コメント
3件
澪さんのために怒る孝太くんがかっこよすぎて…笑 なんか色々急展開で続きが楽しみです‼︎ 読むの遅くなってごめんなさい💦 これからも頑張ってください✨✨
今回はショッキングな画像が出て来たかと思います。彼の残虐性を表現したいと考えてのことです。 申し訳ございませんでした。 次回もサブタイトルは「吉田」です… 胸糞だけどお付き合い頂ければと思います。 読んでくださりありがとうございました❗
~jealousy 4~
吉田
___僕はまた「無法地帯」に来ていた。
渡り廊下の中程で、吉田に言われるがまま僕は先程の陰口の内容を話していた。
自分のこんな みっともない姿を他人に、ましてや吉田に晒す日が来るとは…。
でも吉田なら、この持って行き場の無い気持ちを上手く昇華してくれるだろう…と期待する自分がいることは否めない。
吉田
吉田
吉田
吉田
吉田
そう言って吉田はどこか自嘲気味に微笑(わら)った_____
__ように感じた。 瞬きした時には、吉田はいつもの表情で僕の肩を叩いた。
吉田
吉田
三津屋 篤
吉田
吉田は着崩した制服のポケットから、個包装のチョコレート菓子(校則違反)を取り出すと、僕の掌に落とした。
吉田
チョコレート菓子は短いメッセージ付きの物だった。 ……全部計算済みなのだろうか。
吉田が人の上に立てる理由が少しだけ分かった気がした。
お前ら明日は 孝太の下駄箱前7時集合な
3年の教室棟の話題の9割は、下駄箱の惨状についてだった。
僕のポーカーフェイスも一瞬崩れるほど酷い有り様だった。 幼稚さと残虐性は紙一重だと思う。
教室に入っても話題は下駄箱一色だ。 営業モードを全開にして、好奇と嫌悪が半々のクラスメイトの相手をしながら自席に向かう。
__近くの席が騒がしい。 見れば吉田グループが勢揃いしていた。彼らが屯(たむろ)している席は___…
取り巻き
___彼らが屯している席は、鳴沢柚月の席だ。
登校して来た鳴沢柚月は彼らを見るなり、顔を強張らせて動きを止めた。
取り巻き
取り巻き
吉田グループの端役2人が鳴沢柚月の腕を掴み、引きずるように教室内に連行する。
鳴沢柚月が連れて来られた場所は、どっちかと言うと僕の席の近くだった。 ……まさか僕も巻き込むつもりじゃないだろうな。
ちらり とボスである吉田を見やると、吉田は一瞬だけ含みのある笑みを寄越した。
取り巻き
取り巻き
取り巻き
鳴沢柚月は肩を震わせて俯いた。
僕を含め、教室内にいる人は全員見て見ぬフリを決め込む。 いつも間に割って入る人は今下駄箱処理の真っ最中だ。
取り巻き
端役の1人がちらりと吉田を見る。 傍にいた秀平が何かを放った。
端役がキャッチしたそれは___形もひしゃげた、給食の時に出る牛乳だった。 一体何日…いや何ヵ月前の物だろう。
取り巻き
端役はニヤニヤ笑いながら牛乳の封を切った。 暖房の微風に乗って、鼻を刺す異臭が漂う。
取り巻き
鳴沢 柚月
端役が牛乳を鳴沢柚月の鼻先に突き出す。 鳴沢柚月の顔が歪んだ。
鳴沢 柚月
鳴沢 柚月
鳴沢柚月は小さくかぶりを振るが……多勢に無勢だ。 取り巻き達は無理やり牛乳を握らせようとする。
取り巻き
取り巻き
鳴沢 柚月
……何でもいいからこの異臭を何とかして欲しい。 どうして僕の近くで押し問答するのか___…
取り巻き
鳴沢 柚月
牛乳の側面に。 鳴沢柚月の手の甲が当たった。
蓋の開いた牛乳は一度僕の机の角でバウンドし 足元で着地した。
机に一滴、白い雫。 少し足を動かすと、「びちゃっ」と音がした。
鼻を刺す強烈な異臭。 ………………何が起きた?
鳴沢 柚月
テンション下がる、どころじゃない。 __ふざけんな、と思ったけど、この場では僕は優等生だ。
三津屋 篤
吉田
どうにか心にも無い言葉を捻り出した数秒後__ __今まで沈黙を守っていた吉田が口を開いた。
音がしそうなほど はっきりと、鳴沢柚月の肩が震えた。
吉田
吉田は僕の肩に手を置くと、青い顔で震えている鳴沢柚月を見下ろした。
吉田
今にも泣き出しそうな顔で鳴沢柚月が唇を噛んだ。
__僕の肩に、吉田の笑みを含んだ吐息が落ちる。 僕はやっと理解した。
__これは全部吉田のシナリオ通りだ。 わざわざ牛乳の封を切ったのも、僕の近くで押し問答させたのも、この状況に持って行く為の布石だ。
山崎孝太の下駄箱荒らしすらも布石。 本当のターゲットは鳴沢柚月……。
吉田
鳴沢 柚月
鳴沢 柚月
吉田
吉田
切れ切れの謝罪の言葉を容赦なく叩き折ると、 宝箱を開ける呪文でも唱えるかのように無邪気な声音で吉田は続けた。
鳴沢 柚月
吉田
鳴沢 柚月
吉田
鳴沢 柚月
鳴沢柚月の目から とうとう涙が零れ落ちた。 肩を震わせて小さく しゃくりあげる様を見ても、吉田は攻撃の手を緩めない。
吉田
___教室内にいる他の人間は完全に背景と化していた。
僕も「いきなりの修羅場に戸惑ってる優等生」を装おっているが、 頭の中はクリアだった。
……鳴沢柚月が泣いてる。 いつも僕の上に名前を連ねる鳴沢柚月が。どうやっても超えられない高い壁だった鳴沢柚月が。
…泣いてる。 吉田を前にすると鳴沢柚月も弱くて脆い。敗者だ。負け犬だ。
吉田
吉田
鳴沢 柚月
鞭のような苛烈な声音に、鳴沢柚月の肩が一際大きく震えた。
鳴沢 柚月
嗚咽を溢しながら鳴沢柚月が再び口を動かし______…
山崎 孝太
いつの間にか取り巻き達の後ろに山崎孝太が立っていた。
冬だと言うのに制服の袖を肘のあたりまで折っている。 取り巻き達が「えんがちょ」とか言いながら大袈裟に距離を開けた。
鳴沢柚月の目尻に新たな涙が溜まり、吉田が大きく息を吐いた。
吉田
吉田は顔こそ笑っているが放たれる声は低く冷たい。 対する山崎孝太の眼差しも鋭く、温度は低い。
山崎 孝太
吉田
山崎孝太はそれには答えず、そっと鳴沢柚月の背中を押して移動するよう促す。 吉田も笑みを消した。
吉田
吉田
吉田
吉田
山崎孝太の歩みが止まった。 その変化を吉田が見逃すはずもなく、頤(おとがい)に手を添えると小さく嗤った。
吉田
__一瞬、室内がざわついた。 取り巻き達の、頭の悪そうなニヤケ面も消え去った。
吉田の襟を掴む山崎孝太の手は微かに震えている。
吉田より5センチほど身長が低い山崎孝太は、見上げる形で吉田を睨み付けた。
山崎 孝太
山崎 孝太
少々、いや かなり驚いた。
否。認めよう、怯んだ。 路傍の石だと思っていた彼から放たれる怒気に、僕は表情すら動かせなくなっている。
この人は本気で怒るとこんな感じなのか。 ____しかし。
山崎孝太の火炎のような怒気を前にしても、吉田は何ら動じた風ではなかった。
吉田
極低温で以(もっ)て山崎孝太を見下ろし、羽虫を払うように襟を掴む手を振り払った。
吉田
汚い物を触った___とは、鳴沢柚月の背中を押したことを指しているのだろう。 鳴沢柚月が俯いた。
山崎 孝太
吉田
吉田
吉田は大袈裟に手を払う真似をすると、可笑しそうに目を細めた。
吉田
山崎 孝太
___あぁ駄目だ。
レベルが違う。何をしても倍の威力で返される。
僕にとっての脅威も吉田にとっては塵同然。 ___ならば僕は。
吉田にとって僕は。 何のことはない。先程はっきりと公言してくれた。
「トモダチ」だ。
「孝太の中では汚い=柚月なんだ」
「……っ」
「……」
「___あーあー、柚月ショック受けて出て行っちゃった」
「柚月っ___
「まだ話は終わってねぇよ孝太」
っ…放せっ…」
「最高だったぜ孝太。トドメ刺したのも しゃしゃり出て来たのもお前だったな」
「違う……違う俺は」
「中途半端なんだよお前は。昔も今も
物語の主人公ぶって反乱ごっこしてるけどさ
それで誰を幸せにしたわけ?」
宮原 聡志
山崎 孝太
宮原 聡志
朝の一幕。 不用意に柚月を傷つけてしまった俺に放った吉田の言葉。
頭の中にずっと居座り、何度も何度も再生されてしまう。 塾の帰りの今も大音量で再生されてしまったのは___
宮原 聡志
宮原 聡志
今一番答えたくない問いに答えないといけないからだ。
山崎 孝太
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
山崎 孝太
「助言を頂いた」。 きっと、いや絶対に吉田の入れ知恵だ。
全部 全部吉田の___。
宮原 聡志
山崎 孝太
抗えると思っていた。 もう傷つけないと思っていた。
山崎 孝太
駄目だ。
また朝の一幕が再生される___
「それで誰を幸せにしたわけ?」
「……俺は…正しいことをしたかった…後悔しないように生きて……」
「だ、か、ら。 誰の為にもならないんなら結局それは自己満だろ?」
「っ…………俺、は」
「_______覚えてるか孝太。 お前が裏切ってくれた時も、こーやって牛乳が関わってたよな」
「……………」
「そん時もオレ言ったよな