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岩泉 一
岩ちゃんの声が、体育館の隅に響いた。 今日は練習試合。 対戦相手は県外の強豪校。
及川 徹
ジャージの上着を脱いで ちらっと入口のほうを見た。
いた。 静かに、でも嬉しそうに手を振る女の子。
俺は、楓花に手を振り返してから 深呼吸した。
試合後 勝利の空気が体育館に満ちていた。 汗だくのユニフォームのまま スポドリを飲みながら振り返ると―― 彼女は、静かにこちらに歩いてきた。
及川 徹
秋保 楓花
及川 徹
岩泉 一
及川 徹
彼女は、恥ずかしそうに ぺこっと頭を下げて言った。
秋保 楓花
見ると うちのバレー部員たちに 囲まれていた。
松川 一静
花巻 貴大
秋保 楓花
花巻 貴大
彼女が、目を丸くして戸惑ってる。 顔がほんのり赤くなってて なんだか妙にかわい―― じゃなくて!
及川 徹
花巻 貴大
花巻 貴大
松川 一静
及川 徹
ぷりぷり怒って言い返す俺を見て 彼女は、ふふって笑った。
秋保 楓花
その言葉に、みんなが「おおお~~~」と一斉に盛り上がり、 俺はというと―― もう、嬉しすぎてどうにかなりそうだった。
秋保 楓花
及川 徹
秋保 楓花
及川 徹
秋保 楓花
及川 徹
少しだけ、前に出る。
及川 徹
一瞬の静寂。 彼女は、驚いたように目を丸くして―― でも、すぐに笑って そっと両腕を開いてくれた。
秋保 楓花
俺は、我慢できずにその中へ飛び込んだ。 細い肩のぬくもり。 ほんのりシャンプーの香り。 柔らかくて、あったかくて 泣きそうになった。
及川 徹
秋保 楓花
及川 徹
秋保 楓花
及川 徹
秋保 楓花
彼女は、そっと背中を撫でてくれた。
松川 一静
花巻 貴大
岩泉 一
その日は、部活が少し長引いた。 楓花も委員会が遅くなったらしく 校門を出たら偶然、待ち合わせたみたいに会った。
秋保 楓花
及川 徹
どっちからともなく並んで歩く。 気づけば空はすっかり暗くなっていて 見上げれば星がぽつぽつと瞬いていた。
秋保 楓花
彼女が立ち止まって、空を見上げた。 その横顔が、なんだか儚くて、 俺はそのまま、彼女の隣に立って空を見た。
及川 徹
秋保 楓花
及川 徹
彼女がこちらを向く。 その目が、夜空よりもずっと澄んでいて、 月明かりの中で、まっすぐ俺を見てた。
及川 徹
言葉が喉で止まる。 伝えたい気持ちが多すぎて、言葉が追いつかない。 だから、代わりに ――俺は、そっと手を伸ばした。
彼女の手を、そっと取る。 少しだけ驚いた顔をしてから 目を細めて、俺の手を握り返してくれた。
秋保 楓花
及川 徹
秋保 楓花
及川 徹
俺は彼女の頬に手を添えて ゆっくりと顔を近づけた。
彼女の目がそっと閉じる。 その表情があまりに綺麗で
柔らかくて、あたたかくて 触れた瞬間、世界が止まった気がした。
ほんの一瞬だったのに 心の奥まで満たされるような感覚。
離れたあと、彼女は照れて顔をそらす。 その仕草がまた可愛くて 俺は思わず笑った。
及川 徹
秋保 楓花
及川 徹
彼女はびっくりしたように俺を見て それから―― 嬉しそうに、笑った。
*゚♡o+:;;;:+o♡o+:;;;:+o♡o+:;;;:+ 廊下の向こう、窓際で笑う二人が見えた。 徹が、あの子に何かを囁いて 彼女が頬を赤らめて笑う。 ああ、そうなんだって。 そう、やっぱり。
絵梨奈
そう思った瞬間 心の奥がグシャッと音を立てて潰れた。 笑顔が、出なくなった。 足が、勝手に動いてた。
絵梨奈
そう言葉にした瞬間 もう止まれなかった。
絵梨奈
彼女は驚いたように目を見開いて 小さく頷いた。 教室の裏、人気のない廊下の隅に連れ出す。
絵梨奈
彼女は、一瞬だけ戸惑った顔をして でもちゃんと目を見て頷いた。
秋保 楓花
あたし、どんな顔してたんだろう。 もう自分でもわからなかった。
絵梨奈
声が震えてた。 悔しさか、情けなさか、悲しさか。 全部ごちゃまぜになってた。
絵梨奈
本音が、零れた。
絵梨奈
彼女は黙ってた。 悲しそうな顔をしてた。 それすらも、腹が立った。
絵梨奈
涙が滲む。 でも、拭きたくなかった。 この悔しさを見てほしかった。
絵梨奈
声が震える。 手も震えてた。 目の前の楓花が、何か言おうとしても 聞きたくなかった。
秋保 楓花
風が吹いて、二人の間に隙間ができた。 あたしは、何も言えずにその場を離れた。
あの人の隣に、あたしがいたかった。 それだけだったのに。 どうして あたしは選ばれなかったの?
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡50