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長い間学校に来ていなかった私が、久しぶりに校門をくぐった。心臓がどくんどくんと速くなり、背中にじっとりと冷や汗が流れる。どうしてまた来ようなんて思ったんだろう。誰も私のことなんて覚えていないだろうし、居場所なんてないに決まってるのに。
自分を励ましながら、何とか教室の近くまで足を運んだ。しかし、教室の前に立つと足がすくんで動かない。みんなの視線を想像しただけで体が固まる。
玲奈
心の中でそう呟いた瞬間、教室に向かうのをやめて、逃げるように階段を駆け下りた。でも、慌てていたせいで、足がもつれてバランスを崩してしまう。
玲奈
その瞬間、重力に引っ張られるように体が傾き、頭から階段を落ちそうになった
凜人
低くも優しい声が耳に響く。そして、次の瞬間、誰かが腕を掴んで、私の体を引き戻してくれた。
驚いて顔を上げると、そこにはクラスメイトの凜人が立っていた。彼は笑みを浮かべて、私を見つめている。
凜人
その笑顔は温かく、まるで私を否定するものが何もないように感じられた。驚きと戸惑いで言葉が出てこない。今まで誰にも気づかれずにいたはずなのに、どうして凜人がここに?
凜人
彼の言葉はまるで、長い間胸に溜めていた不安や孤独を解きほぐすように柔らかく響いた。
玲奈
それしか言えなかった。だけど、彼の優しい手とその言葉に、少しだけ、もう一度学校に来る勇気がわいてきた気がした