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怪異探求倶楽部

第3話 - File1−偽心霊スポット作戦−③

2025年07月15日

#ホラー

#高校生

#怪異

#都市伝説

#一次創作

×××

その頃茜は急足で信愛の家まで向かっていた

菅生茜

はぁ・・はぁ・・

菅生茜

えー・・っと

菅生茜

確かこの辺だったよね

菅生茜

信愛の家って・・・

白縫銚子

信愛遅いわね

白縫多摩雄

いつもなら
帰ってる時間だけどな

白縫多摩雄

友達と一緒に寄り道でも
してるんじゃないか？

信愛の母、銚子（ようこ）と父、多摩雄（たまお）が信愛の帰りが遅いのを心配するように壁掛けの時計を見つめる

白縫銚子

アナタじゃあるまいし

白縫多摩雄

あはは！そうだな！

白縫多摩雄

っておい！

2人がそんな会話をしていると

ピンポーン

突如としてインターフォンが鳴り響く

白縫銚子

あら？誰かしら？

白縫銚子

はいはーい！

白縫銚子

今開けまーす

銚子がドアを開けると血相を変えた茜が入ってくる

菅生茜

はぁ・・はぁ・・

菅生茜

突然すいません

白縫銚子

信愛と同じ制服？

菅生茜

あ、あの・・わ、私

菅生茜

信愛と同じクラスの
菅生茜って言います

白縫銚子

ああ！信愛のお友達？

白縫銚子

ごめんね〜

白縫銚子

信愛ったらまだ
帰ってないのよ

菅生茜

その信愛が大変なんです！

白縫銚子

え？信愛が？

白縫銚子

何かあったの？

菅生茜

えっと、信愛に霊感が
あるって話は嘘だったって
ずっと思ってて

菅生茜

それで、その、友達と
偽の心霊スポットに
信愛を連れて行って

菅生茜

化けの皮を
剥がそうとしたら
さくらに──

茜は焦っているのか言いたい事がまとまっていない

白縫銚子

ちょっと待ってくれる？

菅生茜

え？

白縫銚子

とりあえず深呼吸して
落ち着きましょうよ！ね？

菅生茜

は、はい・・・

茜は銚子に言われて深呼吸をする

菅生茜

すー・・・

菅生茜

はぁー・・・

白縫銚子

どう？落ち着いた？

菅生茜

は、はい・・・

白縫銚子

それで？信愛に
何があったの？

菅生茜

実は同じクラスの
さくらに霊が
取り憑いたんです

白縫銚子

え？霊が？

菅生茜

それで信愛が
お母さんに言って

菅生茜

除霊に必要な道具を
持ってきてくれって
そう・・言われて

白縫銚子

わかったわ！

白縫銚子

すぐ準備するから

白縫銚子

部屋に上がって
お茶でも飲みながら
待っててくれる？

菅生茜

は、はい・・・

そう言うと銚子は慌ただしく部屋の奥に小走りで消えて行く

菅生茜

（本当に話通じた・・・）

菅生茜

（て事はやっぱり
信愛の話って
本当だったって事？）

茜が部屋に上がると多摩雄がお茶を持ってくる

白縫多摩雄

まぁ、とりあえず
コレでも飲んで
落ち着いてくれ

菅生茜

あ、ありがとう
ございます・・・

白縫多摩雄

にしても大変だったね

菅生茜

いえ、とんでもないです

菅生茜

というか元はと言えば
私が悪いんで・・・

白縫多摩雄

君が悪いって？
どう言う事だい？

菅生茜

実は──

茜は今回の偽心霊スポット作戦を正直に話した

菅生茜

信愛の霊感を
信じれなかった
私が悪いんです

菅生茜

本当にすいません！

茜は多摩雄に深々と頭を下げる

白縫多摩雄

そんな気に病む事無いよ

菅生茜

え？

当然怒られるとばかり思っていた茜は多摩雄の意外な言葉に目を見開いて驚く

白縫多摩雄

霊感があって
霊が視えるなんて
言われても

白縫多摩雄

誰だって最初は
信用できないさ

白縫多摩雄

実際、私も昔は
そうだったからね

菅生茜

お、お父さんも？

白縫多摩雄

妻から初めて
霊感があるって
言われた時にね

菅生茜

あれ？お父さんは
霊感ないんですか？

白縫多摩雄

あはは！私は無いよ！

白縫多摩雄

霊を見た事もない！

菅生茜

え？でも信愛
言ってましたよ？

菅生茜

ウチは代々霊力が
強い家系だって

白縫多摩雄

ああ！それは
妻の家系の話だね

白縫多摩雄

義理のお母さん

白縫多摩雄

つまり信愛の
おばあちゃんは

白縫多摩雄

名のある
霊媒師だったんだよ

菅生茜

あ、それも
本当の話だったんだ

菅生茜

あ、すいません・・

菅生茜

この期に及んで・・

白縫多摩雄

あはは！気にしてないよ

菅生茜

あはは・・

菅生茜

よかったです・・・

白縫銚子

待たせたわね！

茜と多摩雄が会話をしていると両手に大荷物を持ったら銚子が慌てた様子でやってきました

菅生茜

か、かなりの
多いんですね

菅生茜

霊媒に必要な道具って

菅生茜

何が入ってるんですか？

白縫銚子

こんな感じかしら？

尋ねる茜に銚子はバックを開けて中身を見せる

その中には水晶やお経本、清めの塩などが入れられていた

菅生茜

これでさくらを
救えるんですね？

白縫多摩雄

さぁ！急ごう！

白縫多摩雄

こうしてる間も
そのさくらって子には
霊が取り憑いてるんだろ？

白縫多摩雄

早く行ってやらんと！

白縫銚子

そうね！

白縫銚子

あなた！車出して？

白縫多摩雄

ああ！わかった！

白縫多摩雄

菅生さんも乗って！
道案内を頼む！

菅生茜

はい！わかりました！

菅生茜

（待っててね・・・）

菅生茜

（信愛・・さくら）

菅生茜

（今から行くから！）

茜と銚子は多摩雄が運転する車に乗り込む

一方その頃

信愛はひたすらさくらに取り憑いた佳苗と会話を続けていた

白縫信愛

そっか・・・

白縫信愛

ずっとひとりぼっち
だったんだね・・・

花牟礼さくら

うん・・・

白縫信愛

寂しかったよね？

花牟礼さくら

うん・・・

花牟礼さくら

寂しかった・・

白縫信愛

佳苗・・・

花牟礼さくら

でも──

白縫信愛

ん？

花牟礼さくら

やっぱりお母さんには
もう会えないのかな？

花牟礼さくら

私の事・・嫌いに
なっちゃったのかな？

白縫信愛

そんな事ないよ！

白縫信愛

絶対に会えるって！ね？

花牟礼さくら

う、うん・・・

白縫信愛

でもさ？1人だったんなら

白縫信愛

何を食べてたの？

白縫信愛

食べ物ってあったの？

花牟礼さくら

ティッシュ食べてた

白縫信愛

え！？ティッシュ？

白縫信愛

ティッシュって
あのティッシュ？

花牟礼さくら

うん・・・

花牟礼さくら

それしか食べ物が
なかったから

白縫信愛

それしかって・・・

白縫信愛

そんなのって・・

白縫信愛

（いや、ちょっと待って）

白縫信愛

（それ・・なんか昔
ニュースで聞いた事ある）

白縫信愛

（家で放置されて
餓死してた女の子の
お腹の中に）

白縫信愛

（大量のティッシュが
入ってたって）

白縫信愛

（もしかして・・・）

信愛はスマホを手に取り何かを検索する

白縫信愛

（あ！あった！これだ！）

白縫信愛

（佐藤佳苗ちゃん）

白縫信愛

（事件は私が小学生の頃）

白縫信愛

（て事は
佳苗は少なくとも）

白縫信愛

（10年くらいは
ひとりぼっちで）

白縫信愛

（お母さんの帰りを
待ってるって事？）

花牟礼さくら

・・・・・

白縫信愛

（でもこの記事には既に
お母さんは死んでるって
書いてある・・・）

白縫信愛

（多分佳苗は自分が
死んじゃった事に
気づいてないんだ）

白縫信愛

（だから今もこうやって
帰ってくるはずの無い
お母さんを待ってるんだ）

白縫信愛

佳苗？

花牟礼さくら

なに？信愛？

白縫信愛

落ち着いて聞いて？

花牟礼さくら

・・・・・

白縫信愛

佳苗はね？

白縫信愛

もう死んじゃったの

花牟礼さくら

え？

花牟礼さくら

何変な事言ってるの？

花牟礼さくら

私・・生きてるよ？

花牟礼さくら

こうして信愛と
お話してるじゃん

白縫信愛

それはね？

白縫信愛

私だからお話
出来てるの

花牟礼さくら

どういう事？

白縫信愛

佳苗ね？もう死んじゃって
幽霊になっちゃったの

花牟礼さくら

ユーレイ？

白縫信愛

幽霊は普通の
人には見えないの

白縫信愛

でも私は昔から幽霊が
見える子供だったの

花牟礼さくら

・・・・・

白縫信愛

だからこうやって
佳苗とお話出来てるの

花牟礼さくら

・・・・・

白縫信愛

これ！見える？

信愛は佳苗にスマホの画面を見せる

そこには──

佐藤佳苗ちゃん育児放棄事件

そう記されたネット記事が映し出されていた

花牟礼さくら

なに・・これ？

白縫信愛

佐藤佳苗ちゃんって
佳苗の事だよね？

花牟礼さくら

うん・・・

白縫信愛

ここにはね？

白縫信愛

佳苗のお母さんはもう
死んじゃったって
そう・・書いてあるの

花牟礼さくら

え？

花牟礼さくら

お母さんが？

白縫信愛

でも安心して？

白縫信愛

私が必ず佳苗の
お母さんを──

花牟礼さくら

嘘つき・・・

白縫信愛

え！？

花牟礼さくら

信愛言ったもん！

花牟礼さくら

お母さんに絶対に
会えるって！

花牟礼さくら

そう言ったもん！

白縫信愛

待って佳苗！
私の話を聞いて！

白縫信愛

お母さんは私が──

花牟礼さくら

嘘つき嘘つき嘘つき

花牟礼さくら

嘘つき嘘つき嘘つき

さくらの体から禍々しい気が溢れ出す

白縫信愛

う・・何・・コレ

信愛は胸を手で押さえ苦痛に歪んだ表情でうずくまる

花牟礼さくら

嘘つき嘘つき嘘つき

花牟礼さくら

嘘つき嘘つき嘘つき

白縫信愛

（ま、まずい・・）

白縫信愛

（佳苗が悪霊化が
始まってる・・）

白縫信愛

（このままじゃ
さくらの身が危ない）

白縫信愛

（茜・・・）

白縫信愛

（早く・・き・・て）

菅生茜

そこです！

菅生茜

そこを曲がった
先の空き家に

菅生茜

信愛とさくらが！

白縫銚子

わかったわ！

白縫銚子

急ぎましょう！

白縫多摩雄

ああ！

菅生茜

あの空き家です！

菅生茜

あそこに──

茜、銚子、多摩雄が空き家前にさしかかった時

ガシャアァン

何かが空き家の中から飛び出してくる

菅生茜

ぎゃあぁあぁあ！

菅生茜

何？何？何？何？

菅生茜

何が起こったのー！？

茜は恐怖に慄いた顔でその場にうずくまる

白縫銚子

信愛！？

白縫信愛

う・・うう・・・

白縫多摩雄

信愛か！？

空き家から飛び出して来たそれは信愛だった

菅生茜

え？信愛？

菅生茜

何があったの？

白縫信愛

あ・・あれが・・

信愛は震える指先で空き家の中を指差す

白縫銚子

何・・あれ

花牟礼さくら

嘘つき嘘つき嘘つき

花牟礼さくら

嘘つき嘘つき嘘つき

そこにはおぼつかない足取りで左右にゆらゆらと揺れながらこちらに向かってくるさくら姿があった

菅生茜

あれ・・さくら？

菅生茜

何よこれ！さっきと
様子がまるで違う

さくらの肌色はうっすらと白みを帯びており

瞳は白濁としていて正気を感じなかった

菅生茜

何があったの？

白縫信愛

わ、私が悪いの・・・

白縫信愛

私が佳苗に余計な事
言っちゃったから

白縫銚子

余計な事？

白縫信愛

これ・・見て

信愛は銚子にスマホを手渡す

白縫銚子

佐藤佳苗ちゃん
育児放棄事件？

白縫信愛

そのニュース
覚えてる？

白縫銚子

ええ！もちろんよ！
衝撃的なニュース
だったからね・・

白縫銚子

確かお腹中に
ティッシュが
入ってたって言う

白縫信愛

その佐藤佳苗ちゃんが

白縫信愛

さくらに
取り憑いてる霊なの

白縫銚子

なんですって！？

白縫銚子

あの事件の被害者の
佐藤佳苗ちゃん？

白縫信愛

そうなの・・・

白縫銚子

そういう事ね・・

白縫銚子

親に放置された事で
その憎悪でこんな悪霊に─

白縫信愛

違う！そうじゃないの！

白縫銚子

え？

白縫信愛

佳苗・・自分が
死んでる事にさえ
気づいてなかった

白縫信愛

それどころか
お母さんが交際相手に
殺された事も知らなかった

白縫銚子

・・・・・

白縫信愛

佳苗はずっと
ひとりぼっちで

白縫信愛

10年以上もお母さんの
帰りを待ってたの

白縫信愛

それなのに・・

白縫信愛

私が佳苗は既に死んでて
お母さんも死んだって
余計な事言っちゃったから

白縫銚子

なるほどね・・・

白縫信愛

私・・絶対に
お母さんに会えるって
そう・・言ったのに

白縫銚子

信愛に裏切られた
って思ったのね
佳苗ちゃんは・・

花牟礼さくら

嘘つき嘘つき嘘つき

花牟礼さくら

嘘つき嘘つき嘘つき

白縫銚子

でもだからって
あれを放置していたら

白縫銚子

タダじゃ済まなくなる

白縫信愛

・・・・・

白縫銚子

同情する気持ちは分かる

白縫銚子

罪悪感があるのもわかる

白縫銚子

けどね？霊に
肩入れし過ぎよ？

白縫信愛

それは分かってる

白縫信愛

分かってるけど・・・

白縫銚子

申し訳ないって
気持ちがあるんだったら

白縫銚子

信愛がやる事はひとつ

白縫銚子

佳苗ちゃんを
成仏させてあげる事

白縫銚子

それだけよ

白縫信愛

だけど・・・

花牟礼さくら

嘘つき嘘つき嘘つき

花牟礼さくら

嘘つき嘘つき嘘つき

白縫銚子

信愛！あなたがやるの！

白縫銚子

あなたが佳苗ちゃんを
救ってあげるの！

白縫信愛

わ、わかった・・・

白縫信愛

（ごめんね？佳苗）

花牟礼さくら

お、お母さん・・・

白縫信愛

か、佳苗！？

花牟礼さくら

何で？何で帰って
来てくれないの？

花牟礼さくら

お母さん・・・

白縫銚子

佳苗ちゃんは
まだ完璧な悪霊には
なっていないのね

白縫信愛

・・・・・

信愛は不安な眼差しを向けたままその場に立ち尽くす

白縫銚子

信愛！何をやってるの！

白縫銚子

完全な悪霊になる前に

白縫銚子

佳苗ちゃんを祓うの！

白縫銚子

でなきゃ──

白縫信愛

佳苗！！！

信愛は佳苗を抱きしめる

花牟礼さくら

信愛？

白縫信愛

ごめんね？佳苗？

白縫信愛

ずっとひとりで
お母さんの帰りを待ってた
佳苗の気持ちを無視して

白縫信愛

本当にごめんね？

花牟礼さくら

の・・信愛・・・

白縫銚子

バカ！信愛！

白縫銚子

そんなに霊に近づいたら

白縫銚子

精神の共有が始ま──

次の瞬間信愛を眩い光が包み込んだ

白縫信愛

何・・これ・・・

白縫信愛

う・・うう・・・

信愛は頭を抑えてうずくまる

白縫信愛

何・・何なの？

白縫信愛

私の頭に何かが
入ってくる

白縫信愛

もしかしてコレって

白縫信愛

佳苗の記憶？

信愛の頭の中に佳苗の魂に刻まれた記憶が入り込んできた

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