宇宙
おはよ〜
姉
おはよう、宇宙
翌朝、部屋に行くと"お姉ちゃんは" そう返してくれた
宇宙
お母様おはよう!
お母様にも挨拶をするが
母
誰なの、あなた
宇宙
え?
姉
お母様、どうしたのーー
母
出ていきなさい!この不審者!!
母
出ていかないのなら通報するわよ!!
姉
ちょ、ちょっと落ち着いて
お姉ちゃんがお母様を 部屋から連れ出す
話している声が少しだけ聞こえた
宇宙
……なんで?
宇宙
どうして、僕のこと覚えていないの?
宇宙
僕、何かしたかな……
暫くして、お姉ちゃんが お母様を連れて部屋に戻ってきた
姉
ほら、お母様
母
………
母
本当に、時渡家の方なの?
宇宙
……うん、そうだよ
宇宙
僕は、時渡宇宙
母
そう……
母
信じられないわ
母
私の子どもは貴方だけのはずなのだけれど(姉の方を見る)
姉
だから、宇宙もお母様の子よ
母
そうなのでしょうけれどね……(頬に手をあてる)
宇宙
あ、じ、じゃあ!これは!?
宇宙
これのことは分かる?(懐中時計を取り出す)
母
!!
母
それは、時渡家に伝わる懐中時計
母
どうしてあなたが
宇宙
僕が所持出来ると認められたからだよ
宇宙
本当に、僕のこと忘れたの?お母様
母
そう、そうなのね
母
……その懐中時計は時渡家の認められた人だけが所持することが可能
母
時渡家の認められなかった人間は触れることは出来るが所持することは出来ない
母
時渡家の親族や他人は触れることすら出来ない
母
確かに、時渡家の人間なのでしょうね
母
疑ってしまい、申し訳ありません(深々と)
宇宙
お、お母様大丈夫だよ!
宇宙
顔を上げて?ね?
姉
……どうしてお母様は急に宇宙のことを忘れたのかしら
宇宙
分からない
宇宙
分からない、けど
宇宙
(まだ、嫌な予感は消えない)
お母様の他にも、お父様やお兄様、弟や妹、親族や友達も 僕のことを忘れていた
なぜかお姉ちゃんだけが 僕のことを覚えていた