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「六月の君の嘘 第七話」

雨宮 凛

私…もう、蓮とは一緒にいられないの。

そう。 もう後、五日後には、蓮の元を、この世界を去らなければいけない。 運命は、世界は、意地悪だ。 愛されたかった。 こんな私でも、誰かに愛されたかっただけなのに。 やっぱり、私じゃだめなんだ。

秋原 蓮

どういう事…?別れる…って事…?

秋原 蓮

もう、嫌いになっちゃった…?

雨宮 凛

違う!そんなこと、ない!!!

雨宮 凛

ただ…一緒にいれないの。

雨宮 凛

だって、私は…。

雨宮 凛

私は。

雨宮 凛

「梅雨」だから。

秋原 蓮

え…?

言い切った。 言い切ったと同時に、私の姿は、変化する。

秋原 蓮

凛…?

制服は、形を変え、白いワンピースに。 そして、背中には透き通るほどの薄い、グラデーションのかかった、羽。 一つに束ねていた髪の毛は、ほどかれ、腰までの長さに。 靴や靴下は消え、はだしに。 どんどん変化してゆく。 これが、私の本来の姿。

雨宮 凛

ごめんね…、嘘をついてて…

秋原 蓮

なに、どういうこと…?その姿は…?凛…?

雨宮 凛

私の本当の名前は、「凛」じゃないよ。

秋原 蓮

え…?

雨宮 凛

私は、雨之宮竜神之命。この世界に、梅雨をもたらす恵の神です。

雨宮 凛

もうすぐ、梅雨が終わってしまう。だから、七月になる前にはここを去らなきゃ。

秋原 蓮

え…。

秋原 蓮

違う!!!俺にとっては、俺にとっては!凛は凛だよ。

雨宮 凛

え…?

秋原 蓮

梅雨だろうが、なんだろうが、俺にとっては、今までも、これからも凛は凛だ!!

秋原 蓮

こんなの…急に言われても信じれないけど。
凛だからこそ、信じれる。

雨宮 凛

蓮…。

雨宮 凛

でもね、蓮は、忘れちゃうよ。

秋原 蓮

え?

雨宮 凛

私の事。

秋原 蓮

忘れないよ!絶対。

雨宮 凛

いや、忘れちゃうの。私が梅雨の時期に人間として関わった人は、
私の事、私と過ごした時間や思い出の事、全部全部忘れちゃうんだよ。

秋原 蓮

雨宮 凛

世界は、そういう仕組みになってるんだよ。

秋原 蓮

嫌だ!!!俺はあの時、あの時、誓ったんだ!!

秋原 蓮

トラックにひかれる前、凛を引き寄せて抱きしめた時に、
凛の事は、俺が守らなきゃって!!!!!!

秋原 蓮

なのに…

秋原 蓮

これだけ、凛の事を好きにさせといて、今更消えるなんて、ずるいよ!

雨宮 凛

でも…これが、事実なの。

雨宮 凛

私は、世界に梅雨をもたらさないといけない。

雨宮 凛

だから、世界をまわらなきゃいけないの。

雨宮 凛

七月が始まる前に、日本を出なきゃ、日本に夏が来なくなちゃう!

秋原 蓮

いいよ、それでも!!

秋原 蓮

そう思えるくらいに、俺は君が好きだ!!!

雨宮 凛

だめだよ…。私が行かなきゃ、雨が降らない地域に住んでる人たちが、
死んじゃうよ。このまま日本にいたら、日本は一生晴れないし!

秋原 蓮

…そっか…俺、本当にばかだな…。
これは、自分たちだけの問題じゃないんだ…。
どれほど、君の事を好きでも、世界中が困ることになる…

雨宮 凛

うん…私が日本に入れるのは、あと長くて五日。

秋原 蓮

俺も一緒に行くのは…?

雨宮 凛

だめだよ。

雨宮 凛

私のせいで、蓮は、足が治らなくて、もうサッカーはできなくなっちゃった。
そんなの、蓮の人生を奪ってしまったの同然だから。
もうこれ以上、蓮の人生を奪いたくない。

秋原 蓮

凛…じゃあ、後五日!

秋原 蓮

五日間、たくさん遊ぼう!色んなとこ行って、楽しく過ごして。

雨宮 凛

うん!

秋原 蓮

梅雨って、毎年来るけど…、凛は、次は来年の六月に来るってこと…?

雨宮 凛

そうだよ…。

秋原 蓮

じゃあ、その時、また会おう!

雨宮 凛

…でも、蓮は私の事、忘れてるから無理だよ。

秋原 蓮

いや、大丈夫。頑張って覚えとくから。

そんなこと言っても、今まで私の事を 覚えていてくれた人は、一人もいない。 だけど… 命がけで守ってくれた、蓮なら… 微かな望みを抱いてしまう。

雨宮 凛

!!!

蓮は私をベッドの上に引き寄せ そっと甘く、優しい口付けを落とした。 唇と唇が触れ合う瞬間。 世界中の時間が止まったように感じた。 音もない、そっと触れ合うだけのキスだったが、 何故か、涙があふれてとまらないのはなぜだろう。

六月の雨は君の嘘

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