
桜のように、舞っている
悠里
蕾
悠里
蕾
悠里
蕾
蕾
悠里
蕾
悠里
悠里
蕾
ゆうりが雪を投げつけてきた
蕾
蕾
蕾
悠里
蕾
悠里
蕾
悠里
悠里
悠里
蕾
蕾
蕾
悠里
蕾
悠里
蕾
私の短い短い初恋は終わってしまった
だけど
悠里がいてくれれば大丈夫
この先何があっても
大丈夫なんだ
あー神様
私をあの桜の中にもう一度連れ戻して
って、ずーっと考えていた
…もう大丈夫…
だけど…だけど…
もう一度、会いたいよ
蕾
悠里
声を上げて泣いた
皆と離れてしまう卒業が悲しくて
だなんて
そんな青春の涙なんかじゃない
もう一度君と会いたいなって
眩い閃光で私を貫いたあの初恋の人に
もう一度
会いたいよ
先生
⠀
⠀
悠里
蕾
蕾
悠里
悠里
蕾
こうして私の短い短い初恋は終わった。
はずだった。
高校1年生の11月
突然君は私の前に現れた。
悠里
蕾
悠里
蕾
悠里
蕾
蕾
蕾
悠里
蕾
悠里
悠里
蕾
蕾
悠里
蕾
高校になってゆうりとクラスは別れた
それでも今でも仲良しのままだ
ゆうりが珍しくテンションが高くて
言われるがままに隣のクラスを覗きに行った
蕾
神様は本当にいたのかな。
そこにいたのは、あの日、私が初めて恋をした
君だった
将也
蕾
将也
将也
将也
…
悠里
蕾
蕾
蕾
悠里
蕾
悠里
蕾
あの時の君より随分と背が大きくなって
声も低くなって
髪の毛のくせ毛が少し落ち着いてて
蕾
悠里
蕾
悠里
蕾
悠里
蕾
悠里
悠里
蕾
今、
世界が消滅してもいいと思えるほどに
心が熱く燃えていて
心臓が破裂しそうだ…
蕾