せせらぎねこ
せせらぎねこ
せせらぎねこ
せせらぎねこ
ピピピピ ピピピピ ピーー
彩葉
彩葉
彩葉
彩葉
今日も今日とてスマホのアラーム音に 叩き起される
彩葉
彩葉
母上
降りてきなさい!
下の階から母の声が聞こえてくる
彩葉
彩葉
彼女の嫌いな早起き 然し、いつもの日常的憂鬱感はない
多少の憂鬱は有れど、喜びもある どちらの感情も混ざった不思議な感覚だ
渋々、彩葉は部屋から出る
彩葉
降りてきてやったよ
彩葉
さすが私☆
母上
母上
彩葉
母上
あんた何歳よ
彩葉
ひとりじゃ無理だよ?!
母上
彩葉
母上
彩葉
母上
彩葉
彩葉
マイルーム
彩葉
彩葉は鏡に向かい合い、ショートパンツで隠しきれなかった右太腿の傷をそっと撫でる。
彩葉
20分後
彩葉
ん?いい感じだよね?
良くないです。着付けが下手にも程があります。全然良くないです。
彩葉
彩葉
母上
着替え終わった〜?
彩葉
母上
降りてらっしゃい〜
彩葉
母上
母上
母上
いらっしゃい
彩葉
彩葉は母親へ近づく
彩葉
彩葉
母上
母上
彩葉
彩葉が向かうのは親戚の家
名前の忘れた嫌いなあの人の葬式
彩葉
彩葉
母上
彩葉
母上
彩葉
震えている。 車に乗り、ハンドルを握った時から母の右手が微かに揺れているのだ。
彩葉は分かっていて其れを見て見ぬふりをした。 見て見ぬふりをしたかったのだ。
彩葉は其れよりも先から感じる喜びについて考えることにした。 早起きの憂鬱感でさえ覆す、アイツが死んだことへの喜びについて。