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妻
夫
結婚して30年目になるこの日、夫婦は、結婚記念日もかねて、 ともに60歳になったお祝いをしていた。
妻
夫
長い歳月を共に過ごした二人は愛し合っていた。
妻
夫
妻
夫
おいしい食事とお酒に、会話ははずんだ。
改めて、乾杯をうながすように、夫がグラスを上げたその時。
夫婦の間の空間がまばゆく光ったかと思うと、ぽん! という音とともに、小さな羽根を生やし杖を持った生き物が現れた。
その生き物は人間の形をしているが手の平に乗るくらいのサイズだった 信じられないが、これは妖精に違いない。 夫婦は、直感的に理解した
妖精
夫婦は、あっけにとられて妖精をながめている。
妖精
空中に浮かびながら、ぺこりと頭を下げた。 そのかわいらしい仕草に、ようやく夫婦にも微笑みがこぼれた。
妖精
夫
妻
妖精が杖をひと振りすると、ぽん!という音とともに、妻の手に旅行の切符が現れた。 それは一年かけて世界をめぐる豪華客船の旅であった。
次は夫の番だった。 願いをずっと考えてきた夫は、妖精の力を目の当たりにして、何かを決意したようだった。
夫
妻
願いごとで頭のいっぱいの夫には、そんな妻の声が届くはずもなかった。 大きな声で夫は叫んだ。
夫
それを聞いた妖精は杖をひと振りした。ぼん!というひときわ大きな音が聞こえた次の瞬間・・・ 夫は90歳になっていた。
そのかたわらには、腰の曲がった夫を暗いまなざしで見つめる妻がいた。