ひつじ
『えっと…青さんは趣味とかあるんですか?』
青
『ゲームですかね〜』
青
『最初は嫌なことがあって、気を紛らわすために始めたんです』
青
『で、ハマっちゃって』
ひつじ
『そう…だったんですか』
ひつじ
『あの…嫌なことって…』
青
『単なる家庭内暴力だよ』
青
『それだけで気を紛らわすために〜とか言っちゃって、弱いなぁ…』
青
『って思うんだよ』
ひつじ
『家庭内…暴力…いじめより怖いです』
ひつじ
『僕には…学校には居場所はないけど…自分の部屋が唯一の居場所なんです』
青
『じゃぁ、僕たち真逆なんだねw!』
ひつじ
『そう…ですね』
青
『ひつじくんも学生?僕は高校1年生』
ひつじ
『あっ同じです』
青
『同級生だったんだね〜!なかなか気が合うじゃん』
青
『これからもよろしく〜!あ、折角だからもうLI●Eも交換しちゃう?』
ひつじ
『え、良いんですか…?』
青
『あったりまえじゃ〜ん!』
ひつじ
『あ、バナナのスタンプ届きました!』
青
『ほんと〜!?良かった〜可愛いよね〜』
ひつじ
『美味しそうです』
ひつじ
『LI●Eまで…ありがとございます!今日はもうすぐ母が帰ってくるので…失礼しますね』
青
『そっか〜また話そーね〜!』
青
『じゃ、落ちるね〜』
ひつじ
『また話しましょう!』
マッチングが終わりました。
外は暗かった
玄関からうるさめのドアが閉まる音がした
橙
(現実…帰ってきてしもた)
橙
(ずっと…あそこで話してたいな……)
母親)ただいま〜!ご飯食べたー?
橙
あ、おかえりなさい。ちゃんと食べたよ
母親)そ〜ぉ?そんなら学校のことやって寝るのよー
橙
ありがと。おやすみー!
橙
(そう簡単に…寝られたら良いんやけど…w)
橙
……………
他人と話すのが、久々に楽しかった
あの空間では、笑顔を作る必要とかがなかったから
ネット空間……
妙に、輝いてる場所だった
俺にとって、苦しくない
唯一の居場所
俺は『青さん』に嘘をついてしまった
笑顔を作っているのは主に家庭内
その時も、辛さを覚え始めていた
だから
俺にとって、居場所は家なんかじゃなかった
『ない』…いや、
『なかった』が正しかった
俺には…もう…
『ネットという居場所』ができていたから
なんだろ…この………変な感じ
自分と同じように、苦しんでる人がいた
そのことが……なんだか、とても、
嬉しいと思ってしまった
橙
(これは…悪いことやのに)
橙
(この気持ちは…本当、だと思ってしもた)
橙
(本当に…最低………)
橙
(……●にてぇなぁ……ッ)