30年前
つばき
はぁ
つばき
けいごさん!けいごさん!
つばき
今日は娘夫婦のところに行く日ですよ!
けいご
ん?…うん、あと5分だ
つばき
はぁこれだから……
つばき
わかりました。
つばき
じゃぁ目覚ましをセットしておきますね
けいご
ん……
ピピピピピピピピ!
けいご
うおっ!
つばき
あーら、申し訳ありません。私、セットし間違えてしまいました。
つばき
あら?ちょうどお目覚めになられたんですね
けいご
お前なぁ、俺をなんだと思ってるんだ
つばき
旦那様
けいご
そういうことを言ってるんじゃない
けいご
ただでさえ心臓が悪いのに、止まったらどうするんだ
つばき
あらそれは大変なことですわ
つばき
もしまた私がセットし間違えたなんてことがこれから起こりうるかもしれないので
つばき
けいごさんにはちゃんと起きてもらわないといけないですね
けいご
お前、さっきの絶対わざとだろ
つばき
そんなことはございません
つばき
私にはけいごさんがいないと生きていけないんですもの
けいご
ほんとかなぁ
つばき
まぁそんなことはどうでもいいので早く起きてきてください
つばき
せっかくの朝ごはんが冷めてしまいます
けいご
ったく、誰のせいだと思ってんだ
つばき
何かおっしゃりましたか?
けいご
いや、なんでもない
20分後
娘夫婦の家
つばき
元気そうでなによりだわ
娘
ありがとう!お母さん
つばき
いいのよ
つばき
あっそういえば会社を立ち上げたんですって?
娘
そうなの!
けいご
大丈夫そうなのか?
娘
ええ!
娘
ねっあなた
娘の夫
ああ、お陰様であの会社でなんとかやっていけそうです
つばき
それなら良かったわ!
けいご
頑張るんぞ!
娘の夫
ありがとうございます!
娘
ありがとう!
つばき
じゃぁあなたたちの元気な顔が見れたからそろそろおいとましますか
けいご
そうだな
娘
もう行っちゃうの?
娘の夫
もう少しゆっくりしていってください
つばき
ありがとう
つばき
でもこの後用事があるから申し訳ないけどここで帰らせてもらうわ
娘
そっか、じゃあ気をつけて帰ってね
娘
今日はありがとう!
娘
バイバイ
娘の夫
さようなら
つばき
ご機嫌よう
けいご
じゃぁな
帰り際
つばき
良かったですね
つばき
元気な顔が見れて
けいご
そうだな
けいご
……
けいご
なぁ俺とお前が初めて出会った時の事覚えているか?
つばき
やめてくださいよ
つばき
あんな過去掘り出さないでください
けいご
あんな過去とはなんだ。あれは俺にとっては大切な過去だ
けいご
確かお前と出会った時ってストーカーと被害者としてだよな?
つばき
だからやめてくださいって
つばき
私が不審者みたいじゃないですか
けいご
そうじゃなかったのか?
つばき
私をからかわないでください
つばき
そんなにからかっ……
バタッ
つばき
けいごさん?
つばき
ねぇけいごさんったら
つばき
もう騙されませんよ?
けいご
………
つばき
ねぇ
つばき
けいごさん!
つばき
起きてください!
つばき
けいごさん!!
つばき
い、や
つばき
私を一人にしないでください
つばき
いったじゃありませんか、けいごさんがいないと生きていけない…って
つばき
けいごさん!
つばき
けいごさん!
つばき
私を残して……
つばき
いかないでくださいよ
つばき
まだあなたと一緒の時を過ごしたかったのに
つばき
言いましたよね?お前と100まで一緒にいてやるって
つばき
約束破るなんて…
つばき
ずるいです
つばき
……うっ……
つばき
………
つばき
私に…思い出と愛を…残していってしまうなんて…
つばき
最後まで……ずるい人ですね…