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前回のコメントで、「今回のサブタイトルも吉田だ」と言いましたがあれは嘘だ🙇ごめんなさい🙇🙇。次回のサブタイトルを吉田にします😳。 柚月君のお母さんは昔はOLだったのです。そこで出会った会社の上司と遊びで交わってたら柚月君を身籠ってしまいました。仕方なくその上司と結婚するも(妊娠をきっかけに会社は辞めました)、結局離婚します。その上司が宮原聡志です。 詳しくは前期19話をご覧下さい。
たわしで体の汚れを落としたり
ホッチキスでピアス穴空けようとしたり
喉の奥まで歯ブラシで磨いてあげたり
いやー、よくもまぁこんな恐ろしい事次から次に考えるよね。 聞いてるだけで寒気がしたよ。
___で、君はこの中のどれに関係あるのかな?
…………全部か。 君は自分に危害が及ぶのを恐れて、今言った行為を全部柚月に執行したんだね。
それが今や柚月の「友達」か。 あれだけの事をしといて「友達」か。
はは。 山崎……孝太くんだよね。
君って案外
卑怯なんだね
「____しみったれた出で立ちに成り下がった物だな」
「………あら」
「暇に飽かせて私を笑いに来たの?」
「そうだな半分は当たりだ。今のお前の姿を見るとザマア見ろと言いたくなるね
でも、暇に飽かせて?わざわざ時間を割いて来てやった者にその言い方はどうかと思うよ」
「来いなんて頼んで無いわ。 夕飯の支度があるのよ。そろそろ退(ど)いて貰えるかしら」
「夕飯の支度ねぇ……。よく言うよ、まぁいい」
「明後日の21時。ホテル[オ・トウトひーりあ]1階ロビー」
「何」
「話したいことがある。開けといてくれ。当日俺に家まで迎えに来て欲しくなかったら自分から出向くんだな」
「どっちにしろ拒否権は無いのね」
「間違っても当日はそんな野暮ったい格好で来るなよ。一泊何十万のホテルだからな」
「______それにしても
案外動揺しないんだな。
あんな糞みたいな別れ方をした昔の旦那とのご対面なのに」
ビューラーなんて久しぶりだ。
本当に久しぶりだ。 エルメスの財布もティファニーのネックレスもシャネルの香水も何もかも。
______「高級」と言って差し支えない、嫌味な値段のホテルのバー。 こういう飾り立てた場所に飾り立てた装いで足を踏み入れるのも久しぶりだ。
宮原 聡志
そう言う男の手首で光る腕時計はドルチェ&ガッバーナだ。しかも最新。 こういうセレクトが本当に鼻につく。
男はメニューも見ずにさっさと自分の分を注文する。
…スコッチベースのカクテル、ゴッドファーザー。 何アピールのつもりなのだ。
バーテンダーがグラスを吹きながら視線だけで私に注文を問う。
虚栄心の塊だった昔はメニューなど見ず、「同じものを」か「お任せで」と艶っぽく言ったものだが
今は御免被る。 こんな男には1円たりとも借りを作りたくない。
私は一番安い辛口のジンジャエールを告げた。
もし神様なる者が存在するなら、その人の性格は相当ねじ曲がっていると思う。
生まれて来た柚月は、私と嫌々所帯を持ったこの男とそっくりな顔立ちだったのだから。
再三「不始末」と罵った男の血を色濃く受け継いだのだ。 柚月が成長するに従って、この男の鏡を見る頻度が減って行ったのは滑稽だった。
宮原 聡志
鳴沢 真由子
宮原 聡志
男は足を組み換えると、グラスに入ったゴッドファーザーを持ち上げ中の氷を鳴らした。
鳴沢 真由子
宮原 聡志
鳴沢 真由子
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
「どうしてお父さんは出て行っちゃったの?」
「…………いずれ分かるわ」
「もう帰って来ないの?」
「……居ても辛いだけよ」
「……………
………………居ない方が辛いよ」
___だから私はここに来た。
時々柚月がベッドの中ですすり泣いているのを知っているから。 だからこの男の誘いに応じた。
辞めとけば良かった。 _____この男は天性の葛(くず)だ。糞だ。
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
宮原 聡志
宮原 聡志
男は足を組み換えると、幼子を相手にするかのように ゆっくりとした口調で話し始めた。
宮原 聡志
宮原 聡志
鳴沢 真由子
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
鳴沢 真由子
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
男はをテーブルに置くと、ここで初めて私を見た。
柚月とよく似ている目は汚物を見たかのように細められ、上から下に私の全身を撫でる。
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
ジンジャエールを傾けた。想像以上に辛い。
____辛い。
それでも、私は時間をかけてそれを呑み込んだ。
鳴沢 真由子
宮原 聡志
男は可笑しそうに肩を揺らして嗤った。 笑い顔は本当に柚月によく似てる。
これが何かの試験なら、この男には間違いなく満点評価が与えられるだろう。 一分(いちぶ)の隙も無かった。
鳴沢 真由子
_____想像以上に辛い。 私の中に未だ残る「辛味」を全て吐き出せるならどんなに楽だろう。
でも呑み込まないといけない。 私は柚月の母親なんだから。
鳴沢 真由子
宮原 聡志
鳴沢 真由子
宮原 聡志
私は再びやたら辛いジンジャエールを口に含んだ。
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
宮原 聡志
鳴沢 真由子
鳴沢 真由子
さっきから とある大学生が脳裏にちらついて仕方ない。
それでも。 男は肩を竦めて一笑に付した。
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
鳴沢 真由子
宮原 聡志
宮原 聡志
宮原 聡志
家に着くと23時を回っていた。
疲れた。
靴を脱ぐのも億劫で、履いたまま上がり框に腰掛けた。 煙草を取り出すと乱暴に火をつける。
疲れた。 __暫し吸って吐くことに没頭する。
非喫煙者の夫は煙草の匂いをとても嫌う。後で窓を開けて換気しなければいけない。 面倒臭い。
漂う紫煙の行方を追っていると、洗面所から音がした。 浴室の扉が開く音だ。続いて何かごそごそ する気配。
_______柚月か。 そう言えば今日は22時近くまで塾だと言っていた。
鳴沢 真由子
______柚月は。
今日私が誰と会って来たかを知ると、どんな顔をするだろう。 今日私が何を言われたかを知ると、どんな言葉を発するだろう。
鳴沢 真由子
煙を吐く。
___柚月にとって何が「幸せ」なのか、理解はしているつもりだ。
お前は柚月を不幸にしている
…………あぁこれは先程言われた言葉だ。 そして
柚月がかわいそうです
「卒業パーティー」が白紙になったあの夜の言葉だ。
私の中にずっと居座る言葉だ。
ドライヤーの音が止んだ。 直(じき)に洗面所の扉が開いて柚月が出て来るだろう。
________子の「幸せ」を願うのが親の責務ならば
柚月の母親として、何が正解なんだろう。
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
山川 のぞみ
山川 のぞみ
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
鳴沢 柚月
鳴沢 柚月
山川 のぞみ
山川 のぞみ
~jealousy 5~
吉田は僕を「友達」と言ってくれた。
だからなのか。 吉田はあの朝以来、休み時間のたびに僕のいる教室に来るようになった。
何の事は無い。 吉田も一応3月の一般入試を受ける身だから、勉強している僕の隣で単語帳を広げたり解法を尋ねたりするだけだ。
吉田が来ると、それまで僕の周りにいた生徒達はくもの子を散らすように散って行く。 代わりに信太郎が磁石みたいに吉田に引っ付く。
バリケードの完成だ。 少しでも視線を飛ばそう物ならナイフのような鋭い眼光が返って来る。山崎孝太も近付けない。
__そして吉田は僕の席に来る前に必ず、鳴沢柚月の机の脚を蹴ったり背もたれを小突いたりしている。
おかげで鳴沢柚月は休み時間になると教室を出て行くようになった。
____僕はこの、吉田と共にする休み時間が意外と嫌いじゃない。
いやむしろ快感だった。以前とは比べ物にならないほど勉強も集中出来る。
気持ちいい。 吉田によって引き裂かれた敗者達を眺めるのは酷く気持ちいい。
あいつらは吉田に敗けた。そして僕はそんな吉田の「友達」だ。
僕は勝者だ!
そして今日の昼休みも吉田が来たおかげで快適に過ごせた。
昼休み終了5分前。 吉田は単語帳を閉じると持参した菓子類(校則違反)の処理にかかった。
信太郎も「次数学か、だっる」とか言いながらノートを閉じる。 ___が、不意に何かを思い出したのか大袈裟に泣き顔を作った。
信太郎
信太郎
吉田
信太郎
信太郎
吉田
吉田
頬杖をついていた山崎孝太が眉根を寄せてこちらを見る。 吉田は山崎孝太の方を見ずに続けた。
吉田
吉田
最後の破壊力抜群の言葉に山崎孝太の顔が大きく歪んだ。 吉田は持参したグミ(校則違反)の最後の1粒を口の中に放り込むと、信太郎にVサインを向けた。
吉田
信太郎
信太郎
三津屋 篤
吉田
信太郎
山崎孝太の眉根が更に寄せられた。しかし彼が口を開く前に___昼休み終了のチャイムが鳴った。
話は終わりだ、とばかりに吉田は席を立った。 ___僕には分かる。吉田はチャイムが鳴るタイミングをちゃんと計算している。
……あぁ気持ちいい。吉田はレベルが違う。 ザマア見ろ山崎孝太。
吉田
三津屋 篤
制服のポケットには、吉田に貰ったグミの袋がある。 僕は吉田と「友達」だ。
三津屋 篤
だから今までの苗字呼びを改めて 吉田の下の名前を口に出そうとした____
___瞬間。 机上に置かれた僕の左手のすぐ近くに吉田の手が置かれた。
もう片方の手は僕が座している椅子の背もたれを掴み、 恐ろしく低く冷たい声で囁いた。
吉田
口を開けたまま急いで頷く。 吉田は手を放すと無言で教室を出て行った。
残された僕の肩に信太郎が馴れ馴れしく手を置いた。
信太郎
信太郎
三津屋 篤
信太郎
三津屋 篤
____つまりそれは
吉田の「弱点」と言うことか。
つまり吉田の弱点と言うことか
とかなんとか今ごろ考えていることだろう。
心外。 甚だ心外。
これだから 自分の物指しだけが絶対だと信じたい奴は嫌いだ。
断じて弱点などでは無い。
弱点など無いから人の上に立てるんだ。
……まぁ厭(いや)な物である事に変わりは無い。汚点だ。
……………… ………厭な事思い出した。
……… 黙れ糞ども。
もう昔とは違う。
それを証明する為に
____そろそろ柚月にトドメを刺そう。