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青く晴れ晴れとした空

その明るさは、私をすり抜ける

歩美

はぁ…

青空が私を包み込んでくれないのなら

代わりに、今も孤独な彼を包み込んでほしい

誰に言うわけでもなく、口から言葉がこぼれる

歩美

貴方は今も、部屋の中にいるの?

歩美

…分からない

知ることは私には容易だ

しかし、それを知ろうとすることは困難だ

歩美

私には、そんな勇気がないから

彼はきっと、暗い部屋の中にいる

私は、彼を励ますことができない

歩美

…あ

ふと、横の花壇を見ると 青の朝顔が咲いていた

歩美

朝顔かぁ、貴方が好きだった花

歩美

そして、私に贈ってくれた花

私と彼の思い出、プロポーズの時に 彼から指輪と一緒に貰った花

歩美

確か…花言葉は

キラキラと目を輝かせて、彼が話していたはずだ

歩美

あ…

私はじっと朝顔を見つめる

歩美

そうだよ、私が貴方を励まさずに、誰が貴方を励ますの?

朝顔に励まされるなんて、らしくない

歩美

私、貴方に会うから

決意を言葉にする

たとえ、会えなくても

私は彼と一緒にいよう

私は彼が居るであろう家を目指す

歩美

ここ、だよね

きっと、今も彼はここにいる

歩美

ふぅ…

歩美

よし!

私は扉に向かって進む

私は、扉にぶつかることなく 体は扉をすり抜けた

私は、彼が居るであろう部屋を見つけた

歩美

やっぱり、ここにいた

私の目の前には彼がいる

私の仏壇の前に、伏せて眠る彼がいる

歩美

もう、ダメでしょ

歩美

いい加減、前を向かないと

彼が、こんなことをしているのは 私が死んだからなのだろう

えでも、私はそんなことを望んでいない

歩美

歩美

あ、やっぱりこれを、活けてくれてたのね

仏壇をよく見ると、青の朝顔が活けられている

歩美

思い出の花だもんね

そう、私がぼやいていると

晴輝

…ん

歩美

!?

なんだぁ、寝言か

歩美

貴方は私に気づくはずがないもんね…

寝言もタイミングがいいものだ

晴輝

晴輝

…ごめん

歩美

晴輝

…あゆみ

歩美

・・・

晴輝

…たすけれなくて

晴輝

…あいたい

きっと、彼は私が死んだときの夢を見ているのだろう

歩美

…はぁ

歩美

まったく、世話がやけるなぁ

私のことをそれだけ想ってくれているのは、凄く嬉しい

歩美

でも、私は貴方に前を向いて生きてほしい

彼に触ろうとした腕は、彼をすり抜ける

歩美

触れなくても、会えなくても

歩美

思い出の私は死なないから

歩美

歩美

一緒に、いよう

私は彼の体を包みこむ

私の体が感じないはずの、彼の暖かさが

私を暖かくしてくれる

晴輝

…あゆみ

歩美

大丈夫、大丈夫だよ

歩美

私は貴方と一緒にいる

歩美

だから、生きて

歩美

楽しく過ごしてね…

あれ?

何で、視界がぼやけるんだろう

何でこんなに、胸が苦しいんだろう

ああ、そっか

歩美

私は心の底から

歩美

貴方を愛しているから

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