テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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とある物書きの挑戦譚　【第三期】

第17話 - 再会

445

2022年07月29日

#ファンタジー

#一次創作

#異世界転生

#転生

#異世界

ザッザッ…

（アレンが箒で店の前を掃除している）

アレン

…はぁあ。

アレン

この周辺も物騒になってきたなぁ…。

アレン

まるで、私達が奴隷として買われていた頃みたい。

アレン

どうして今になってまた奴隷を増やすようなことをするんだろう。

アレン

私達クリジア人はなんにもしてないのに…。

アレン

はぁ…

アレン

ギリカール人なんて、だいっきらい。

アーク

姉さん、その話はやめて。

アレン

！、

アレン

アーク。

アーク

マーキス様が昨日言ってたでしょ。

アーク

暗い話題を話すな、

アーク

暗い時ほど明るくいろって

アーク

マーキス様は

アーク

今、奴隷として子供が誘拐されるのを防止するために

アーク

あちこちの商店に協力を仰いでいる

アーク

ギリカール人が憎いのは分かるけど、

アーク

ぐちぐち悪口を言うより、まずは、

アーク

まずは、

アーク

僕らのマーキス様を支えることを考えようよ。

アレン

！

アレン

うう…

アレン

それはそうだけど…

アレン

私、最近なんにもいいことがないんだよ。

アレン

少しくらい暗い気持ちにもならせてよ…。

アレン

はぁあ。

アレン

お嬢様が突然帰ってきたりしないかなー。

アレン

…ん？

アレン

…。

アーク

何言ってるの姉さん。

アーク

そんなこと起こるわけないでしょ

アーク

お嬢様は今、ルシタス城で懸命に働ら…。

ガタンッ！

ダダダダダダダッ！！

アーク

？、姉さん？

（アレンが突然箒を投げ捨ててて走り出す）

アーク

一体どうし…ん？

アーク

！！

アーク

あれは…！？

セオドア

ここがシゼのお家？

セオドア

おおきいね。

シゼ

は、はい。よく言われます。

セオドア

ここにはご家族が全員住んでるの？

シゼ

あ、はい。

シゼ

両親と兄と妹と、従者が2人が住んでいます。

セオドア

そうなんだ。

ルドルフ

…。

ルドルフ

ん？

ルドルフ

なんだアレは？

セオドア

？、どうしたルドルフ。

ルドルフ

いや、なんか2人の男女がこっちに向かって走ってる。

シゼ

？、2人の男女？

シゼ

！

シゼ

（あれは…まさか）

シゼ

(((アレンとアーク！？))))

アレン

アーク

…お、

アレン

お、お…！

バッ！

（アレンとアークがシゼに抱きつく）

シゼ

うひゃあっ！？

シゼ

あ、

バタンッ！

（2人に飛びつかれた勢いでシゼが地面に倒れる）

セオドア

！、シゼ…！

ルドルフ

うわー。

アレン

おじょうさまぁあ！！

アレン

おかえりなさいませぇええッ！！

アレン

うわぁあ゛ぁあ！！

アレン

おじょおさま゛だぁぁあ！！おじょおざまぁがいる゛ぅうううう！

シゼ

う、うぐ…

ルドルフ

シゼちゃん、

ルドルフ

この泣いてる人達は？

シゼ

あ、私の、元お世話係でず…。

シゼ

ちょっと、ふたり…ぐるしい。

シゼ

あと離れて…。

アレン

うわぁぁあぁあぁあ！！

アーク

うわぁあぁあぁあぁ！！

シゼ

！…

シゼ

（あーだめだ聞こえてないわ。）

アレン

ぁあ゛ぁあ゛おじょおさまぁあぁあー！

アレン

うわぁあーぁあーッ！

アーク

見ない間に、随分と大きくなられましたね…。

アーク

ッ、僕はずっとアレンとお嬢様を待ってたんですよ…。

シゼ

おお…よしよし。

シゼ

2人とも待っててくれてありがとう。

シゼ

でも、そんなに泣かないで。

シゼ

…あとちょっと暑いから離して…。

シゼ

そして人前で抱きつかないで…。

アレン

うわぁあぁあ。

アーク

ひぐっ…お嬢様…。

シゼ

！…

シゼ

だめだ、聞こえてない。

ルドルフ

…。

セオドア

…。

シゼ

す

シゼ

すみません…。

シゼ

すぐにこの2人落ち着かせて、挨拶させるので…

ルドルフ

いやいや、全然いいよ。

ルドルフ

にしても、

ルドルフ

シゼちゃんはたくさんの人に愛されてるんだね。

ルドルフ

城では俺達がいなきゃダメ！ってくらいいじめられてたのに…。

シゼ

！

シゼ

そうですね。

アレン

！

アーク

！

アレン

いじめられてた…？

アーク

いじめられてた…？

アレン

そういえば貴様は何だ？

アーク

そういえば貴様は何だ？

シゼ

！

シゼ

（え、2人の涙引っ込んだんだけど）

アレン

貴方がた…

アレン

お嬢様と一緒にこちらに歩いてきていた方ですよね？

アレン

体格を見た感じ2人とも男ですよね？

アレン

ウチの可愛いお嬢様とはどう言う関係なんですか？

アレン

変なこととか

アレン

変なこととか

アレン

変なこととかしてないでしょうね？

アレン

ンーッ？

アーク

お嬢様

アーク

私は見損ないましたよ

アーク

変な男に引っ掛かってはダメだとあれだけ言ったではないですか。

アーク

変なフードを被った男2人なんて…僕は認めませんからね。

シゼ

(((((いや何を…？))))

シゼ

ちょっ、

シゼ

2人とも、一旦落ち着いて？

シゼ

こちらの方はルドルフ様とセオドア様といって、

シゼ

私をここまで連れてきてくださった方なの。

シゼ

とっても偉い方なんだから変な態度をとるのはやめて！

ルドルフ

！

ルドルフ

お友達でいいよ、シゼちゃん。

ルドルフ

俺らとシゼちゃん、何回かお話ししたりする仲でしょ？

シゼ

！

シゼ

あ、ほんとですね。

シゼ

じゃあお友達で…

アレン

よくない！

アーク

よくない！

シゼ

！？

アレン

お嬢様ってば、だめです！

アレン

こんなフードを被った…

アレン

怪しい男と関係を持つなんて！

シゼ

いや、顔はちゃんと知ってる…。

シゼ

あと語弊しか生まれない言い方しないで？

アーク

…。

シゼ

アークも睨まないの！

シゼ

怒るよ！

シゼ

本当にすみません…。

シゼ

私のお世話係が…とんでもなく失礼な態度をとってしまって。

ルドルフ

いやいや大丈夫だって。

ルドルフ

全然平気だよ？

ルドルフ

ね？

セオドア

うん。

セオドア

急に帰ってきたんだ。びっくりするのも仕方がないよ。

ルドルフ

それより、

ルドルフ

シゼちゃんのお店を経営してる

ルドルフ

マーキスお兄さんに会いたいな、呼んでくれる？

シゼ

あ、はい。

シゼ

ちょっと待ってくださいね。

シゼ

お兄様ー！！！

シゼ

シゼが帰りましたよー！

…ﾄﾞﾀ

ドタドタドタドタ！！！

ルドルフ

うわっ、すごい音。

マーキス

その声はシゼか！？

（マーキスが店のドアを開けるに出てくる）

シゼ

！、お兄様。

シゼ

お久しぶりです、ただいま戻りました。

マーキス

ッ…。

マーキス

本当に…久しぶりだ。

マーキス

よく帰ってきたね…待ってくれ、すぐにお茶を淹れ…

くるっ、

ガンッ！

（マーキスの背が高すぎて、振り返った拍子に頭をドアの上の淵にぶつける）

シゼ

お兄様っ！？

アーク

マーキス様！？

アレン

マーキス様！？

マーキス

あいたたたた…

アレン

マーキス様、これでぶつかるのは6回目ですね…

アレン

こんなに玄関とぶつかるなんて

アレン

少し店が小さいのかもしれません。

シゼ

いやお兄様がデカすぎるんですよ。

シゼ

アーク

お嬢様、お茶を淹れましたよ。

シゼ

！、

シゼ

ありがとう。

ルドルフ

…。

シゼ

！

シゼ

あの、お茶を淹れたのですが召し上がれますか？

ルドルフ

あ、うん。

ルドルフ

いただこうかな。

ルドルフ

…にしても

ルドルフ

あれがシゼちゃんのお兄さんか。

ルドルフ

まるで野生グマだね、体が大きくて椅子が壊れそうだ。

シゼ

はい…。

シゼ

（ルドルフの言う通りだ）

シゼ

（私のいない11年の間に何があったのか知らないけど）

シゼ

（マーキスがラグビー選手みたいな体になってる…。）

マーキス

さて、

マーキス

そちらの方々は…ルドルフ様とセオドア様でよかったかな？

マーキス

名乗るのが遅れてしまって申し訳ございません。

マーキス

僕がシゼの兄にして、

マーキス

この店を総責任者、マーキス・ノーディンです。

セオドア

！、どうもはじめまして。

マーキス

ええ。

マーキス

…。

マーキス

突然ですけど、

マーキス

貴殿は…ギリカール人ですよね？

ルドルフ

！

シゼ

（えっ…）

マーキス

フードをお取りください。

マーキス

わざわざここまで妹を連れてきたことには感謝しますが、

マーキス

外交大臣補助官とその執事であるお方が

マーキス

なぜ我が家にいるのか不思議でたまらないのです。

セオドア

！…

セオドア

…誰から聞いた？

マーキス

おっと、そんなに睨まないでください。

マーキス

僕らは何もしませんし、広めませんよ。

マーキス

ただ私はフードをとってほしいだけです。

セオドア

質問に答えろ。お前…なんで俺達の名前を。

ルドルフ

…セオドア、フードを取れ。

セオドア

！、ルドルフ！

ルドルフ

いいから取れ。

セオドア

！

セオドア

…。

セオドア

ぱさっ（フードを取る）

アレン

！？

アーク

！

アレン

ギリカール人だ…！

アーク

マーキス様、なぜお二人の身分をご存じなのですか？

マーキス

なに、大したことじゃないさ。

マーキス

よく来るギリカールの役人から聞いただけだよ。

シゼ

！

シゼ

セオドア

（こいつ…クリジアの平民のくせになんで俺とルドルフの名前を…）

マーキス

…。

マーキス

そんなに睨まないでください。

マーキス

客の名前を調べることは、家を守るために必要なんですよ。

ルドルフ

！

ルドルフ

家を守るため…？

マーキス

はい。

マーキス

お二人は、クマイドカーリアのことはご存じで？

セオドア

！

シゼ

（クマイド…敵国の王様か）

マーキス

フッ、聞くまでもないですね。

マーキス

あの王様がクリジアの独立を支援していると分かった今、

マーキス

我々ノーディン家はギリカール人から警戒監視を受けています。

マーキス

「ノーディン家の作る布は、燃えない、濡れない、傷つかない最高級のものであり、」

マーキス

「ギリカールには伝わっていない秘密の製法でできている。」

マーキス

そんな噂がたち、ギリカールはそれを我が物にしようと接近する貴族達や

マーキス

毎日毎日、店の中をチェックして税と称して儲けを奪っていく役人達…

マーキス

それが私にとっては怖くて怖くて仕方ないのです。

ルドルフ

…なるほど。

ルドルフ

つまり貴方は、僕ら2人が貴方の店を乗っ取りに来たと考えたわけですね。

マーキス

ええ。

シゼ

！

シゼ

（そ、そんな…！）

シゼ

ち、

シゼ

違いますよ、お兄様！

セオドア

！

マーキス

？

シゼ

このおふたり、悪い人ではありません。

シゼ

ふたりとも、私やマリア様を守ってくれるお友達なんです。

シゼ

さっきも、変なおじさんに攫われそうになった私を助けてくださったし…

シゼ

このおふたりは、変な人でも悪い人でもありませんから！

マーキス

！

シゼ

差別してくるギリカール人を恐れる気持ちは分かりますが…

シゼ

このお二人は私の大切な人です。

シゼ

もし、お兄様が彼らを差別して冷たく扱うなら…

シゼ

私はもうお兄様のくれたハンカチを使いません！

ルドルフ

！

セオドア

シゼ…。

マーキス

…。

マーキス

わかってるよ、シゼ。

シゼ

えっ？

マーキス

それでさっき僕は「無礼をお許しください。」って言おうとしたんだよ。

シゼ

！

シゼ

えっ…？

シゼ

あっ、そ…そうでしたか。

シゼ

(((やばい…めっちゃ恥ずかしい。)))

マーキス

で、話を続けますが

マーキス

さきほどの無礼をお許しください。

マーキス

我々は、ギリカール人を警戒しているのです。ご了承ください。

マーキス

ルドルフ

そういうことでしたか。

ルドルフ

それなら、そうと早く言ってくださればいいのに。

ルドルフ

ただ服を買いに来ただけなのに、僕らは冷や汗をかきましたよ。

マーキス

大変申し訳ございません。

マーキス

本日は私が直々に選んだ最高品質のものを用意させていただきますね。

ルドルフ

おお、それはありがたい。

ルドルフ

よろしくお願いします。

セオドア

…。

セオドア

（本当に冷や汗かいたな）

セオドア

（シゼの兄のこの男…警戒した方が良いだろうか？）

セオドア

シゼ

お兄様。

セオドア

！

（シゼがマーキスお手製のハンカチをマーカスに見せる）

シゼ

分かっていますね、お兄様…。

マーキス

ご、ごめんごめん。

マーキス

わ…悪かったから、それ以上引っ張らないで。僕泣いちゃうから。

シゼ

セオドア様はいい人なんです…

シゼ

ルドルフ様もいい人なんです…。

マーキス

うんうん…も、もう分かったから。ハンカチ引っ張らないで。

セオドア

…。

セオドア

ふっ…。

セオドア

（あのあわあわした様子まるでシゼが姉になったようだ）

セオドア

（お友達（彼女）が味方になってくれるし、そんなに警戒しなくてもいいか。）

マーキス

さて、

マーキス

それでは早速、服を見ていきましょうか。

マーキス

練習着となると、通気性がいいものが良いでしょう。

マーキス

ルドルフ様、サイズはどうされますか？

ルドルフ

うーん、そうですね。

ルドルフ

長く使いたいので、大きめのものが良いかと…

マーキス

なるほど、では…

マーキス

セオドア様、こちらへ

セオドア

あ、ああ…

セオドア

アレン

…ふむ

アレン

フードをとってみれば、2人ともなかなかいい男ですね。

シゼ

！、でしょ？

アレン

はい、

アレン

服越しに見える、あの引き締まった筋肉

アレン

きっといい男に違いありません！

シゼ

筋肉でいい男が分かるの！？

アーク

…フン。

シゼ

！

アーク

確かに、いい男ですね。

アーク

お嬢様がよく“映える”

セオドア

んっ…

ルドルフ

？、セオドアどうした？

ルドルフ

！、お前…手に切り傷できてんじゃん！

シゼ

！？

シゼ

えっ…！

マーキス

大丈夫ですか？

マーキス

アレン、救急箱を

セオドア

必要ない。

セオドア

もう血は止まってるし

セオドア

こんなもの、よくある傷だ。すぐ治る。

シゼ

！…

シゼ

（私のせいでできた傷なのかな…？）

シゼ

…。ｼｭﾝ

16話　おわり

とある物書きの挑戦譚　【第三期】

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445

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執筆お疲れ様です！！！！！！！テンションめちゃくちゃ上がりました🥰 戦闘を終えたセオドア様に再開するという意味合いかな、と読んでいたので、思いもよらぬ再会で、もう本当に最高です！！！今日一日の疲れが全部吹っ飛びました…ありがとうございます🙌🙌

プロフィール

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